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読書記録 「紐育百景」


「言葉は短いほどよい。それだけで、信じさせることができるならば」

 という太宰の言葉を思い出して今回からは短く感想を書いてみる。長い文章は書く方も読む方も疲れるからね。

 今回はエイドリアン・トミネの「紐育百景」ですね。これは画集なんでだいぶでかい。でかい本ってのはそれだけで良い。手に持つだけでワクワクするからさ。

 画集と言っても絵だけでなくて、所々にトミネのグラフィックノベルが差し込まれていて満足感高め。前書き的なグラフィックノベルにまず引き込まれますね。俺たちのトミネだ! ってなるよね。そして最後の余韻。たった数ページで大満足してあなたはきっと一旦本を閉じてしまう。結局良い本ってのはそういう本なんだってどっかの誰かが言ってたけど完全に同意。つまり「紐育百景」は良い本ってこと。

 トミネの魅力は何と言っても視点の低さというか近さだって思ってるんだけど、それはやっぱり”グラフィック”単体であっても健在というか。自分が一番好きなのはニューヨーク市内のスケッチなんだけど、添えられた走り書きとかクスッとするし、スケッチのモデルに選んだ人もトミネらしいというかね。
 この本で一番のお気に入りは巻末なんだよね。そこにはトミネ自身の絵の解説が載ってるんだけど、自分の一番好きなニューヨーク市内のスケッチの創作理由が、当時付き合い始めた彼女への創作者アピールってのが最高にトミネって感じで好きなんだ。使ってたのが無印のノートってのも完璧。

 こんな具合かな。”いつもさよならがうまく言えないんだ”って感じ。これは「僕の元散髪屋」っていう初めてニューヨーカーに載ったらしいトミネの漫画作品からの引用なんだけど、これについての解説があまりにも全て。はぁ……「サマーブロンド」再販しないかな、なんて願望を書いて、またねって別れの挨拶に。

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