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洋上の学びの場「世界青年の船」事業レポート#3 そこにある気づきと成長の機会

船上研修、寄港地活動、日本国内の陸上研修を通して、とにかく中身が濃く、毎日が新鮮で楽しそうな生活で…という印象を受けた方も多いと思います。ではそこにどんな学びがあるのでしょうか。どれだけ上手に言語化をしても、11カ国の若者が1ヶ月半を制約された環境下で共にするという特殊な環境の真価は、その環境に身を置いたことがある人以外に伝えることは難しいです。プログラム中に自分のノートに記した、まとめきれないほどの「気づき」のメモがあるのですが、ここでは最も重要と思った点を絞ってお伝えします。

1)Discover the world, explore yourself. 世界を発見し、自分自身を深掘りする場所

ひとことでこのプログラムを表すなら、上記が適しているのではと私は考えています。10カ国の人たちと寝食を共にして、船で外国を訪問するという特異な体験は、世界各地を旅したことがある人でも、新たな視点で世界を捉える気づきを見つけることができます。その体験を通して新たな自分の可能性を見つけたり、深く内省することが起きる空間でもあります。それを可能にするのは、次の2つの環境があるからではないかと思います。

1.外界との接触がない、特殊な環境
デジタル化が進む現代だからこそ、通信ができずアナログのコミュニケーションを取らざるを得ない環境で一定期間を過ごすことに非常に意味があります。普段よりも他人や自分と向き合う時間が長くなることで、新たな発見を得たり、自分を深掘りすることができるからです。
また、不要な情報から遮断されて目の前の人とface to faceのコミュニケーションをすることで、lineでスタンプひとつ返すのではない、聴く力と伝える力が養われます。そして「ググる」ことができない状況で自分の知識を総動員して考える力が必要になります。

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スマホとPCを手放せなかった私にとっても本当に貴重な期間で、通知が来てすぐに返答しないと、という切迫感から解放されることで生まれる思考の余裕が心地よく、戻って来たときはしばらく山奥にでもこもってネットワークを遮断しようかと真剣に思ったほどでした。

2.多彩でポジティブなエネルギーを持つカルチャー
プログラムを通して強く感じたことが、ひとりひとりは国籍、民族、宗教ではカテゴリできない個であるということでした。例えば、スリランカ人の両親に生まれたけれどフランスで生まれ育った青年、日本語の苗字を受け継ぐ日系のブラジル人青年など、外見や表面的な情報だけではなく、複雑な要素でひとりの人が形成されています。そういった個々の色に触れることで自分自身のアイデンティティとは何なのか、改めて探究する機会になります。
そうしてアイデンティティを示せるのも、このプログラムの中には安心して自己開示できる環境があるという証明でもあります。LGBTQ+やフェミニズム、メンタルヘルスといった個人の考えや体験に深く関わるテーマのセッションが、特に、互いの信頼関係が築かれてきた後半に次々と開催されました。個々の違いをダイバーシティとして認め、持ち味を生かすことにフォーカスしたポジティブなエネルギーを持ったカルチャーが自然と醸造されていく様子を、心から素晴らしいなと思いながら過ごしていました。

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2)サブ・ナショナル・リーダーとしての気づき

今回、私は日本参加青年のサブ・ナショナル・リーダーとして事業に参加させていただきました。ナショナル・リーダーは各国から1名ずつ(日本は2名で、そのうちのひとりがサブとなります)選出され、プログラムの円滑な遂行のため、準備期間の参加青年のサポートから、プログラム中の問題対応のほか、各国の青年代表として表敬訪問やスピーチを行うなどの役割を担います。日々起きる様々な課題に対して、非常に優秀な11カ国のリーダーたちと一緒に仕事ができたことは本当に貴重な経験となりました。

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サブ・ナショナル・リーダーとして関わることで、私自身が数多くの気づきを与えてもらいましたが、その中でも重要だと感じることが2点あります。
ひとつ目は、人の成長に関わることで自分自身も大きく成長できるということです。プログラム中に青年たちと面と向かって接し、彼らの変化に立ち会うことは多くのエネルギーを要します。ですがその過程で、気づけば私自身が多くの学びを与えてもらっていました。ふたつ目に、アイデンティティを築くことの大切さを改めて再認識したことです。多様性に富んだ個々の色が光る場で、青年たちが発する思いに触れ、改めて自分が何者であるかを考えさせられました。この問いは、これから時間をかけて考えを巡らせるテーマとなりそうです。

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参加青年が皆、経験するのが、「世界青年の船」事業とは何であったのか、家族や友人に聞かれても一言でとても表せないというもどかしさです。この経験はすぐに消化できるものでもなく、そのタイミングも人それぞれ。ある参加青年が船上で過ごす最後の夜に話してくれたことがとても記憶に残っています。この経験は種まきのようなもので、芽が出るのに1年かかる人もいれば5年かかる人もいる。でも、大きな収穫を得るには水をやり、太陽にあて、肥料をやることを忘れず手間をかけなければならない。私もまいた種を育てることを忘れないように、この経験から得た思いを心の片隅に持ち続けていきたいと思います。
少なくとも1月とは全く違う顔つきでそれぞれの日常生活へ戻っていく参加青年の姿を見て、数年後あるいはもっと先の将来に、彼らが周囲に与える影響に可能性を感じざるを得ませんでした。

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最後に

「世界青年の船」事業は、国際交流だけでなく、自己成長を図り、一生続く縁を世界中に築くことができるユニークなプログラムです。大学生はもちろん、社会人にもぜひ挑戦をお勧めしたいと思っています。個人的には、社会人は仕事を通して培った経験のアウトプットや、リーダーシップの発揮を国際的な場で実践することで、普段の業務とは違った視点で物事を捉えることができ、人材育成面では会社負担で半年間の海外留学に送り出すよりもよっぽどコスパがいいと思っています。学業や仕事の都合で応募を断念する青年が出ないよう、事業参加を単位として認める大学や、休暇取得を許可する企業など、学びに前向きな青年を後押しする組織が増えることを切に願っています。

気になる!応募するには?情報をキャッチするには?
「Ship for World Youth」通称「SWY」の各SNSで募集ら事業の活動のリアルな様子などの情報を発信しています。Instagram(@shipforworldyouth_swy, @swyjapan32)、Twitter(@swy_swy_swy)、Facebookページをチェックしてみてください。また、毎年5月頃に東京で実施している事業報告会があります。今年は6月7日(日)にオンライン開催が決定しました。詳細は後日、SNS等で告知される予定です。
その他、事業についての質問や、どうやってナショナル・リーダーに応募するのか、この経験を活かしてこんな仕事が一緒にできるのではないか…?などの問い合わせも、私宛にお気軽にご連絡ください。

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「多拠点生活」×「パッチワークキャリア」を軸に、自分のパフォーマンスが高まる場所で生活し、自分の専門性や持ち味を活かした仕事・活動を組み合わせキャリアを築くライフスタイルを模索中。大阪にて大人の学びのサードプレイス「Leaning Bar CF曽根崎」企画運営。趣味はウイスキー。