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朝ドラ「ダメ親父」の系譜

朝ドラ『おちょやん』の視聴率が低迷しています。理由は色々あるでしょう。例の感染症の影響で朝ドラ視聴習慣が弱まった。初週の暗すぎるスタートで躓いた。そして“朝ドラ史上最悪のダメ父”と評される、テルヲ(トータス松本さん)の存在。出てきた週はダイジェスト版でいいかなと思ったり。

しかし、程度の差はあれ、“ダメ親父”は朝ドラの伝統。あまり古いとあれですので、2000年以降でちょっと取り上げたいと思います。まずは、沖縄ブームを巻き起こした『ちゅらさん』(2001年)。

主人公・恵里(国仲涼子さん)の父・恵文(堺正章さん)は、サボりがちなタクシー運転手で、美人に弱い恐妻家。とはいえ、愛すべき性格で、妻・勝子(田中好子さん)と昔の恋人の子供・恵尚(ゴリさん)を、自分の子として育ててきたという背景も。

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次は大分県湯布院が舞台となった『風のハルカ』(2005年)。主人公(村川絵梨さん)の父・陽介(渡辺いっけいさん)は、脱サラ&離婚して、湯布院にレストランをオープンするも失敗し、娘たちと貧乏暮らしが続きます。

とはいえ、これまた愛すべきキャラだったからこそ、様々な人たちの協力を得て、レストランを復活させることに。ちなみに、本作で視聴率が振るわなかった脚本の大森美香さんは、朝ドラ『あさが来た』の大ヒットでリベンジ。 今年の大河ドラマ『青天を衝け』にも抜擢されました。

最後は、石川県能登が舞台の『まれ』。主人公・希(土屋太鳳さん)の父・徹(大泉洋さん)は、一攫千金狙いの山師体質で、事業に失敗して、一家で能登に引っ越してきた設定。

前2者同様に愛すべきキャラではあるのですが、たびたび同じ失敗を繰り返し、ついには家族を捨てて失踪。最後は元に戻りましたが、妻の藍子(常盤貴子さん)が不憫で。大泉さんだからこそ、許されたキャラだったかも知れません。

他にも『スカーレット』(2019年)の常治(北村一輝さん)や、『エール』(2020年)の三郎(唐沢寿明さん)など、ダメ親父は多様ですが、今回のテルヲは、朝ドラの世界観からは許容範囲外かな。千代(杉咲花さん)のため、視聴率のため、そして視聴者のために、早期のナレ死を。


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