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個人ゲーム開発記:パズルゲーム「#Conet」前編

個人でゲームを開発・販売しています。2020年は3月にノベルゲーム「私は猫になりたい」、6月に3Dステルスゲーム「獄門ペンギン」をリリースしました。他に2本のゲームを開発中で、2021年内のリリースを目標にしており、その内の一本がパズルゲーム「Conet」です。

2019年秋頃に企画を思いついて一旦作り始めたものの「獄門ペンギン」の開発に押され頓挫し、2020年秋頃から制作を再開、大幅に手を入れあちこち改変しました。2021年1月現在、ストアページを公開済み、ビルドデータも審査に通しいつでも早期アクセス開始できる状態で、ここまでを前編として記事にまとめます。

2019年11月:企画書? を学生バイトさんと共有

この時期、実況で見た「UNO」が面白くて、よく拝見していました。私はもともとカードゲームそんな好きじゃないんですけど、実況のUNOは、効果音やUIで今何が起こっているのかよく分かるようになっていたので、「ルールが見えにくいので覚えきれない」ことがなく楽しめたのが大きかったです。そこで「すでにある、みんなが知ってるゲームでもルールを可視化すれば、より面白くできるのでは?」と思いつき、昔、「ヒカルの碁」を読んだときの記憶を頼りに囲碁ルールを可視化できないか、企画書に落とし込んでいました。

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これを渡して1〜2日くらいで、バイトさんがプロトタイプを作ってくれました。

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作ってもらったら割と面白かったんですが、すぐに

・先攻が有利すぎる

・ある程度遊ぶとゲームが頭打ちになる

これらの問題にぶつかってしまいます。バイトさんが、こういったゲームの特徴を熟知していて、「囲碁や将棋でも先攻が有利」など、はっきりした正確な指摘をしてくれるので助かりました。

ルールを整理しながら、ネット対戦の実装をしたり、見た目を多少整えたりします。ただ今思えば、ネット対戦実装する前にもっとルールを精査しておくべきでした。

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そうこうするうち、「獄門ペンギン」を2020年のBitSummitに出展するという目標を優先したため、ネット対戦を実装してもらったあたりでこちらの開発は一旦止まってしまいました。そうこうする内バイトさんは卒業してしまい、次にこの企画が動くまでに1年ほど要します。

2020年10月:ゲーム会社さんの協力で開発を再開

ご縁があって、私からビットグルーヴさん(以下:ビットさん)に開発の続きをお願いすることになりました。

なぜ個人が会社に? 普通逆なのでは? 

詳しくは守秘義務に抵触するといけないんでふわっと書くと、ビットさんとは前から顔見知りでして、お話によれば私から開発の仕事を請けていただくことで先方にも利益があるとのこと。こちら個人だし今まで学生バイトさんと細々やってきてて大金をバーっと払えないのもご了承のうえで、何につけてもこちらの事情を一から説明しなければ…という負担がほぼないのはありがたかったです。

余談:ビットグルーヴさんとは以前から何となく顔見知りであるので断言しますが、2021年現在、労働環境がドホワイトなんで「ゲーム業界は目指したいがブラックだと嫌だなあ」という人にお勧めします

ただ実際、個人が企業に頼むというのはかなり特殊なケースのようで、ゲームエンジンとして使っていたUnityに利用料金が発生するのか、ビットさんが色々調べてくださったものの、どうするべきか載っていなかったため窓口へ直接問い合わせしたほどです。

例えば「企業が個人に依頼する場合」は、企業の規模に応じた利用料を払う必要があるんですが、逆は載っていないし、もし逆も支払う必要がありかつビットさんの規模に見合う料金体系となると1年につき数十万支払うことになります。その場合は他のエンジンに乗り換えなければいけないとこだったんですが、Unityさんによると今回のケースでは個人利用の範囲になる(※)というご返答をいただき、無事Unityでの制作を続けることとなりました。

※個人→企業の依頼が必ずしも無料になるということではなく、ケースバイケースのようです

この頃、私の手元にあって開発が進められていない企画は何本もあったのですが、その中で比較的開発期間が短く済みそうなのが「Conet」(この頃は「ツナゲル!」という名前だった)で、その旨ご提案すると、ではそれで進めましょう、となりました。

とは言え、レベニューシェアに頼るだけでは売り上げがさっぱりだったとき顔向けできないので、補助金を全面的に頼ることにしました。

開発と平行しながら補助金の申請も通し(めちゃくちゃ大変でしたしまだ全額振り込まれておりません泣)、私は依頼費用のうち一部を負担することになりました。

ビットさんと相談して、ひとまずスマホバージョンは諦めること、もともとスマホを視野に入れていたため、タップしやすいよう5×5だった陣を、少し長く遊べるよう6×6にしようということになり、実装してもらいました。

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2020年12月:デザインを変更することになりました

見た目もうちょっとなんとかした方がいいんじゃないでしょうか、とビットさんからご意見があったので何案か作って提出しました。

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何でそんな何案も作るの? と聞かれるんですけど、作ってる間に副産物的にできるのです。設計図を書かず手癖で作るとこうなります。

この頃、ゲーム名を「ツナゲル!」から「Conet」に変更しました。Steamストアに変更をお願いするメールを送ると「タイトル変わりすぎでは? 別のゲームになるんですか?」と疑われてしまいました。google翻訳を使って長々と言い訳をすることになって辛かったです。

2020年12月11日:Steamストアページをオープン

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この頃は、年内にアーリーアクセス開始を予定していました。年内、というと年末の大型セールにローンチセールを被せられるのは良いと考えていたためです。しかし、その旨Steamに問い合わせてみると、意外な返事がありました。

意外、というのは、「大型セール期間中のローンチセールは、大型セールに含まれない」ということ、もうひとつは「Steam側が売り方についてアドバイスくれた」ということです。先方が人力なので英語でやりとりするのに苦労もあるのですが、人力だからこそこんな風に助かることもあります。

アドバイスには素直に従い、年内発売を見送りました。実際、12月11日ストアページオープンで同月末に早期アクセス開始というのはやや性急で、売り方としてもウィッシュリスト登録を増やすにはストアページ公開→販売開始は間を開けるべきなので、良い判断であるはずです、多分。

2020年12月末:テストプレイ、ビルドデータ審査など

テストプレイを知り合いに頼んだところ、良い感じのアドバイスをもらえて喜んだのもつかの間、「ルール説明のスクショか動画あった方がいいんじゃないでしょうか」というド正論を喰らいました。クソッ誰が作ると思ってんだよ! と愚痴を言いつつ、アドバイス元の人は私が何をどのくらいできる人間か知った上で言ってきているので、当てずっぽうでも余分でもない正当なアドバイスなのです。経験上苦すぎる、制作者を傷つけるようなアドバイスはただのクレームに過ぎないのですが、賢臣のアドバイスは大体ちょっとだけ苦い。

動画を撮ったり構成しているうちに、ビットさんから新しいデータが上がってきて撮り直し、この動画作るだけで3日くらいかかってしまいました。

また、いつも発売間際になって審査に通るか通らないかハラハラすることになったりするので、早めにビルドデータだけ審査に提出しておきました。今回は一回で通りましたが、Steam側から「一部翻訳できてない箇所があるよ」と注意されました。中身は見られていないと思ってたんですがさすが人力…!

早期アクセスの項目も問題なかったようで、これでいつでも早期アクセスを開始できます。ゲーム自体はビットさんのおかげで概ね完成している状態ですが、まだ少しtodoが残っているので、相談しつつ時期を決める予定です。

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