ポップしなないで「どうすんの?」におけるジョーカー観
がおれとドンピシャで合うので驚きました。という日記をつけようと思います。久しぶりのダラダラ日記です。
「へぇ〜アークナイツのあのキャラの声優(亀谷さん)ってアーティストもやってんのか」でポップしなないでを聴き始めたんですけど、すげー歌詞の選び方が練られてていいなと思いました。
かわむらさんがその歌詞を書いてる「どうすんの?」という曲なんですが…。これ、歌詞冒頭でもそのもの「ジョーカー」「ピエロ」とズバリ言ってるとおり映画JOKER(2019)をイメージしてるんだろうなというリリックで。
「引き金」というワードも劇中のアーサーが持ち芸にしているノック・ノックを思い起こさせるいい選び方なんですが、特に素晴らしいのは
これ!!!!!!!!!!
これすぎて首が取れるかと思った。たぶん一回取れた。つけ直してから記事書いてる。
ジョーカーについては、はてなブログのほうで一回感想記事を書いてて、好きな映画なのでここでもう一回評論ぶち上げろと言われたらいくらでも書けるくらいなんですけど、まあ長いからはてなの記事に書いてることを要約します。
ジョーカーっていう映画において、主人公アーサーは革命家でもなんでもないんですよ。
公開当時、香港とかでたまたま暴動が重なったりしたから「この映画は暴動を巻き起こそうとする危険な作品だ」とかどうとか頭のおかしいメディアが騒ぎ立てたりしたんですけど、本質はアーサーという個人が追い詰められて怒り狂うだけの極めてミクロな話でしかないんすよ。
アーサーくんはすんごい不幸が続いて、だ〜れも助けてくれない末に自分で自分を助けるしかない!とばかりに大暴れし始めちゃうんですけど、べつに社会に革命を起こしてやろうとか弱者を助けようという意志ってほぼ無いんすよね。ノンポリです。
それがたまたまうまく終盤に「暴徒の目的と合致した」というだけのことで、本当にただ、彼の動機は「ムカついた。言ってもわからない悪いやつだ。だから殺した」でしかない。
色んなやつが自分を邪険にしてバカにしたり暴力を振るってくるので、我慢しかねて自分のためにやり返して暴れてみたら、たまたま金持ちのせいで福祉政策をケチりだしたゴッサムシティに不満を抱える暴徒に担ぎあげられた結果、自分をこき下ろしたクソみたいな街がズタズタになってアーサーくんが感動してる……っていう。アーサーくんは意識してなんかしようとしたわけじゃないけど周りが盛り上がってなんか起きてしまった、そういう映画です。
これッッッッッッ
そう!そうなんだよ!
ジョーカーっていう映画で、アーサーくんがべつにデッカくて高尚なことはなんもしようとしてないんです。デモとかやりまくってるわけでもない。お仕事して、理不尽にいじめられて、たまに困ってる人をちょっと助けてあげようとして、失敗して……それだけ。他人のことをどうこうできるほどの余裕がないけど、他人が困ってたら見過ごすほどでもないし、という普通の人。
ただ結果的に、苦しめられ、助けを求めても薬がなくて発作に苦しめられ、いままで面倒見てきた親が自分を虐待してたとか、そういう徹底的なセーフティネットぶった切りに対してアーサーくんがキレただけ。社会を変えてやるぜぇ〜とかでなく、単純に自分の身の回りの不条理に対して怒っただけ。
すげえな〜〜〜と思った。「どうすんの?どうもしなくていんじゃない」。アーサーはべつに他者を絡めた問題の解決をしてたわけでなく、そのへんには無関心で自分の問題をどうにかしようとしただけ……という、おれが一本記事に書いたことをワンセンテンスで処理してるんです。痺れるね!
どっちかっていうと、「どうすんの?」って訊かれてるのはおれたち現実の人間なんすよね。
「こういう、社会からあぶれた人間出てるけど、どうすんの?」「弱者と弱者のあいだですら相互不理解で障害のある人を小馬鹿にしたりしてっけど、どうすんの?」「ちょっと変わってるだけで一生懸命やってるやつを大々的に笑いものにしとるけど、どうすんの?」っていうのを投げかけてくる映画で。それを考えたら「これは暴動を扇動する犯罪的な映画で〜〜」「これは白人優位的な〜〜」なんて、目隠しして腐った卵の投げあいするみたいなとりあえず叩いとけ気分のスノッブ気取りで馬鹿げた評論もどきの揚げ足取りポジショントークなんかしてる場合じゃないんですよ。
「どうすんの?」のそれに対して続く歌詞の「今から手をつけようじゃない」っていう、やるしかないからやろっかって温度感の返しもほんとにいいなと思いますよ。いまさら世の中に希望と情熱があるわけでもなく、かといって諦念にまみれるでもなく。「世の中ってクソだしどうにもなんないんじゃない?でもいっこずつやるしか生きる道ないし、やるかな」ってひねくれた生き方が素敵だよね。
他の曲もすごくいいんですけど、ものすごく暗いジョーカーという題材のとり方と料理の仕方が上手なアーティストなんですごく好きになりました。
他のアルバムものんびり買って聞こうかと思います。いいグループに出会ったな。
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