炒飯神太郎②

一方、おじいさんは山で狩りをしていました。けどおじいさんの狩りはちょっと特別です。

「おっ、そこに倒れる木はとてもポテンシャルある気がしますよ!見てみましょう!」

おじいさんサバイバル番組のパーソナリティを真似して頭の中にしか存在しない撮影クルーに話しかけました。山の中を一人で歩くのとても孤独です。おじさんは想像の世界に浸って、寂しさを紛らしているのです。

おじいさんは鉈を取り出して、倒木に切り込みました。

「ターゲットが傷つかないよう、木の繊維に沿って、こう、ちょっとずつ、軽めにやるのがコツです」

何回も鉈を切りつけると、虫食い穴の中から灰色の蠕虫を発見しました。

「これは.....カミキリムシの幼虫ですね。種類がわからないけど、貴重なタンパク質です。リスクを背負って獣を追いかけたり、苦労して罠を仕掛けりするより、コツさえ掴めば簡単に確保できる虫の方が効率がよく、サバイバルにおいてかなり重要です。それに虫に関心を持つ団体さんが殆どないので苦情も来ません」

想像上のカメラに目線を配りながら、おじいさんは幼虫をカゴにいれました。

「さて、もう少し奥に進んで、何かあるか見てみましょう!」

おじいさんがまた歩き出しました。すこし離れたところに新しい発見がありました。

「あっ、あそこを見てください!」

おじいさんが指さしている先、木の枝に半円形のミツバチの巣が付いていました。

「ハチミツは人類が初めて口にした甘露です。カロリー補充だけでなく、医療にも役に立ちます。是非ここで入手したいところだが生憎、今の装備じゃ巣に触れた途端に数百の蜂に襲われて蜂毒で死んでしまうでしょうね。仕方ない。ここは諦めて別の日にまた来ましょう……」

おじいさんは残念そうに歩き去った。そしていきなり戻ってきました。

「なんちゃって!こんな絶好のチャンスを見逃すわけないじゃないですか。こういう時のために奥の手をあるです。呼ォー、嘯ゥー……」

おじいさんは呼吸法を行って、内功を全身に巡らせた。おじいさん体温が徐々高まり、皮膚が赤くなっていきます。

「呼ォーッ! 嘯ゥーッ!」

更に呼吸を深めて、右手に内功を凝縮する。おじいさんの右手が溶鉄じみた赤橙色に光りだして、陽炎めいた熱気が立ち昇りました。

「これは本当あまり使いたくありませんけどね。ずるだし、皆さんの参考になれませんし。でもせっかくののハチミツなのでどうか許してほしい。では行ってきます。哼ッ」

おじいさんは垂直ジャンプして燃えるチョップで枝を切断し、リバウンドを取るようにハチの巣を掴みました。ハチの大群が巣から飛び出ておじいさんに襲い掛かるも高熱対と化したおじいさんに足もつけません!巣を捨てて逃げだすミツバチたち。逃げ遅れたハチはそのまま巣の中で蒸し焼きされておまけのタンパク質になりました。

「良質カロリーゲット!おばあさんが喜ぶぞ!」

おじいちゃんは意気揚々と家へ帰りました。そしておばあさんが持って帰った巨大チャーハンを見て絶句しました。

(続く)



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