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ある本を読んで

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2018年4月の記事一覧

読むということ

「辰さん」の妙にはしゃいだ声は、じっとり湿気を含んだ足下のコンクリートに吸い込まれていった。

柴崎友香さん「春の庭」より

この一節を読んで、ああ、こういう文章に出会いたくて、私は本を読んでいるのだなあと思った。

映像ではなく、文字でしかできない表現。

私が活字が好きなのは、「言葉にして文字で表現する」ということ、そしてそれを「読める」ということに、とても人間らしさを感じるからなのかもし

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「それを愛とまちがえるから」井上荒野著 を読んで。

いつでもそうなのだ。今度こそ何かがはっきりすると期待して、結果的には混迷がいっそう深まることになってしまう。

なんだか言えなかったり、言い間違えたり、言ったら本当になってしまったり。

みんながそうかはわからないけれど、少なくとも井上さんもきっとそんな風に日々を感じていて、私がモヤモヤ眉間辺りに溜め込んでいることを、じょうずに言葉にしてくれて、それにすごく救われている。

(ただ、文庫に関しては

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