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漫画『Dr.STONE』から学ぶ「良い組織」とは

こんにちは!
ディレクター兼マネージャーの島田です。

突然ですが、みなさんは漫画から学びを得たことはありますか?

僕はたーーーーーーくさんあります。

「漫画を読むとバカになる」なんて言われていた時代もありましたが、いやいやバカになるどころか学びを得られちゃうよ!?って常々思っています。

そもそも人類は壁画、つまり「絵」で大切なことを後世に伝えてきました。そして人間の脳は物語(ストーリー)があった方が理解しやすいという研究結果もあるそうです。
ということで「絵」と「物語」がある漫画なんてこの上なく学びやすい教材だと思うんですよね。

さて、そんな考えを持った僕が、こりゃあ学ぶことがいっぱいあるぞ!と感嘆した漫画があります。

それが週刊少年ジャンプに掲載されていた『Dr.STONE(以下、ドクターストーン)』です。
この漫画、科学がメインテーマとなっている漫画なのですが、読んでみると科学の学びよりも「いい組織ってこういうことなのかも!」という学びが得られるんです。
ということで今回は、マネージャーの僕にとって学びになったポイントを備忘録がてら、ここに記したいと思います。

まずはドクターストーンについて

読んだことのない方のために、まずはドクターストーンってどんな物語?についてお話しします。

あらすじ
物語の主人公は科学の天才高校生「石神 千空」。何の変哲もない日、千空はいつも通り実験をしていると、急に謎の光が地球全体に降り注ぐ。その光を浴びた人間はたちまち石化していき、光を浴びた千空も例外なく石化してしまう。そして…そのまま3700年という時が経過してしまうのであった。
3700年後、人間が築き上げてきた文明はすっかり崩壊し、地球はストーンワールドと化していた。しかし、そんなストーンワールドで千空1人だけの石化が奇跡的に解け、眼を覚ます。地球には千空ただ一人。
ストーンワールドのアダムとなった千空は、科学の知識を駆使して文明を一から作り直すと決意。果たして彼は石化の謎を解き、全人類を救うことができるのか?
というのが大まかなあらすじです。

あらすじだけでは、どこがいい組織を学べる内容なんだ!?という感じかと思います。
しかし話が進んでいくごとに、実は3700年前に生き残った人々の末裔や、復活者がでてくるんです。そしてチームで力を合わせて目標に向かってまっしぐら!という展開になっていきます。
この、チームを作って一つの目標に向かってまっしぐら!という展開の中に、たくさんの学べるポイントが出てくるんです。

学べるポイント

目標/目的共有をする大切さ

主人公の千空は目的を達成するために「科学王国」というチームを結成するのですが、そのチームは「石化した人類の復活」と「科学文明の復興」という目標を掲げます。そして掲げた目標をメンバー全員に共有し、周りを巻き込みながらガンガン突き進んでいきます。この目標を共有して共に突き進んでいくというのが、学べるポイントです。

アメリカの実業家C.I.バーナードが提唱している「組織を成立させる3要素」の一つに「共通目的」があります。
これは組織全体が同じ目的意識を持って何かに取り組むことを指します。
「我々は何のために何をどうしていくのか?」そういった目的を共有できていない組織は、あまり良いものではありません。
共有できていないとメンバーはいつか、何でこんなことをしているんだっけ…となりながら働くことになってしまいますからね。
だからこそ組織全体が同じ目的意識を持つことは非常に大切なのですが、ドクターストーンはそれが出来ているので、なんでこんなことしているんだ…となる人物が出てきません。読んでいて改めて共通目的の大切さに気づけます。

ビジョンでワクワクしていただくことの大切さ

目標/目的の共有が大事だと先述しました。しかし、中にはその目標にピンとこない人もいます。これは実際の会社でもそうだと思います。会社の大目標やビジョンに全社員が共感している企業もなかなか無いと思います。
ドクターストーンでもそうで「石化した人類の復活」と「科学文明の復興」という目標にピンときていない人がチラホラいます。しかしここからがドクターストーンの良いところで、千空たちは、ピンときていない人に対して、常にワクワクするビジョンを見せるのです。

今〇〇を頑張ったら、こんなに良い未来が待っているよ?だから一緒に頑張ってくれないかと。

そうやってビジョンを見せることで人はワクワクしたり、おもしろそうと感じ、ちょっとした希望を抱きながら働きます。

ビジョンを見せてワクワクさせる試みは、それっぽい言い方をすると、自ら「しよう!したい!」と思う内発的動機づけ(21世紀の仕事には最適と言われている動機付け)を誘発させる試みなので、マネジメントの観点で見ても非常に参考になります。

ロードマップで工程を可視化することの大切さ

千空は、いつも何かしらをみんなで作っています。
その際に必ず出てくるのが「ロードマップ」です。ロードマップが一番最初に登場した時はそれはそれはびっくりしました。

これはビジネス書かと。笑

ロードマップというのは、目的達成までに何をどうすれば良いのか?いまどの段階にいるのか?などが一目瞭然でわかるものです。
仕事をしていて「今やってる仕事ってなんのためにやってんだっけ…」ってなったことありませんか…?
しかしロードマップがしっかりと提示されていれば、そんな目的を見失った状態にはなりません。もちろんドクターストーンの登場人物は、しっかりとロードマップを見ているので、誰も目的を見失いません。

みんなが目的を見失わず、気持ちよく仕事するためにも、道筋とゴールがロードマップによって可視化されていることがとても重要なのだと改めて気づかせてくれます。

強いリーダーの押し付けは誰も団結しない。自律性の大切さ

科学王国はとある目的を達成するために、大航海することとなります。そこで大航海に必要となる巨船を作る!という展開になるのですが、造船なんて非常に大変です。だから普通は「めんどくさぁぁ」となります。
しかし「組織」を意識しているドクターストーン。やはり何かしらのアプローチをとってきます。
なんと、流れで造船し始めるのではなく、造船する前にメンタリストの「ゲン」というキャラが指揮をとりだし、どういった船をつくるかのアイデア募集と投票を実施します。
結果として千空が提案する、それはそれは立派な船が勝ちます。
立派な船の案を見た面々は「めんどくさい」という感情はすっかり忘れ「すげえええ!」と言った感じで、モチベーションが大爆発した状態で造船することになります。

・・・この展開、ひじょーーーーーに参考になります。
どこが参考になるかというと、投票を実施することで、メンバーに選択する余地を与えているところです。

普通に現実の仕事に置き換えて考えてみましょう。

「今日からこの方針で行きます」
 or
「この方針とこの方針、どっちがいい?じゃあこの方針でいきましょうか」

2つの指揮の取り方、どっちがいいでしょうか。大体の方は後者なのではないでしょうか。
前者のように勝手に物事が決められてて「えぇ…まあ仕方ないか」とモヤモヤしたこと一度はありませんか?
それもそのはずで、エドワード・L・デシ他著『人を伸ばす力』によると、人間は自分で物事を選択したと思いたいという自律性の心理的欲求を持っているそうです。つまり「自分で決めた感」がないというのは、心理的欲求に反しているものなので、モヤモヤするのです。
なので、メンバーに"選択してもらう""決めてもらうこと"がマネジメントするうえで非常に大切なのですが、ドクターストーンは明らかに自律性の心理的欲求を意識し、どの船にするか選択してもらい、働くメンバーの心理的欲求に逆らわないようにしています。

実際にメンタリストのゲンは、作中でこんなことを言います。

でもね、自分達で選ばせる
少なくともそう思わせる、大事なのよそこジーマーで
強いリーダーの押し付けじゃあ、人って団結できないの

著者:Boichi、稲垣理一郎 漫画『Dr.STONE』84話より引用

そもそも漫画に「メンタリスト」が出てくること自体、非常に珍しいです。メンタリストの知識を駆使して人を動かすということをしている時点で、マネジメント意識していることが窺えるので、やはりこの漫画、マネジメントの観点で読んでも超面白いし、参考になります。

適材適所な人選でモチベーションアップさせることの大切さ

ドクターストーンに登場する人物は、それぞれ得意なことを持っています。
例えば、科学が得意な人物だったり、ひらめきが得意な人物だったり、メンタリズムが得意な人物だったり、制作が得意な人物だったりと、本当にさまざまな得意をもった人物がでてきます。

そして、ここからが大事なのですが、ドクターストーンではそんな得意を持った人たちに、苦手なことをやらせず、いつも得意な仕事を割り振ります。

その結果、登場人物それぞれが得意を爆発させて成功体験を積み上げていくので、チームとしての成果も出るし、メンバー個人は「組織に貢献している感」を得られるのです。

貢献できているというのは、すなわち有能であることですが、先述した『人を伸ばす力』によると、人間は「おかれた環境と効果的に関わり、有能でありたい」という有能性の心理的欲求を持っているそうです。
つまり得意なことを任せ、自分は有能であると実感を得ていただくことは、心理的欲求に即したアプローチなのです。

ドクターストーンを読んでいると「メンバーの得意な事を把握すること」と「その得意なことを発揮できる場を提供すること」が大切なんだと気づかせてくれます。

トライ&エラーの精神の大切さ

個人的にドクターストーンの中でも一番素晴らしい精神だと思っているのですが、千空ってトライ&エラーの精神が尋常じゃないんですよね。
とにかくトライしてはエラーを起こし「このやり方はよくねぇとわかっただけ一歩だ!」といった感じで、常にトライ&エラーを繰り返します。失敗を全く恐れていないのです。
そして、そのトライ&エラーの精神が周りに波及していき、みんなで一歩また一歩と着実に前進していきます。
このトライ&エラー精神と、その精神が波及していることがとても素晴らしいと思うんです。

トライ&エラーの精神って、個人が持つ分には全然難しくないと思います。
でも組織全体がトライ&エラーの精神を持つってなかなか難しいと思うんですよね。
なぜなら仕事において失敗を恐れる要因の一つに「周りが失敗に寛容じゃない」というのがあるからです。
何かを失敗したとき、失敗した張本人はトライ&エラーの精神を持っていたとしても、周りは「あの人、大失敗したらしいよ…」という噂を流すなんてこと全然あります…。
これじゃあ噂を聞いた人は、自分も噂を流されると恐れ、組織は一向に成長できません。

だからこそドクターストーンのように、リーダーは失敗しても「このやり方がよくないと分かったのは進歩だ!」といった感じで、気が狂ったようにトライ&エラー精神を持ち続けること、そして支える人たちも少しずつで良いからトライ&エラーの精神を抱くことが大切であると、ドクターストーンは気づかせてくれます。

属人化しない仕組化の大切さ

千空の科学知識量がとんでもなさすぎて、完璧に非属人化できているかと言われれば微妙なのですが、ドクターストーンって、属人化しないようにテキストで大事な情報を後世に伝えるって展開まであるんですよ。やっぱビジネス書なんですかこれって感じです。
少々ネタバレですが、千空を含む科学王国の全員が再び石化してしまいます。そして後に科学の「か」の字も知らない少女1人だけが復活します。しかし千空がいないからみんなを復活させる方法がわからない…。詰んだ…となるのですが、千空が復活に役立つ科学情報をしっかりと紙に残しておいたのです。
その結果、無事に全員を復活させることができたのですが、この展開も非常に学びのある展開です。
紙に情報を残すという千空の行いは、属人化で組織が崩壊するのを防ぐという行いなので、本当にリーダーとして素晴らしい行いだと思います。

現実の組織を見ても、属人化は組織を停滞させる要因の一つになっています。
普通に考えて誰かが抜けたら回らなくなる組織って、そりゃ停滞しますよね。
ドクターストーンは、トライ&エラーなどで得たナレッジを分かりやすくテキストに残し、誰でも回る仕組みをつくっていたことで、組織が崩壊するのを防いだ。というのを物語を通して見せてくれるので、属人化しない組織づくりの大切さに気づかせてくれます。

リーダーが誰よりも楽しんでいることの大切さ

ドクタースーンに出てくるリーダー陣って、常にとにかく楽しそうなんです。
だから周りもなんとなく楽しくなってきて、ついてきちゃう感じがあります。
そして帝王学に精通したキャラが、楽しそうな面々を見て、実際にこう言います。

楽しんでいないリーダーなど誰1人ついていかん
世界を楽しめること
それこそが人を動かすリーダーの力だ!!!

著者:Boichi、稲垣理一郎 漫画:『Dr.STONE』97話より引用

理想のリーダー像って色々あるとは思います。
ただ僕がメンバーだったら、楽しんでいるリーダーの元、プロジェクトを楽しいと思いながら働きたいので、何事も楽しめるような精神でリーダーをやりたいなって思います。

以上が学べるポイントでした!

おわりに

【漫画『Dr.STONE』から学ぶ「良い組織」とは】いかがだったでしょうか。
マネジメントのことを1ミリでも考えたことがある方は、共感だったり、学びになることの嵐なので『Dr.STONE』ぜひ読んでみてください!
最後まで読んでいただきありがとうございました!

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