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読書記録 「長距離漫画家の孤独」 「サブリナ」 「判決」

 断言するけど、間違いなくこれまで読んできた紙の本の中で一番のフェイバリットブックとなったわ、このエイドリアン・トミネ「長距離漫画家の孤独」はよ。
 まず装丁が素晴らしい。これほど装丁で感動したのは初めてなのでは……? これまで俺の中の装丁一位は「The Books of Albion」だったけど、あれに勝るとも劣らずよ。ただあれは創作物と呼ぶにはちょっとあれなんで、そういった意味では一位はこっちだな。うん。少なくとも今日のところは。電子書籍が幅きかせてる昨今、紙媒体がサバイブするにはもうこれしかないでしょうよ。手に触れた時の感動。これね。

 まず見て分かる通りさ、これはモレスキンノートですね。知ってますか? かのフィンセント・ファン・ゴッホやブルース・チャトウィンが愛用したノートなんですわ。そんなモレスキンノートに描かれているんです。グラフィックノベルがね。漫画じゃないよ。グラフィックノベル。まあ、ちょい前にグラフィックノベルとは何かみたいなことを書いた時に、自分もまだよう分からんって書いたけど、どうやらまあ、大人向けの漫画って認識で大丈夫そうよ。エイドリアン・トミネがそう言ってたもん。

 これさあ、何が良いってね、終盤、つーか最後か、最後のコマでさ、この装丁であることの意味が完成するわけよ。ただ単に洒落てっからってこの装丁にしたわけじゃないんだわ。いや、実際のところは知らんけどね。少なくとも俺の中では。俺が言いたいのは、何かお洒落だな、センスあるなって思って読み始めて、最後のコマを越えた瞬間よ。読み終えてページを閉じた瞬間、この本は究極に至るわけ。

 つーか装丁だけでなく内容自体も円環していて綺麗なんだよね。読み終えてすぐもう一度読み返したくなるよこれ。内容はエイドリアン・トミネの自伝みたいというか、自伝か。前にも書いた「キリング・アンド・ダイング」とか読んでエイドリアン・トミネ良さげってなった人なら読んで面白いと思う。流石に誰かも知らんで読んで面白いのかどうかは正直分からん。ただ装丁だけでも満足感凄いよ。

 小説で重要なのは「初めの文と結びの文と作品の題名」というのは太宰治の言なんだけど、初めと結びはクリアだね。厳密に言えばこれは小説ではないんだけど。まあ創作物には全般当てはまるでしょう。それで? じゃあタイトルはどうなんだって話よ。まあ気づいていると思うけど、これはアラン・シリトーの「長距離走者の孤独」から引っ張ってきてると思うんだよね。間違ってたらごめんってか、間違ってても許して欲しいわ流石にこれは。誰だってシリトー思い浮かべるでしょ。

 それでどうなんだいって話なんだけど、これ読んだのだいぶ昔でうろ覚えだから一週間待って欲しい。今夜読み直してみるわ。

 そんで次は何を話せば良いんだって「サブリナ」か。ニック・ドルナソの「サブリナ」はこちらもグラフィックノベルですね。これはグラフィックノベルで初めてブッカー賞にノミネートされたらしい作品なのかな。まあ確かに何か、そういうのに入りそうな感じだったわ。何ていうの、社会的というか、暗示的というか、風刺的というか。俺の好みではないんだけど。俺はもっと超超超個人的でミクロな感情を切実に吐き出しているような作品が好きなんでね。どんなジャンルでも。

 じゃあつまんなかったの? といえばそんなこたあない。陰鬱なストーリーと軽いイラストのチグハグ感が不気味な雰囲気醸し出しててとても良かった。「アクティング・クラス」っていう同じ作家の本があるらしいんだけど、あれもあらすじ読んでちょい気になってる。

 サブリナっていう女性がある日失踪してしまうんだよね。そんでそいつの彼氏がショックで塞ぎ混んじゃって、友達ん家で面倒見てもらうようになるんだけど、まあ、そのうちにね、サブリナの死体が発見されて。そんで何か、ネットとかで色々勝手に言われてさ。陰謀論とかまで出てきて。そいつの面倒見てくれてる友達もどんどん疲れていってって感じのストーリー。

 つーかあんな豆粒みたいな眼球で、よくもまあ、あそこまで表現できるもんだなって感心するわよ。この何か、精神的に疲弊してゆく気味の悪さってのはやっぱりどんな作品でもたまらないんだよね。完治なんてしないじゃない? 結局どうやって折り合いつけるかって話になるわけじゃん。そういう物語は結構信頼できたりするんだよね。ドルナソな。

 グラフィックノベルはここまで。カフカの話をするぞ。読み疲れてない? 俺はだいぶ書き疲れてる。今週さあ、何か読み終わるたびに、観終わるたびにね、さらっとメモしてたのよ、感想をさ。それが結構な枚数になってる上に字が汚すぎて読めなあああああい!!!! わけよ。うん。映画も観てんだけどね、今日は書かない。探り探りよ、このブログもさ。こういう風にやっていこってなっても、次の日には、いや、でも、みたいになるからさ。まあ、それだけ考えてるってことなんだけど。考え方が全く変わらないってさ、それはもうそれ以上考えることやめてるだけでしょって俺は思うわけ。

 で? って話なんだけどね。別にここから何も繋がらない。唐突にカフカの話をする。「判決」ね、「判決」。これは読んだことなかった。うん。カフカが一晩で書き上げた作品なんだって。カフカがカフカになった作品って書いてあったわ。だから俺も一晩で読んだ。つっても短いんで、三十分もかかんなかったけど。まあ、”読むより 書く方が 時間がかかること 想い出してみてよ”って。別に忘れたこと一回もないんだけどさ。

 などと話しつつ。これを書いてる時のカフカを想像してちょっと幸せな気持ちになったよね。カフカと俺は「トーニオ・クレーガー」大好きだからさ。気が合うんだ。大の親友だよ。本開くたびに会えるしね。しかしまあでも久しぶりだったわけ。「あれ? カフカお前、こんな面白かったっけ?」ってなったわ正直。「変身」とか読み直してみたいよね。あの、「審判」とか。つーかこの前知ったんだけどさ、「審判」ってカイル・マクラクランで映画化してんだね。あれちょっと観てみたいわ。

 話が逸れたけどさ、こういう「判決」みたいな作品をね、さらっと書けるってのがやっぱり良いよね。カフカがさらっと書いたのかどうかは知らんけどさ。

 今日はこのぐらいかな。何か文量も良い感じな気がするし。ジャームッシュの「ミステリー・トレイン」も入れようかと思ったんだけど、小説と映画で分けようかなってふっと思ったりしてさ。今日のところはこれくらいにしておくかな。じゃあ、またね。おやすみ。

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