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灰汁詰めのナヴォー

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2019年3月の記事一覧

ジ・エンド・オフ・コーン・ウォー③

ジ・エンド・オフ・コーン・ウォー③

「ハァー……ハァー……ハアー……畜生っ」

 麺棒男は右脇腹を抑え、テーブルを掴んで辛うじて立ち上がった。激闘の末、店長の女含めた二人の従業員を重金属麺棒で頭がべちゃんこになるまで叩き、タコスにしてやった。

 頭の裂傷から血が滴り、上半身に数か所に打撲痕が見られる。さっきの戦いでトマホークを模したヘラに裂けられた脇腹がやばい。出血とともに血中コーン濃度が下がり、麻薬コーン『トルナーダ』がもたらし

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ジ・エンド・オフ・コーン・ウォー②

ジ・エンド・オフ・コーン・ウォー②

「ミャラダ(糞)!やりやがった!」「消火器だ!」

 炎上するバリケードを鎮火しようと、タコス店員が慌てて隅に置いてある消火器を取り、ホースを持って噴射し始めた。その時である。

「オーホッホッホホハハハハーッ!」CRAAAAASH!哄笑と共に、燃えているバリケードを半裸の男が体を丸めた姿勢でぶち破り、空中で体操選手めいて一回転してテーブルに着地した。

「バスタード!」銃を構えなおす店員に対して

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ジ・エンド・オフ・コーン・ウォー①

ジ・エンド・オフ・コーン・ウォー①

 コーン・ウォー、それはいつ、どこで、なぜ起きたのか、様々な説が飛び交っている。飲み会の席でタコスとブリトーをめぐる論争が銃撃戦になったとか、食品会社がトルティーヤの出荷先をブリトー店に間違えて、仕事できなかったタコス屋が逆上してブリトー店を襲ったとか(逆にブリトー屋がタコス屋を襲った説もあり)……もはや原因などどうでもよかった。一度起きた戦争が地球温暖化みたいに歯止めが効かず、タコス派、ブリトー

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専用控室にて

専用控室にて

 前回

 専用に控室、それは一定の位階以上のグラディエーターのみが使用が許される個室のこと。簡素ではあるがきれいな水が入ったバケット、毛布を敷かれたベッド、テーブルに蜂蜜酒が入った陶器の瓶が置いてある。戸をくくると付き人のオーキッドが心配そうに向かって来た。

「ストラウベリーさん!ご無事で……」「大事ない。かすり傷だ。それよりちょっと場を外してもらえぬか?」「でも」「頼む」チャンピオンの切れる

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