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ドラマ日記『イチケイのカラス』&『珈琲いかがでしょう』(第3話)ほか

東京地方裁判所第3支部第1刑事部(イチケイ)を舞台に、自由奔放な裁判官・入間(竹野内豊さん)とイチケイメンバーの活躍を描く『イチケイのカラス』第3話。小日向文世さんが本気を出してきました。

ガラス工房で働く藤代(岡田義徳さん)が、市役所の職員・野上を死なせ、遺体を損壊した罪で起訴された。藤代には前科があり、かつて駒沢(小日向さん)が裁判長として減刑判決を下した人物だった。藤代は罪を認めるが、駒沢は証拠を徹底的に精査しなおすよう指示する。

今回は入間の出番が少な目な、駒沢メイン回。とはいえ、合議制を選択し、裁判長を入間が担い、職権発動で新たな証拠(証言)を発掘、それまでの流れをひっくり返し、最後は入間が法壇から降りてくるというフォーマットは健在。

ここまで“たぬきオヤジ”と評されるほど、飄々としていた駒沢でしたが、警察側の「不見当(不検討)」に激怒。さすが無罪判決30件の伝説の裁判官、その信念がしっかりと刻まれた、小日向さんの名演でした。「ただ単に信じることは、知ることの放棄」など今週も名言多数。

続いては、移動珈琲店「たこ珈琲」の店主・青山一(中村倫也さん)が、さりげない言葉で、日々がしんどい人々を癒す、優しくもほろ苦い、人情珈琲群像劇『珈琲いかがでしょう』第3話。

サラリーマンの飯田(戸次重幸さん)は、周囲に慕われていることを自覚し、女子社員に青山の珈琲を奢るなど、いい上司をアピールしていたが、ある日思わぬ事実が発覚…。青山はスナックのママ・アケミ(滝藤賢一さん)と出会う。なりゆきで店を手伝うことになり、あっという間に人気者に。そんな折、偶然アケミの同級生・遠藤(丸山智己さん)が来店し…。

前半「男子珈琲」は軽めなエピソード。自分ではイケオジのつもりだったのに、実は女性社員たちから陰口を叩かれる痛い存在だったというオチ。TEAM NACSの“ミスター残念”の異名を持つ、戸次さんならではのキャスティングの妙。ブレンド珈琲の例えは、『バイプレイヤーズ』にもつながり。

後半「金魚珈琲」は重いエピソード。再会した憧れの同級生はマルチ商法の人だったというストーリー。久しぶりに連絡してくる、昔の友達は警戒しちゃいますね(借金・宗教・マルチ)。もはや得意技でもある滝藤さんの女装と、回想シーンでの荒ぶる青山(金髪)が素晴しい。

最後は、ほとんどの大人が“同じ顔”をした不条理な国を舞台にした青春ダークファンタジー『きれいのくに』(第2話)。

突然妻の恵理(吉田羊さん)が十年前の恵理(蓮佛美沙子さん)の姿に若返ってしまった!夫の宏之(平原テツさん)は困惑するが、恵理も周囲も若返った事実に全く気づかない。一方、恵理は封印していたある思いをよみがえらせる…!20代の頃、駆け出しの美容師だった恵理(小野花梨さん)は、カメラマンの健司(須賀健太さん)とつき合っていたのだが…。

初回に比べると時系列などがわかりやすくはなっているものの、まだまだ難解かつ謎多きストーリー。若者向けの攻めた作風で知られる「よるドラ枠」ですが、本当の意味で挑戦的(実験的)なドラマになっています。こんな作品が連ドラで成立するのは、NHKならでは(受信料喜んでw)。

同じ人物を吉田さんから蓮佛さん、そして小野さんへとつなげる展開。各世代の実力派たちの演技に見入ります。特に、中絶手術前の小野さんの慟哭!彼女のブレイクを確信しました。朝ドラ『カムカムエヴリバディ』では、ヒロイン(上白石萌音さん)の親友役を演じます。


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