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人生の統合

先日父が入所の前段階、ロングショートに入りました。
このまま特養の空きが出るまで待機となります。
まだ10人待ちということですので、しばらくはかかりそうです。
特養は他にも申込みはしているものの、連絡を返してこなかったり、心無い言葉を言ってきたりと相談員の対応も様々。御本人方は知ってか知らずか、近隣のケアマネジャーさん方からの評判はだだ下がりとのことでした。
やはり父の残された最後の時間は信頼できる施設にお任せしたいと思っているので、余程がなければ前述の対応をされた施設には連絡しないかと思います。
特養側も人を選んでいるのと同じく、利用者側も厳しい状況ながらも選んでいるものです。


これまで父と母はあまり仲が良いところを見たことがありませんでした。
父は仕事人間で朝早くから出勤。
母は専業主婦で家事全般をこなす毎日。
いつも母の口からは父の悪口ばかり聞いていました。
なので父と母は仲が悪いものとばかり思っていたのですが、認知症で普段意思疎通が出来ないことが多い中でも大切な事だけはしっかりと伝えてくることがありました。

「お金は残しておいて、自分が亡くなったあとでもお前(母)が困らないようにしなくてはダメだよ」

多くは語らない父ですが、この言葉に最大限の母への愛情が籠もっているように思えてなりませんでした。
それ以降、母の姿がなくなると心配そうにする仕草などから、母を大切にする父の気持ちに気づく事ができるようになりました。

父本人は自分の意志に反して衰えていく、周りの我々も各々の立場から葛藤を抱え、ひとつひとつ気持ちを整理していく。
これまでは親(保護する立場)と子(保護される立場)だったのが逆転し、役割が変わる。

忙しいながらも、自分ではない人の人生を左右するある意味究極の葛藤や決断と向き合うことで、人は人生の統合に向けて結晶のように洗練されていくのだなと感じています。

私も当初は親との仲が悪く「絶対に面倒なんてみないから!」と思っていました。
いざ目の前の親と向き合ってみて、今介護を経験してよかったと思っています。

そして、多くの方に支えられている事を身に沁みて感じることができました。

幸いにも残っている時間はまだあるので、時間が許す限り両親との時間を取りたいと思います。

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