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女性と飲酒率

朝ドラ『虎に翼』の主人公・寅子(伊藤沙莉さん)の飲酒に関しての記事を書いている最中から、一般女性が広くお酒を飲むようになったのは、どういった経緯があるのだろうと考えていました。

まずは「特定非営利活動法人ASK」の記事から、具体的な数字を見てみましょう。

旧総理府世論調査によると、20代の女性の飲酒率は1968年には24%でしたが、87年には54%と2倍以上の伸びを示しています。東京都の調査をみると、20代の女性の飲酒は2000年には74.8%。

2003年の厚生労働省の調査ではついに80%に至り、2008年の厚労省研究班による全国調査では、20代前半で女性の飲酒率90.4%となり、男性の83.5%よりも高くなるという逆転現象が起きました。

女性の社会進出の進展ということが大きな要因だとは思うのですが、ここでは個人的な記憶を頼りに、違うアプローチから推測してみたいと思います。

先の数字を見ると、60年代から80年代にかけて大きく伸びています。これには女性の大学進学率の上昇(1968年が14.4%→1987年が35.1%)、新歓コンパや合コン文化、全国展開する居酒屋チェーンの躍進と酎ハイブームがまずあったと考えます。

1980年代、「居酒屋御三家」といわれた一つ「村さ来」が、原価の安い焼酎に、炭酸と甘めのシロップを混ぜた「酎ハイ」を発明したことから、一大ブームに。それまでの日本酒やウイスキーなどの強いお酒や、ビールなどの苦い系ではなかったからこそ、女性の酒へのハードルを下げたのかなと。

バブル期の1980年代後半になると、「居酒屋はちょっと…」というようなオシャレ層やデートカップル向けに流行ったのが「カフェバー」。カクテルなども提供していて、「カルア・ミルク」など甘い系が流行。トム・クルーズ主演映画『カクテル』の日本公開が1989年でした。

バブル期には最初の「ボジョレー・ヌヴォー」ブームが起こりますが、本格的な赤ワインブームはバブル崩壊後、ピークは1998年といわれています。今は亡き川島なお美さんが「私の体はワインでできているの」と発言したのも1998年。ポリフェノール効果が広く知られるようになった時期でもあり。

少し遡りますが、尾瀬あきら先生の漫画『夏子の酒』の連載が始まったのが1988年。和久井映見さん主演で1994年にはドラマ化もされました。その後の日本酒ブームや世界的な「SAKE」ブームの起点にもなった作品で、女性への日本酒浸透にも一役買っているように思われます。

新久千映先生の漫画『ワカコ酒』の連載がスタートしたのが2011年。2015年からは武田梨奈さん主演でドラマ化され、現在もシリーズが続いています。主人公の村崎ワカコはなんでも飲みますが、日本酒がやはり一番絵になります。女性の外での一人酒ハードルを下げた作品でもあるのかなと。

晩酌ドラマなら、栗山千明さん主演の『晩酌の流儀』シリーズ(2022年~)がありますし、ドラマ内の1シーンとしてなら、今期は『アンメット』や『燕は帰ってこない』でも主人公が缶ビール飲んでいました。飲酒シーンに注目してドラマを見るのも一興です。


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