ドラマ日記『不適切にもほどがある!』(第5話)
中学の体育教師で、野球部顧問の小川市郎(阿部サダヲさん)が、1986年から2024年の現代へタイムスリップ。昭和のダメおやじの「不適切」発言が、令和の停滞した空気をかき回す意識低い系タイムスリップコメディ『不適切にもほどがある!(#ふてほど)』の第5話。
「父親に会って欲しい」と渚(仲里依紗さん)に連れられた市郎は、犬島ゆずる(古田新太さん)と対面していた。なぜか市郎のことを「おとうさん」と呼ぶゆずるに対し、 “おとうさん”はそっちだとイライラする市郎。そのやり取りを見ていた渚は、市郎にある写真を見せるのだった。
大方の予想通り、ゆずるは市郎の娘・純子(河合優実さん)の夫で、渚はその娘、つまり市郎の孫でした。若い時期のゆずる役として、錦戸亮さんが登場。
宮藤官九郎さんの『ごめんね青春!』にも主演した錦戸さんが、5年ぶりの地上波ドラマ登場。ジャニーズに忖度し、彼を干してきたテレビ局が「不適切にもほどがある」と思わせるだけの演技力と華は変わらぬまま。
純子はスケバンを卒業し、ストレートで大学合格。モデルも始め、ディスコデビュー。そこでゆずると知り合います。階級社会のディスコスタッフの中で、黒服から覇者まで昇りつめるゆずると、それに合わせて洗練され、ワンレンボディコンになっていく純子の演出が秀逸。
冒頭の純子とサカエ(吉田羊さん)と担任(矢作兼さん)の三者面談や、渚のプロデューサー昇進へのお祝いに一万円をティッシュに包み渡そうとする祖父を自覚した市郎、八嶋智人さん(本人役)の不倫疑惑からのけん玉など、前半は相変わらずのコメディでしたが、後半一変。
妊娠した純子とゆずるの結婚を認めなかった市郎でしたが、実家を継ぎ、仕立て屋となったゆずるから、市郎のスーツを仕立てたいと申し出。純子に連れられた市郎は、最終的には朝まで飲み明かすほどゆずると打ち解けますが、純子と二人震災で亡くなるまさかの展開。1995年1月17日午前5時46分。
その事実を知った市郎は、ゆずるがかつて仕立ていた自分用のスーツを受け取りに行きます。無念や絶望や達観など、様々な想いを飲み込んだ上で、ゆずるを気遣った市郎のセリフが泣かせます。
「でも、良かった。ちゃんと打ち解けて、仲直りして、酒飲んだり、孫抱っこしたり、そういうの一通りあるんだ。楽しみだ。」
スーツを着込んで、煙草を吸うシーンもカッコよかったなあ。折り返しの第5話にして主人公と娘の死が描かれた本作。このまま受け入れるのか、それとも未来を変えようとするのか。注目の第6話。
余談:TVerで、TBSドラマ『空飛ぶ広報室』(2013年)の配信が再び始まりました。東日本大震災が描かれた朝ドラ『あまちゃん』と同じ年に放送された本作でも、終盤では震災が大きなモチーフとなっています。未見の方は是非。傑作です。
追記:木村拓哉さんが春ドラマに主演することが発表されました。内容は明らかではないですが、解禁前のネットニュース情報では、冤罪の脱獄囚役で、共演は天海祐希さんや竹内涼真さんとか。脚本は黒岩勉さんを予想します。
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