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26歳男性・読者初心者が選ぶ【読んでよかった10冊の本】たち

本を紹介するYouTubeへの出演をきっかけに、2年前くらいから小説を読むようになりました。
自分の好きな作風や、好きな作家がわかってきたところです。と、同時に世間的に有名な作家に案外自分はハマれないことも知りました。

今回は、今まで読んできた本の中で読んで良かった10冊をピックアップしてみました。ぜひ、皆さんの参考になれば幸いです。(少しひねくれている人のほうが刺さるのかも。)

「正欲」朝井リョウ

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2021年ダントツで良かった作品。

「多様性」をテーマにしているのですが、世間で言う多様性って、自分の“素性”や“性癖”を明かしても“否定されないレベルの人が作り上げた多様性”でしょ? 多様性とか言いつつ勝手に“セーフとアウト”の線引きは行われている。同性愛は比較的“受け入れられている”多様性だから羨ましい。みたいなスタンスで冒頭からくるので、頭を殴られた感じがします。
この本を読んだ人と、読んでいない人とでは「多様性」の解釈が変わりそうだし、実際ぼくは多様性って言葉を使わないようになりました。
しかも、これだけのメッセージ性をちゃんと物語に落とし込んで魅せているのが本当すごい。

「さびしいまる、くるしいまる。」中村うさぎ

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ホストにハマった女性の話(ちなみに実話)

ぼくが最も尊敬するエッセイスト・中村うさぎさんが書かれた実話。これまでも、買い物依存症や整形を繰り返していることを題材にしてきましたが、今回はホストにハマった話。本の売上げも前借りしてホストに使っていたそう。

自身がハマった理由や、抜け出せない理由をあとから客観視して考察がしていくのですが、推しを追いかけている自分には刺さりまくった。言語化の神。
ちなみに。ホストにハマったのは「彼の頭が悪かったから」という理由なんですが、これを理解できた人にもできなかった人にも読んでほしい。

「恋空」美嘉

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平成を生きたぅちら卍にとってゎ、バイブルともゆーべきケータイ小説。

今の子は「恋空」を読まずして育っていいの? と老害したくなるほどには、萌えと苦しさで心臓が凝縮を繰り替えす恋愛小説。 
ただ、最後の方はかなり深刻な出来事が畳み掛けてくるので、当時小学生の自分はよく読んでいたなとも。まぁ、これに鍛えられたおかげで、平凡な恋愛物語を好まない大人になりましたが。
生まれ変わったら、「恋空」のヒロか「ストロボ・エッジ」の安堂くんと恋愛します(26歳 成人男性より)。

「未来」湊かなえ、「スモールワールズ」一穂ミチ、「52ヘルツのクジラたち」町田その子

読書

読んでいてツラいのに、止まらなくなる3冊

ホラー映画が苦手な自分は「お金を払ってまで嫌な思いはしたくない!」と主張してきたのですが、お金を払ってでも嫌な思いをしたい気持ちが理解できた3冊。
どれも冒頭を読み進めるだけで「そこまで不幸な設定にしないでよ…」って嘆きたくなるほど報われない感じが充満しています。

ミステリー要素まで求めちゃうなら「手紙」。
読みやすさを求めるなら短編集の「スモールワールズ」。
最後の最後に生きる希望を見出したいなら「52ヘルツのクジラたち」といった感じでしょうか。

「アスク・ミー・ホワイ」古市憲寿

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コメンテーターも務める社会学者・古市さんが描く男性同士の恋愛物語。

一般人男性とイケメン俳優の恋愛、はい最高。
一般人男性が「お、おれなんかが…」みたいなスタンスなんだけど、それを俳優のほうは気にしていなくて、終始クゥ~ってなります。結局途中でも「やっぱりおれなんかじゃ」って言い出してくれて至高。
渡航先のヨーロッパが舞台ってこともあって、異国情緒も味わえるし、2020年読んだ本の中では1番好きでした。

「アイドル、やめました。」大木亜希子

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元SDN48のメンバーだった著者が、卒業生にインタビューしまくるノンフィクション。

紅白の出番が終わると同時に、舞台装置を運ぶような大きなエレベーターに大量のメンバーと乗せられ、ロケバスでNHKから移動し、年明けの瞬間にはいつも家族と家にいた……的な描写が何故か未体験の自分にも刺さりすぎて、アイドルを“消費”するのではなく、しっかりと向き合って愛そうと決意できた。キャリアでもあり思い出でもある「アイドル」をそれぞれがどう語るのかは必見。

「いつか別れる。でもそれは今日ではない」F

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エモさを含みつつも端的には伝えつつ、でも読みたいとも思わせる。これを超えるタイトルを付けられる自信がない。

「あなたの悩みは、実は普遍的だよ」と言われることで、救われたり傷ついたりできる本。自分のあれこれが言語化されることでスッキリしつつも、表現能力に強烈な嫉妬も生まれるちょっとだけ悔しくなる作品。

「むきだし」兼近大樹

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芸人・かねちーの実話?だと思うんだけど、そうとは言わずに書かれた物語。

主人公のヤンキー度合いや荒れている感じがリアルなので、感情移入がしやい。子どもの貧困や、そこから派生する不幸?についても考えさせられる。
自分が加害者になってしまったのは、もともと被害者だったからでは? でも社会を攻めたって現実は変わらない。世界にはもっと貧困で困っている子どもがいる……と常に壁にぶつかりつつも、結局はどうすることもできないもがきを味わうのですが、でも今のかねちーって、すごく明るいしテレビにも出てるし、どうしてこうなれたんだ!?って先読みしながら進められる1冊です。

なぜ本を読むのか

ぼくは、ちゃちな人間なので、物語に出てくる主人公の不幸さに、共感したり、自分はここまでは酷くない状況を生きているなと安心したりしています。世の中にはもっと知らなくてはいけない“不幸”や、どうにもできない“壁”があるんだと実感もします。

あとは映画と違って、「なんであぁ表現したんだ?」「あの画角良かった!」など小賢しい感情を抱かずに作品に没頭できるのも良いのかもしれない。

「フィクション」と謳う小説であっても、実際は参考文献があったり、体験者にインタビューしたりしているのだから、実質「ノンフィクション」なのだとも思う。
双方的なコミュニケーションは一切取らずに、1,500円程度を払えばいろいろな人の価値観や人生を味わえるのだから安いのかもしれない。

みなさんもおすすめの本とかあったら、是非教えてくださいね。

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