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アルチノテ~アルチノカナタ~

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2024年6月の記事一覧

別のナニカ

変わらずにはいられないものがある。そう簡単には変わらないものがある。闇と光の巡る中、破壊と創造は繰り返される。次なる形を成す、そのもとで、未知なる産声が聞こえよう。それは人に関するものか……あるいは別のナニカ……

本州で唯一、千葉県には野生の熊が生息していないそうである。13000年さかのぼっても、その痕跡はないとされている。おそらく、13001年前まで千葉に生息していた熊たちのあいだで大流行し

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IN THE RED〈後編〉

バス停を通り過ぎ、交通量の多い広い道路までしばらく歩き続け、タクシーをつかまえて乗り込むと、運転手に自宅の住所を告げ、私は後部座席に深くもたれかかった。料金メーターの数字をゆるやかに上昇させながら、目的地までの最短経路をたどる車の中で、割に合わないことばかりと自分以外の誰かへの皮肉な言葉が思いついては止まらなかった。そしてタクシーは黄色信号でも止まらなかった。まさに時は金なりである。

ダイジョば

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IN THE RED〈中編〉

サルも木から落ちる

否、木から落ちまくっているサ……人物が、たまたま超高学歴なだけである。何日かは気まずい雰囲気が続くことを私は経験的に知っている。ご機嫌を損なう気持ちはじゅうぶん理解できるのだが、己の中にしか原因が見当たらないのであれば、そこで完結させて欲しいものだ。職場での能力と学歴は比例しない。

「ウチまで送ってくよ」

「ありがとうございます」

信号待ちなんて大嫌いと言わんばかりにグ

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IN THE RED〈前編〉

口先だけで語る「ダイジョウブ」という言葉ほどダイジョばないことはない。

どれほどの知識、情報を得ようと、そこから発せられる言動には人間性がつきまとう。優れた食材を手に入れたとしても、それを活かすための能力は比例しない。そして高性能な車を所持したとしても、それを活かすための運転能力は比例しない。……そう、短絡的であることに無自覚な、ある者たちにとってはとくに……

1日だけの仕事で向かうこととなっ

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選ばれざる者

人事を尽くす余地はないと、私は天命を待っていた。それはきっと一部を除く、多くの者にとっては運の要素が決定するアタリ、ハズレの話なのだろう。人生における、その割合とはいったいどれほどのものなのだろうか?

私に会社内の人事に関する権限など、もちろんあるはずもない。同じ班に選ばれし者たちは一定期間、任務をともにすることになる。能力、適正、他の班とのバランス、あらゆる要素を考慮した後、決定するのが望まし

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