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やはり旅は一人に限る【DAY3】【GET JIRO!】

【DAY2】

 今日のダライ・ラマパートは省略します。昨夜は新橋のメキシコバーでテキーラ5杯キメたせいで朝になっても意識が朦朧してたからね。居眠した。

 昼食は母さんの要望に応じてみなとみらいのお好み焼き屋にした。大阪に比べると価額が高い割にサイズが小さい。こんなもんアホな観光客とアホな関東人しか食べないとだろう。美味しかったけど。自分の豚モダンはすぐなくなった。

「ふぅー、もう腹いっぱいだわ。残った分アクズメくんが食べて?」「へいへい」

 また40%ある海鮮お好み焼きをも平らげた。流石に1.5人分は少々きつい。腹は重いぞ。

 今日は午後2時半プリキュアの映画を観る予定があるがまた時間があるため、ホテルに帰ったおれはテレビ観ながら酎ハイでだらだらしていた。これぞ旅行って奴だわ。

「そいえば今日は午後出掛けるって言ったじゃない?もう三時だよ」

「えっ!?」

 だらだらしすぎた! Drinks never change......

◆🍺◆

 というわけで今日は漫画探しに横浜駅にきた。当初は秋葉原にで行こうと思ったが、流石に移動時間が長すぎて効率が悪い。幸い横浜駅を周辺にもとらのあなやメロンブックスなどメイジャーなナード御用ブックショップがある。にしても平日なのに横浜駅賑やかだなおい、平日でもこんぐらい混んでたなら休日はどうなるんだ?想像も付かないぜ。Google Mapという文明の利器を駆使し、難なくとらのあなにたどり着き、エレベーターで五階に上げるべく「↑」のボタンを押した。

「……」

 Ok、これはキーがないと一階からエレベーターを呼べないタイプの奴だな。壁に部外者は階段をご利用くださいの貼り紙がある、今気づいた。五階か……脚力が貧弱なナードは店に入る資格がないというのか。レッグプレス250キロのおれを完全に舐めているな。

 室外に設けた狭い階段を登り、五階に辿ったが、パーカーを着ていたせいで汗がジワ〜と分泌された。夏でもこれやったら、店内の空気がナードどもが発する湿気と臭いで大変な事になるんじゃないかと思った。

 他の店と同じ、とらのあな横浜店も広い訳がなく、ヘビー級ナード一人なら歩道を封鎖できる。平日だから人が少ないのがせめてに救いか。よし、今日の目的を取り掛かろう。なんか良さげものがないか……あったな。メイドインアビス7巻、これが欲しかった。他にエロ本も見てみよう、良し、見終わった。アビス買ったら出よう。

「莫迦な、ムッツリスケベのアクズメさんがエロ本買わなかっただと!?」

 実際引っかかった本がなかったからね。しかも今回は母さんも居るから不必要な面倒を避けたいところ。エロ本買わないのがベストだ。悪かったね。

「アビスの表紙裏も結構エロいだろ」

 だが表紙はぼのぼのとして極めて健全だ。しかしこの店アメコミが置いてないな。しゃあない、メロブにでも行ってみるか。

 メロンブックスの方はなんと普通にエレベーターが使えた。ナードに優しい仕様だ。やはり店内は狭い、うん、うん、大体わかった。では帰ろう。すまなメロブさん、おれは今アメコミが買いたい気分だよ。再び地下街に潜ったおれの目の前に、今度は「有隣堂コミック王国」というセンテンスが目に入った。どうやら漫画やその周辺のグッズを重点にした店のようだ。アベンジャーズの専用コーナーすらある。これはちょっと期待できそう。おれはナード眼力を働かせ、今回のターゲットをサーチした。あったわ。

Finaly I got JIRO!

 ◆🍣◆

「帰ったぞ」「おかえりー、晩ごはんは何にする?」「また腹が減ってないから後にしていい?」「OK、気功やるから出るときは呼んでね」

 ここで今日買った二冊の感想を少し述べよう。ネタバレ要素あるから未読の人は注意ね。

【メイドインアビス7】

 リコ回。アビスに降りてから、これまで戦闘担当のレグとふわふわのナナチがあまりにも目立ちすぎて、後ろに控えがちになったリコが天性のコミュ力を発揮しイルぶるを冒険!ケツがきたねえマアアさんもついてくる!言葉わからなくてもなんとか飯が食えた!しかも美味しい!同じ旅しにきたおれが強いシンパシーを感じた。そしてイルぶるには入り込んだ空飛ぶトコロテンモンスター!強いぞ!レグが不在!ナナチが偉いことになった今、おまえはどうするんだ?リコォ!

 いやぁ、よかった。深層に下ることに連れて、人形の生物が減り、奇形異状の奴らが増えてつくしあきひとの先生の奇想天外の想像力から生み出されたキャラクタ達が走る、戦う。

 そしてリコ、やはり彼女はライザーの娘であり、白笛の持ち主に相応しいタフな探窟家であった。未知なるものに対するつきぬ好奇心、前に突き進む勇気、か弱い人間こそある凄さと尊き精神を、ぜひ貴方の目で確かめて欲しい。

 たぶん今回が今まで一番面白いではないか(ボ卿の時もそう言った)?

【GET JIRO!】 

 おれが尊敬するシェフ、ライター、テレビパーソナリティーであるアンソニー・ボーデイン原作の料理が出るバトルヤクザ物である。

 映画、音楽がすべて死滅し、食事だけが娯楽の未来のLA、今日もジローの店前で切断された客の首が転ぶ。ワサビに醤油を混ぜるだ?シャリから醤油をつけるだ?カルフォルニアロール?そんなものはない!スシ・エチッケイト違反したアホはジローの包丁一閃をもって料理する!

「コックを舐めるんじゃないぞ。俺達はナイフの扱いが上手いんだ」ーーアンソニー・ボーデイン

 料理に関する話で、主人公も料理人であるが、今作では料理で勝負とか、料理は人々を幸せにする物だとか日本の料理漫画でよく見る甘っちょろい概念が一切なく、行き過ぎたアメリカの飲食業事情を生々しく描いた。ニューヨークの激戦区でフランス料理屋のシェフを長年勤め、世界を旅して、最も贅沢(黒アワビのホイル焼きとか)なものと最も汚い物(味付けのないイボイノシシの鼻とか)を食べてきた彼しか書けない作品とも言えよう。そして彼のファンなら絶対に引っかかるポイントは今作に数々存在する。薄汚い店の脂で汚れた衣服を着た店主が作った絶品ボトフ、ビーフンヌードル、長い階段を降りてやっとたどり着けた地下室の寿司屋、台車で売るタコス……このコミックはアンソニーが愛するものがすべて詰まっている。料理人だって人間だ、彼らはだた客を満足するためではなく、その気があれば人間を支配できる存在と知らしめてくれた作品であった。もっと詳しく知りたければ:

 G-NOVELSさんがほぼすべて書いてくれた。あとはきみが書店に行って、買ってくれることを、ただ願うだけだ。

 こういう記事も書いた、良かったら読んでくれ。

 アンソニー、運昇さん、スタン……そして父さん。今年は色んな者が亡くなったな。おれからは特に申し上げることはない。#人が死ぬ 、それだけのことだ。

「母さん、晩ご飯はカレーでいい?」「いいね」

【DAY4に続く】

 

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