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音楽

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記事一覧

「ループ」と「まわる」 〜『パーム・スプリングス』とPii「カキツバタ」〜

ここ2ヶ月、東京の映画館に行っていなかったことに気がついたときは驚いた。 大手シネコンが休…

アララ
2年前
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ずっと真夜中でいいのに。『ぐされ』の願望と命令

昨年末、紅白歌合戦を観たときのこと。 YOASOBIのステージ演出に強烈な違和感を覚えた。 最初…

アララ
3年前
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「ここいらで落とした財布誰か見ませんでした?」-共感音楽と米津玄師『STRAY SHEEP』…

かなり前にTik Tok経由でヒットしたポップソング(瑛人「香水」、落合渉「君が隣にいることい…

アララ
3年前
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ゴチャマゼになった日常とChelmico『maze』

ブルージーなギターフレーズが鳴り響くと、スカのようなリズムがテコテコと入ってくる。それが…

アララ
3年前
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スーパースターを降りたKOHHから、ロックスターを降りた吉井和哉を思い出す

2020年1月16日。その日は、大学近くの居酒屋で呑んだくれてた。どうして集まったかわからない8…

アララ
3年前
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あいみょんの新曲『裸の心』から感じる現代性の拒否とニューミュージック

あいみょんの新曲「裸の心」に度肝を抜かれた。曲のすべての要素が、明らかに「2020年にリリー…

アララ
4年前
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なかむらみなみ。「個」がダダ漏れのラップと祭囃子のビート

熱気というものを、長らく感じていない。 それはそうだ。外に出れない、誰とも会う機会がない、イベントもない。そして、目に見えない不安を抱えているせいか、なにかに無条件に熱狂する気が起きない。いつしか、熱の入れ方も忘れてしまいそうだ。 だからこそ、いま必要なのはなにかへの熱を込めることだ。 冷え切ったものに、もう一度熱をかけるのである。 そのために、僕が今年注目をしているラッパー、なかむらみなみの話をしたい。 ※※※ 僕がなかむらみなみというラッパーの存在を知ったのは2

推すという感情をリル・ウェインで思い出す。インスタの「#推しバトンリレー」とドキ…

最近、Instagramのストーリーで「#推しバトンリレー」というタグが回ってきた。これは友人に指…

アララ
4年前
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3.25.2020、 小袋成彬でいうところの「Selfish」から「Gaia」へ

3月25日。いつも通り1日が終わった。 本当は4年間通った大学の卒業式ある予定だった。だから…

アララ
4年前
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想像するための音楽が必要だ 〜Moment Joon『Passport&Garcon』とGEZAN『狂(KULU)』…

正体の見えない不安によって、誰も彼もが息苦しさを感じているこの1ヶ月。いよいよそれはアジ…

アララ
4年前
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念願のナンバーガールを見に行けなかった日から。

なぜ、2020年3月1日のzepp tokyoに森山未來がいたのだろう。 何を映そうとしたのだろう。カメ…

アララ
4年前
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はぐらかされた不安〜THE 1975・Mura Masa・Grimes〜

1月14日、高田馬場のミライザカに行った。 そういえば、ミライザカという居酒屋の存在を知った…

アララ
4年前
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Perfumeのライブを直前に女王蜂を聴き直す週末

不要不急の外出、という言葉に違和感を覚える。だって自分にとって今入っている予定は必要なこ…

アララ
4年前
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ビリー・アイリッシュの中毒性と「ささやき歌唱」、あるいは新しいものが当たり前になる瞬間

1月25日、ロサンゼルスで行われたグラミー賞でビリー・アイリッシュが主要四部門を制覇した。ちょうどその日の朝、NBAのレジェンドであるコービー・ブライアントが亡くなった。安易だけれども、新たなスターが誕生した日にかつてのスターが非業の死を遂げるというのは、時代の移り変わりを感じさせる。その一方で、あらゆる変化のサイクルが早すぎるのではないか、とも思ってしまう。 7年前から着実にポップアイコンとしての地位を築きあげ、2019年に傑作アルバム『thank,you next』を生