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日記:愛用しているオーディオ機器

 年末商戦や初売りも終わり、怪奇!爆買い男!になるペースも落ち着いてきたのでひさしぶりにガジェットの記事でも書こうかなと思います。

 最近はそうでもないんですが、一時期オーディオオタクをやっていたことがありいろんなものを買い集めていました。結局自動車通勤で音楽を聴くことがメインになってしまいあんまり使えなくなって爆買い意欲が減退してしまったのですが……(いまやるとするなら新しい車を買ってスピーカーと再生機器をいじりたい)

 そんなワイでも理想の音を探し求めて旅をしてきたんやでという巡礼の足跡を書き残しておこうかなと思います。

 ちなみにそこまで気にする人はいないと思いますが、おれの精神的リファレンス機はゼンハイザーIE 40 PROです。いまはもう使っていないですが、これが一番おれのオーディオガジェット史に影響を与え評価基準になっているものと考えてください。




いま愛用しているもの

イヤホン


 いまはacoustune HS1300SSというイヤホンの出動率が高いです。

 おれはスピーカーとアンプでステレオシステムも組んだりしてるんですけどオーディオってどの機器においても上を見るとマジでキリがなくて、イヤホンも10万20万クラスのものがゴロゴロしています。Campfire Audioとかハイブランドは平気でそういう値段が出てきますね。オーディオ沼にハマると金銭感覚が麻痺してくるのでボーナスでそういうものを買ったりするようになるんですが、おれは比較的正気を保っている(保ててしまっている)ので二桁万円のものを買ったことはありません……
 ただ、高いものにはそれなりの実力があるというのも確かで出てくる音が全く違います。どこまでこだわるかというのは人によって違いますが、自分の好みの方向性を追求できて実際にその成果が出てくるというのはオーディオの面白いところです。

 HS1300SSはそういう意味では自分にとって良いイヤホンです。定価が三万円近くというかなり購入をためらう価格なのですが、実は中古なら一万四千円ちかくにまで価格が下がるので、これくらいなら……と買いやすい狙い目の一品だったりします。おれもハードオフで見かけて飛びつきました。
 筐体がアルミとステンレスでバカみたいに頑丈なので、中古とはいっても塗装剥げくらいしかダメージがなく、樹脂筐体より傷みがないので中古でも満足感は高いです。
 音のほうも解像感が高くて、価格で語るのもちょっと下品なのですが「さすが元値三万円ですわ」という表現力を見せつけてきますね。ミリンクスドライバというのがなかなかよく出来ているようでサウンドステージも広く、応答性も高く「これ平面磁界だったっけな…?」と思うくらい音の立ち上がりが早いのが気に入っています。

 これ以上の高級品を持っている人やどこまでもストイックに追い込みたい人にはわざわざオススメするほどではありませんが、おれとしては現時点の自分の終着点と考えているイヤホンです。



 一番好きなイヤホンは何?と訊かれたらTFZ(THE FRAGRANT ZITHER)King Editionになるかと思います。
 このメーカーはよく「低音の押し出しが心地いい」と言われていて、実際弾むようなドラムを聴かせてくれるので特にお気に入りのひとつです。音の傾向としては寒色系で高解像度の微ドンシャリなイヤホンですね。フェイスプレートも鏡面のようになっていてカッコいいと思います。
 おれはあんまり使わない機能なのですが本体に小さいスイッチがついていて抵抗を変えることができ、それによって音も変わるという謎な設計になっています。えぇ……?何考えてこんな機能実装したんだ……変態すぎる……

 King Editionは残念ながら終売となり新品では手に入らなくなってしまったのですが、お求めやすい価格の兄弟機などが他にもあったりしてTFZはオススメのメーカーのひとつです。



 変わり種、変なイヤホン枠としてRHACL750を挙げておきます。

 コイツ、音自体はキレの良い高音を鳴らす良いイヤホンでロックなんかを聴くとまさにベストマッチと言える一品なのですがとにかく高抵抗で150Ωもあります。スマホや小さいDAPでは音量が取れないし本来の音が出ないうえ、パッケージにも「アンプと一緒に使え」と指示が書いてある変なイヤホンです。なんだコイツぅ~~~~~~~!?!?!?!?

 たいていのイヤホンの抵抗はせいぜい32Ωくらいであって、150Ωというと「あえてノイズ対策で抵抗を高くしている業務用のヘッドホンならこれくらい必要なものもあるかもしれないな……」ってくらいのクソバカ電力大食いパワー厨な数字なので相当何考えて作ったのかわからないイヤホンと言えます。RHAはイギリスの会社ですしもしかしたらジェレミー・クラークソンのDNAがなにかの間違いで混入したのではないかとおれは疑っています。


ワイヤレスイヤホン


 骨伝導のearsopen PEACE TW-1をよく使います。
 骨伝導なので音についてはどうとも言えないのですが周りの音が聞こえるのはすごくいいです。持病で通院している病院とかでも名前を呼ばれる順番待ちのときに困らない。

 たぶんおれが古い人間であるということもあり、有線で音楽を聞く主義なのでワイヤレスイヤホンについては利便性重視で音質を割り切って考えています。一応ゼンハイザーのCX Plus True Wirelessとかも持ってはいますが…

 ワイヤレスイヤホンには通常のイヤホンに加えて所狭しとSoCや通信技術が乗っかってくるので変数が多くなってなんかあんまりこだわる気になれなくて……。ただでさえオーオタがわざわざあのDACがいいとかなんとかワチャワチャこだわっているデコードして音作りをする心臓部がかなり小さいSoCとなるのであんまりストイックに音質を追い求めるのも辛いかなという気がしています。
 ただ、これはいい面もあって、プロダクト全体をそのメーカーが監修しているので「そのメーカーが意図していて鳴らしたい本当の音」が聴けるというのはトゥルーワイヤレスの長所だと思っています。有線イヤホンの場合はイヤホンより上流のコンポーネントはユーザー任せになるのでメーカーだけでは音を決定しきれない部分があると思うのですが、ワイヤレスの場合DSPをかけたりして音作りをやるSoCからドライバからぜんぶひとまとめにして完成品の最終調整をメーカーのサウンドエンジニアがやれるので、「なるほどこの会社はこう鳴らしたかったんだな」という思想がダイレクトに出るジャンルなのかなと。

 うーんまあ……興味があまりないとは言っても良いものを持っておきたいとは思うので、Noble audioのFalconとかはちょっと欲しいかなと思っていますね……。


ヘッドホン


 SENNHEISER HD599を一番使っている気がします。

 やっぱね、ゼンハイザーなんですよ。

 十年前くらいのオーオタにスレでオススメのヘッドホンを質問するとまず真っ先に「HD598買え」「ゼンハのプリン買え」と言われたりしていたのですが、その598の後継機が599です。
 名機中の名機。正統派に聴きやすくていい音がする、まさに王道中の王道なんですよね。いや、そりゃあ世の中にもっと高くて良いヘッドホンなんかナンボでもありますよ。でもなんだかんだでコレに戻る。音楽聞くかって思ったときに無意識に手に取るのはコレ。

 音質も若干ウォームながら必要十分な解像感があるし、なにより付け心地がいい。ベロアのイヤーパッドは汗かきにくいし開放型で蒸れにくく、重量も軽い。
 あとは地味に内部が4極として作られてるんですよね。最初からオーディオマニアがXLR接続することを意図されていたらしく、はんだ付けによるバランス化改造をしなくても最初から左右のドライバのマイナス極が分けられています。ケーブルによってGNDが一本にまとめられて3.5mmになっているだけなので、社外品のものを買って挿し替えるだけで4.4mmや2.5mmバランスにできたりする。一見王道なのにマニアックな趣味してるっていうのはなんか真面目な風紀委員長がヘソにピアスしてるの見ちゃったみたいな気持ちになりますね。

 HD599はおれも手放しに他人に勧められる名機ですね。二万円帯と少々お高いヘッドホンではあるのですが、アマゾンのセールでは必ずといっていいほど一万円帯まで値引きされるのでそのあたりを狙うといいでしょう。王道であるがために自分の好みを洗い出すのにもちょうどよく、これで物足りないと感じた部分を求めて次の進路を決めるのにも良いリファレンス機だと思います。長く使える良いヘッドホンですし、実際おれ自身も4年くらい使ってますからね。


 たまに使うヘッドホンとしてはHIFIMANHE400seが気に入っています。平面磁界型でサッと素早く、弛みのない音が鳴る。とても一万円帯とは思えないいい音が出る。
 ただまあ…重い!そりゃ両耳に大量の磁石という名前の石っころ背負ってるわけですからね。ちょっと首がダルくなってくる……。プレイヤーの駆動力がないと活かしきれないというところも含めて、音以外の使い勝手をすべて置き去りにしてきたような潔さがあります。ここまでくると手のかかるぶん愛着が湧く子みたいに思えますね。
 アンプや良いプレイヤーで駆動力を確保する必要があるのであんまり他人には勧められないものの、安くて音がいいという点では本当にいいヘッドホンだと思っています。


DAC

 さいきんFiiOK3ESを買いました。

 いままでSteelSeriesのGame DACを使ってたんですけどやっぱ音楽用のDACはエエですわ。ノイズも少ないし。Game DACもハイゲインモードがあったりモニター付きで使いやすい、というところは好きなんですが純粋に音としてどっちに軍配が上がるかというとK3ESなんですよね……。

 低価格帯のDACとかプレイヤーだとオペアンプを積まずにDACそのものの増幅力に頼ったりするんですが、別個にオペアンプを用意して積んでくれてる製品ってのはやっぱ駆動力があって良いです。
 本体内にUSB入力からくるノイズを低減する仕組みを取り入れていたり、ボリュームノブがデジタルなのにも関わらず細かく音量調整できるってのも配慮が行き届いている。
 積んでるDACもES9038Q2Mとかなりグレードのいいもので32bit対応してるのが良心的。バーチャルサラウンド処理とかができないのでGame DACとは使い分けになりますが、音楽用としてはやはりオーディオメーカーのFiiOが一枚上手ですね。


プレイヤー

 Shanling M6 Ver.21を愛用してます。
 それまでHIDIZS AP80 PROという小型プレイヤーにポータブルアンプをつけてヘッドホンを駆動したりしていたのですが「不便じゃね…?」という真理にある日気づいてしまったのでお金があるときに買い替えました。

 アンドロイド搭載型なので電源つけてから起動までに時間がかかる、という一点以外はあまり短所もなく使いやすいです。
 まあDACの話してるときにも言ってて重ね重ねなんですけどオペアンプ積んでると精神衛生上いいんですよ、ほんとにね…。よほどありえない変態ヘッドホンでもないかぎりはだいたいこれ単体で駆動できるし。DACもK3ESと同じでES9038Q2Mを積んでるのでだいぶ上質な音が出る。バランス接続の端子も「オラァ!なんでもこいやァ!!!」とばかりに2.5mmでも4.4mmでも受け入れられるしで接続のストレスがまったくないですね。
 標準のプレイヤーアプリはアルバムの曲順が勝手にメチャメチャになるという不具合が出始めたので使うのをやめたんですが、いい機会なのでNeutronに乗り換えました。見た目は飾り気がなくて無骨だけどいいアプリです。

 プロセッサーがかなり前の世代なので最新のアプリには対応してなかったり挙動が重くなったりしてサブスクで音楽を聞く人には向いてないと思うんですが、単純にファイル転送して音楽を聴く人にとっては良いマシンだと思いますね。


他人に勧めるなら…

 そんなわけでつらつら書いてきたんですけど、オーディオって本当にカネがかかる趣味なのでおれもここまでちびちび集めてきています。世知辛いね…
 もし他人に勧めるなら、という視点で見るとこうかなというのを一応挙げておきます。


水月雨(moondrop) Quarks

 水月雨という中国のイヤホンマニアが集結した会社が作ったイヤホンです。この価格でいい音を実現するために二年間も開発に費やしたとか公言している怨念……いやこだわりの詰まった製品ですね。実際、自分で買って聴いてもみましたが二千円台という価格ではたぶんトップクラスに音がいいイヤホンだと思います。

 SNSのインフルエンサーが過剰な売り文句をつけてバズってしまった過去があるのでちょっと賛否両論になっている部分があるのですが、製品自体はいいものだと思います。
 低音がやや出ないという弱点があるものの、バランスよく美音系の音が出るのでボーカルや楽器が活きます。安いイヤホンだとどうしても極端なドンシャリにしてインパクトを残そうとする製品が多いので、そういう意味ではかなり珍しいストイックな音作りをしているのではないですかね。
 上の価格帯と比べるとそりゃあ確かに値段なりの差はあるんですが、それでもこの価格帯では信じられないほどよく出来ているイヤホンだと言え、オーディオ沼の入り口として非常に手頃かついい音を味わえる一本だとおれは思っています。


Tanchjim OLA

 ちょっといいイヤホンに手を出してみたいという人には真っ先にこれを勧めたいと思うイヤホンです。
 価格帯を考えると十分すぎるほど質のいいイヤホンで解像感のある音を鳴らしてくれます。かつておれがポタオデにこだわりはじめてバイトの給料をつぎ込んだ時代には、これくらいの音を手に入れるのに一万円以上出すのはザラでした(IE40PROとかね)。それが今では六千円もしないで手に入る。いい時代になったと思います……。

 音の傾向としてはクセがなく非常に素直でバランスよく、フラットに作ってあるためどんな音楽とも相性がいいです。あえて意地悪く難癖をつけるとすれば「これ」という個性がないので変なイヤホンとか味のあるイヤホンを求めている人には合わないかもしれません。それくらいナチュラルで美しく中立的な音が出ます。
 装着感もいいです。高いイヤホンというのは筐体がやたらデカくなって耳への収まりが悪かったり、フル金属で重たかったりするので、アルミと樹脂の半々で軽く小さく作られているOLAはつけ心地が快適。
 また頭部伝達係数もこだわりを持って設計されていて、音場が広く音がかなり立体的に感じられるイヤホンです。ASMRやバーチャルサラウンドとかを聴いてみると違いがよくわかります。
 愛用しているイヤホンのところでは書かなかったのですが、気軽に着けられる・バランスが良い・音の立体感があるといった点で夏場にはヘッドホンのかわりに決まってこれをつかってゲームをしています。ですからおれにとって単純に使っている時間という意味ではこれより高いイヤホンたちを押しのけているかもしれません。

 おれたちオーオタは金銭感覚が狂いがちなので一万円以下は反射的に「安い!!!!!」と判断してしまうのですがよく考えるとちょっとしたインディーゲームが何本か買えますからね。イヤホンをよく知らない人にとっては結構な額ですよ。そういう意味では初めて「オーディオにお金をかけてみよう」と思い始めた方に対してバランスよく何でもこなせるOLAは失敗しづらい選択肢ではないかと思います。
 ちなみにOLAには後発で低音を強化したOLA BASSという姉妹機があるので、ちょっと低音を求めてみたい人はそちらを選んでみてもいいかもしれません。
 他のイヤホンを買ったとしても聴き比べたりひとまずこれで聴いてみたりとなんだかんだ引っ張り出される一本になるんじゃないかな。使い勝手の良い素直な一品です。

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