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SPドラマ『スイッチ』が傑作だった件

連ドラは毎クールほぼ全て初回を見ていますが、SPドラマは見逃しがちです。そんな作品の一つが、2020年に放送された『スイッチ』。主演は『不適切にもほどがある!』の記憶も新しい阿部サダヲさんですが、事実上は松たか子さんとのW主演。現在配信中のTVerで、やっと見ることができました。

カンヌ国際映画祭で『怪物』が脚本賞を受賞した、日本を代表する脚本家・坂元裕二さんによるオリジナル。坂元さんと松さんは『カルテット』『大豆田とわ子と三人の元夫』、坂元さんと阿部さんは『anone』で組んでますね。

阿部さん演じる検事・駒月直と、松さん演じる弁護士・蔦谷円は、学生時代に7年間交際し、現在も腐れ縁。二人の恋愛は、たまたまファミレスで隣席になった脚本家に根掘り葉掘り質問され、『ラブジャンクション』というドラマになったというエピソード(開始6分あたり)。

坂元さんの初期の作品『同・級・生』や『東京ラブストーリー』、あるいは野島伸司さんの『愛という名のもとに』のような、1990年代フジテレビトレンディドラマ風な作中ドラマパロディが最高。タイトルは松さんがヒロインだった『ラブ ジェネレーション』からでしょうね。

当初は、直と円の互いの恋人を交えたラブコメ風に始まりますが、「連続突き飛ばし事件」で死者が出て、刑事事件は担当しない主義の円が、ある被疑者を引き受けたところから、一気にサスペンスタッチに。タイトルの「スイッチ」の意味が分かった瞬間、坂元さんにやられた!感。

実は直と円は十代の頃、バス事故に巻き込まれた、たった二人だけの生き残りで、その直後の交流シーンを、醍醐虎汰朗さんと出口夏希さんが演じているのも貴重。

醍醐さんはアニメ映画『天気の子』の主人公役や、朝ドラ『舞いあがれ!』の吉田学生役、出口さんは『いちばんすきな花』の美鳥の大学時代役や、『ブルーモーメント』のヒロイン役などメジャーになりました。

直と円による終盤の突然キスからベッドシーンまでの長回しが、男女の情欲の盛り上がり方と突発性を、その後のオチ含めてリアルに表現していて、なかなか見応えがありました。

「連続突き飛ばし事件」のキーマンとして、『燕は戻ってこない』主演中の石橋静河さん、朝ドラ『虎に翼』など遅咲きブレイクの岡部たかしさん、日曜劇場の常連の迫田孝也さん、他にも高畑淳子さんや岸井ゆきのさん、井之脇海さんなど名優が脇を固めていて、傑作でした。

余談:昨夜放送された『鶴瓶の家族に乾杯』ゲストは、木村カエラさんで大分県日田市の旅でした。久留米市、福岡市、東京に次ぐ第4の故郷ともいえる日田市だけに、馴染みある風景と人々。日田観光祭で、屋形船に乗って見上げた花火は最高でした。


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