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灰汁詰めのナヴォー

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小説っぽいなにかがあります
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#炒飯神炒漢

炒飯神太郎⑥

9世紀の日本がとても危険な場所です。平安の治世の最中というものの、文明がまた行きわたっいてない場所が多く、町から離れると、そこは野蛮の世界。追い剝ぎ、盗賊、サイコパス犯罪者、肉食獣、そして人ならざる物は常に旅人を狙っています。

おばあさんとおじいさんと別れを告げてから2時間後。炒飯神太郎は包囲されていました。

「よぉ赤い膚の兄ちゃん。大きい弁当2つ持ってどこへ急いでんだい?ウーバーイーツなのか

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炒飯神太郎⑤

炒飯神太郎の成長速度は仔犬並に早く、たったの一年間で身長178cm体重69kgの細マッチョ青年になりました。そしていよいよ旅立ちの日が来ました。

「御爺様、御婆様。短い間ですが、お世話になりました。このご恩は一生忘れません」
「いいんだよ。こっちこそ、お米たくさん頂けて有難いぐらいだ」

とおばあさんは言った。炒飯神太郎と暮らしていたこの一年は澱粉の摂取が増えて、彼女の体重は10キロ増えました。

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炒飯神太郎④

「ちょっとおばあさん!?ダメだってベイビーをこんなに乱暴に扱っちゃ!」
「鈍くなちまったかおじいさん。脳に違和感がなかったかい?このガキはさっき思考操作系の術を展開しようとしていたぜ」
「ななっ、なんだってー!? リンゴ飴じみた愛らしい赤子は実際その心に邪悪な思惑を秘めていたとは!さてはもものけの類か!純朴な生活を過ごしている老人を騙すだなんて言語道断!」

そう言っておじいさんはスプーンを捨てて

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炒飯神太郎③

「おじいさんお帰り。遅かったから先に飯食ってるよ」

家に帰ったおじいさんが見たのは、大きな中華鍋から直接スプーンを差して山盛りのチャーハンを食べているおばあさんでした。そのチャーハンがあまりにも巨大で、山で例えるのなら普通の大盛りチャーハンが富士山でおばあさんが食べているチャーハンが火星のオリンポス山ほどのスケールでした。驚いたおじいさんは口がカァーっと大きく開きました。

「おっ、おぉおばあさ

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炒飯神太郎②

一方、おじいさんは山で狩りをしていました。けどおじいさんの狩りはちょっと特別です。

「おっ、そこに倒れる木はとてもポテンシャルある気がしますよ!見てみましょう!」

おじいさんサバイバル番組のパーソナリティを真似して頭の中にしか存在しない撮影クルーに話しかけました。山の中を一人で歩くのとても孤独です。おじさんは想像の世界に浸って、寂しさを紛らしているのです。

おじいさんは鉈を取り出して、倒木に

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炒飯神太郎

 9世紀、日本某所。あるところにおばあさんがとおじいさんが済んでいました。

 この日、おばあちゃんは洗濯するために川に来ました。バァジュッ!バァジュッ!バァジュッ!川辺に濡れた衣類を棍棒で叩きつける音が響き渡った。石鹸がまた普及していない時代、汚れを落とすには衝撃が一番でした。

「哼ッ! 哼ッ! 哼ッ!」

 棍棒を叩きつける度に、おばあさんの上腕二頭筋、僧帽筋と背広筋が素晴らしく隆起しました

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チャーハン神炒漢:ノー・モア・ヌベッチャーハン⑤

チャーハン神炒漢:ノー・モア・ヌベッチャーハン⑤

目次

 数分後。店長、バイド、炒漢、センチ美、トマトンの五人はテーブル席に座っていた。客が誤って入らないよう、シャッターは半分まで降ろしている。手と心が折れた店長は炒漢に状況を説明をしていた。

「半年前、本社に新しい社長が就任した。祀浦娘々という、奇妙な女だ。あんたと同じコスプレみてえな格好して、背後に布が浮かんでいた。ウッ」店長は破壊された右手にアイスキューブ一杯のコップを当てた。額に脂汗が

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