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ミジカの手~シアラザルモノ~

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……いたいひと

いつもはその目にいたいのに……

キャスター付きのイスに
広いスペースを与えてはならない

座った状態で
どこまでもコロコロしたくなる

調子に乗ってる時にこそ
いたい目みるのは世の常か

滑ってるのに笑われる
いまだけその目にいたくない

このまま遠くへ逃げ出したい
あおい背もたれを

この胸に抱きしめたままで……

偶像崇拝~ツカサドルモノ~

ある者が言う
「あの娘がかわいくて
しょうがない」と

「アンタの息子と同年代」
そんな野暮など口にはしない

ある者が言う
「踊りとか覚えちゃおっかな~?」

ある者に言う
「覚えたほうがいいっすよ
本人たちも喜ぶし」

凡人の踏み込めぬ領域で
何かが大きく動き始めた
淡い偶像を追い求め
とてもかわいい振り付けで

オンリーワン

人が人として生きる上で
絶対に犯してはならない過ちが
たったひとつだけ存在する
それは風呂場でこけること

流したつもりのセッケンが
ぬれせんべいぐらいに
不意を突いてきやがる
湯船のカドに腰を強打

不運にもほどがある
壊れたと思って
冷蔵庫買ったら
壊れてなかったし

呼吸も困難なまま
風呂場からの脱出

壊れていたのは
延長コード

部屋のど真ん中で
のたうち回る裸体

視界をかすめる
ふた

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無垢なる者を守りし者

自分の本質とかけ離れた行動は
時にその心の平穏を乱す
眩し過ぎる光が
私の影を際立てる

振られた手に
大いなる葛藤の末
その目を見つめ
手を振り返す

輝きを増す
太陽のような少女の笑顔と
海王星くらい凍てついた
その母の目よ

鳴り止まないモノ

閉ざされてゆく扉の向こう
その者は何かを伝えようとしていた

進み始めたレールの上を
私は揺れる 私を揺らす

音量を増すノイズは
確かな意思を宿し

ある者の叫びが
箱の中の秩序を奪い去った

高鳴る鼓動は熱を帯び
その存在は浮き彫りにされる

絶望と切望のハーモニー
音楽と幻聴は鳴り止まない

ノーミュージック ノーサイフ

ケモノノナカノケモノ

百獣の王 ライオン
獣の中の獣
残りの九十九
言えるヤツおるか?
百一からの獣
獣の中 のけ者
王座に興味がないのなら
目ぇつけられんほうが 儲け物
海から陸にあがったら
どの咆哮でも もう獣