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一流の人だけが持つ力〜後編〜

易経より〜龍の力に学ぶ〜

前回から引き続き「一流の人だけが持つ力」を得るために『易経』より6匹の龍の成長物語をご紹介しながらお話を進めて行きたいと思います。

”終日乾乾(しゅうじつけんけん)の龍”の時代

見龍はやがて3.終日乾乾の龍へと成長します。そして技に磨きをかけ、やり抜く力を育てていきます。しかし、まだ努力の積み重ねが必要な時期です。明るい内は精一杯働き、日頃の考えを行動に移し夜になるとこう考えるのです。

うまく出来た時は「もっと良い方法は他になかっただろうか?」と…
そして、失敗した時は大いに反省し「次の機会が訪れたときはどうするべきか?」と考え、備えなければなりません。

つまり「終日乾乾の龍の時代」にはまず一歩踏み出すことから全てが始まり、そこから小さなステップアップを続けて行くうちに、自分にしかない“強味”を作り出し、やがて幾千のスランプを乗り越え一層の力をつけた4.躍龍へと成長します。

躍龍の時代

いよいよ躍龍となった龍は、憧れ続けた飛龍に近付きます。ただ一つ雲を従えていないと言うことだけを除いて…
この”雲”が有ると無いでは大違いです。違いは、物事を成功させるための”扉”が開いた瞬間が見えないと言われています。その”扉”が見えるためには沢山の人に協力してもらわなければなりませんが、その信頼に足る人物になれていないのです。彼らの信頼を得るためには自分にしかない”強み”を育て、恵みをもたらし、人々から信頼を得る必要があります。
これがあれば少しくらい障害があっても、彼らに支えられ発展して行けるのです。そうすれば、雲を従えた立派な5.飛龍へと大成長を遂げることが可能なのです。

飛龍の時代

6匹の龍のうち雲を従えるのはこの飛龍のみで、雲は人心の象徴と言われています。しかし、雲を呼び、雨を降らせて人々を養うリーダーとなった飛龍はやがて驕り高ぶり始め、もっと高みへ、もっと上を目指して登り続けようとしますが、ふと振り返ると雲がついて来なくなっていることに気づきます。時すでに遅く、雲をなくした飛龍は飛び続けることが出来ません。緩やかに下降、また時には急激に失墜していきます。それが6.亢龍です。

亢龍(こうりゅう)の時代

残念ながら亢龍はあらゆるものを「ケチる龍」と言われています。
人の忠告を聞き入れることをケチり、自らの過ちに気付いても悔い改めることをケチり、叩頭して詫びることをケチる
そんなリーダーを大衆は必要とするでしょうか?
そうして気付いた時にはすでに手遅れとなり、地上に墜落してしまいます。
願わくば、いずれ亢龍となるとも緩やかに着地したいものです。

最後に

これが『易経』に書かれた「栄枯盛衰」の物語ですが、ここからもう一つ別のお話が書かれています。決して亢龍とならない龍があるというのです。
それは、1.〜6.までの龍を自らに内在し、全ての龍がむやみに頭角を表さずいつも謙虚に考え行動すること。これこそが真に一流の人だけが持つ力だということです。

私はこれまで、脳科学のお話をベースに書かせていただきました。
これら科学的なデーターありきのお話も大切でしょうが、古書から教えてもらうお話も同じく大切です。いずれか一方の思考に偏ることなくあらゆるものをバランスよく取り入れながら、日々謙虚すぎることなく、卑屈すぎることなく、驕り高ぶることなく、「勝とうとしないで、負けない」心持ちで生きることが「一流の人だけが持つ力」だと信じてこれからも進んで行ければ素晴らしいと思っています。


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