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こじらせOL.普段言えないことを言いたい

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最近の記事

おやすみ世界

「付き合うことになったんだよね」 「えっ」 友達のその報告に、私の口からは おめでとう とか 良かったね って言葉は出てこなかった。あーあ、やっぱり最低なヤツだ。 何が最低なのかもわからない。ただ、頭がくらっとして、口角を上げるだけで精一杯だった。もしかしたら上がってなかったかも。 ちょぴり照れた仕草を見せつつも、友達は言葉を紡いだ。馴れ初め、告白のセリフ…いやだ、聞きたくない。 でも何か言わなきゃ。返さなきゃ。 冷たいヤツって思われたらどうしよう。 少し前まで、2

    • 忍び寄るくろいかげ

      「めんどくさ・・・」 思わず言葉が漏れてしまった。向かう先は自分自身だ。 25歳にもなって、人間関係に悩んでいる。学校での人間関係が人生の全てであった、学生時代みたいに。 ・遊びの誘いを断られた ・気がついたら自分からばかり誘っている ・“また遊ぼうね”の社交辞令を真に受けてしまう ・親友と思っていた人と疎遠になってしまった 大人になるにつれ、よくあることだと思う。でも、受け止められない。 合わないと思ったらその人から離れて、さっさと次行きましょう。 そんなのは“

      • 朝マック

        子どもの頃、家族で食べる朝マックが最高のごちそうに思えた。 母は毎朝ごはんを用意してくれる人だった。父や子どもたちのお弁当のついでや、休日はスーパーで買ってきたパンが置いてあるだけの日もあり、特別手が込んでいるという訳ではなかったが、私は毎朝起きたら食べる物が用意されているのがどれだけありがたいことかを知っている。 そんなある日、父が朝マックに行こうと言い出した。あまり外に出たがらない父が、朝イチで車を走らせてマクドナルドを買いに行こうだなんて。 子どもながらに不思議で、

        • ひとりぼっちの春子

          春子には友達も恋人もいない。 人付き合いは苦手な方だと思う。些細なことが気になってしまって、一喜一憂するのに疲れて、いつからか人付き合いを避けるようになってしまった。 そうすると、そういうオーラが出てくるんだろう。自然と遊びに誘われることも、声をかけられることも減っていった。 寂しさを感じる時もあるけど、今更、そんなこと声に出して言えない。どうしたらいいかもわからない。 年末年始は特に現実を思い知らされる。 クリスマスに恋人がいないことを揶揄して「クリぼっち」なんて

        おやすみ世界

          呪い

          突然、首を絞められたような感覚になる。 苦しい。 ついさっきまで、友達と楽しくおしゃべりしていたのに。 視界が歪む。 呼吸が浅くなる。 話しかけてくるその声が、雑音に聞こえる。 もがいても もがいても なかなか離れないそれは、きっと呪いだ。 どうしてこんな目に遭わないといけないのか。なぜ私が選ばれたのか。 過去も今も未来も、全て否定された気がして、薄れゆく意識の中、必死で何かに縋ろうとする。 やっとの思いで掴んだものも、どうやら偽物だったみたい。すぐに千切れた、

          呪い

          ニンニクの香り

          社会人になって、満員電車に乗るようになった。 おじさん、おばさん、若いお兄さん、お姉さん。年寄りや子どもはあんまりいない。 どうしても、隣の人と距離が近くなる。それは仕方のない事なんだけど、ときどき、どこからともなくニンニクの刺激臭が漂ってくる時がある。 最初は、ニンニク料理を食べた人が横に来たんだと思った。朝の通勤時間から、パンチ効かせた人がいるなぁと。 でも、その香りは別の日もやってきた。 あ、まただ。 今すぐ思い出せと言われても思い出せないんだけど、かいだら

          ニンニクの香り

          彼女

          スマホをいじる僕の横で、忙しなく動いてる彼女。 自分用の可愛いパジャマがあるのに、なぜか僕のパジャマを着ているから、お尻がちょっと見えてる。可愛い。 さっきまで、ちょっと寝癖がついていた無造作ヘアはいつの間にかきれいにセットされている。 うん、どっちもいいな。 ほんのりピンクになった頬。 キラキラの目元。 最後にリップを塗るはずなんだけれど、どうやらどれを使うか迷っているらしい。 コスメが大好きな彼女は、たくさんあるリップを眺めながら、なんだかブツブツ言っている。

          彼女

          からあげ屋さん

          自宅の最寄り駅近くを歩いているとき、 ...あ。 小さく声を漏らした。 テイクアウト専門の、からあげ屋さん。 一番大好きだった元彼と最後に会った日に食べた、からあげ屋さんの新店がオープンしていたのだ。 私はからあげが大好物だ。 世界一好きかもしれない。 からあげを最初に発明した人に、なんらかの賞をあげるべきだと思ってる。 そんな、からあげに目がない私に、 あこちゃんが好きだと思って。 って、元彼は自分の家の近くのからあげ屋さんに連れて行ってくれた。 そうやって

          からあげ屋さん

          父が嫌い

          昔から、父親のことが苦手だった。 頑固で、自分のことが一番正しいと思ってるような人。うちは母親が専業主婦かつ 頼りない性格だったこともあり「俺のお金でお前らは生活できてるんだ!」という上から目線な態度を取られることはしょっちゅうだった。 厄介なのは、決して虐待を受けたり、母親に手をあげるのを見たりしたことは無いってこと。お金持ちではないけれど、父親の収入だけで家族が何不自由なく暮らせて、私立の大学にも通わせてもらえた。 世間的には、私は「羨ましい環境」にいるのかもしれな

          父が嫌い

          夏が好き

          「好きな季節は?」 誰もが一度はこの質問に触れた機会があると思う。わたしはどの季節も好きだけれど、夏が一番好き。 周りでは夏が好きというのは少数派のようだ。冬はたくさん着込めばあったかいけれど、夏は脱ぐのに限界があるじゃんって何度言われたことか。 てか、いくら着込んでも寒いときは寒いし。 夏が好きと言うと、海とかプール、BBQなんかが好きと思われがちだが、これらは正直苦手な部類。 わたしが好きなのはクーラーをガンガンにつけるちょっとした背徳感、キャミソール・ショート

          夏が好き