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政策形成過程への市民参加

先週、大学院の授業の一環で自治体に政策提言をするという機会がありました。

社会人学生からの政策提言

自治体からのお題はこのようなものでした。

  • 市民が政策形成にあたり参加する機会として「審議会」「懇話会」「パブリックコメント」などがあるが、参加する市民が限られている。

  • そのため、政策形成過程に市民が主体的に参画できるようにする手法、手段について提案してほしい。

  • これは政策・行政課題を自分事としてとらえ、これを解決するために行動する「活動人口」を増やすことを目標とする。

この磐田市に限らず、どの自治体も、政策にむちゃくちゃ興味のある市民は少ないと思います。結果として、いつも似たような人、同じような属性の人が参加し、それが「市民の声」になってしまうことがありがちではないでしょうか。

8名の学生は全員社会人で、行政関係が2名、あとは広告、旅行、レジャー、動物園など様々な業種の学生がそれぞれのこれまでの知識や経験から提案を行いました。市長らも気づいていなかったようなデータや資源を活用した提案が多かったとポジティブな反応をいただきましたので、何か実際にこれらの提案―そのものではなくても、考え方などが―活かされることを願っています。
考えてみたら、この企画自体が、出された「お題」への回答のようなものだったのでした。社会課題の解決には多様な市民の視点が欠かせないということは、実際に私も参加してみて感じました。

台湾の政策形成プラットフォーム「Join」がすごい

提案の中で、台湾出身の学生が台湾で実際に運用されている政策形成プラットフォーム「Join」を紹介しました。これは、政策として論議してほしいテーマを誰でも投稿できるというもので、5000人以上の賛同があれば行政は必ずその提案を審議し、回答しなくてはならないというルールがあります。台湾に在住もしくは居住許可を持っていれば誰でも(選挙権を持たない未成年でも)投稿できます。

Joinの詳しい内容はこちらの記事がわかりやすいです。

誰でも参加できること、言いっぱなしではなく議論ができる場になっているということ、プロセスやスケジュールを明らかにしていること、また請願ではなく、市民と行政が双方向であること。このように市民発で対立構造になりにくい仕組みづくりは、イデオロギーや政治力学による回り道がなく、本来の課題解決への道を早めるように思います。
オードリー・タンはやはり天才です。。

Joinから考えたこと

複雑すぎる現代社会で、課題や困りごとの全てに目を向けるのは不可能です。
見過ごされがちなイシューについて、当事者が声をあげやすく、政府が運営している心理的安全性の高いプラットフォームの存在はとてもいいと思いました。
たとえばSNSでの呼びかけは、時に大きなムーブメントにもなるけれど、歯止めがきかなかったり、悪意をもって近づいてくる人に個人で対峙しなくてはならないのは怖いです。萎縮せずに意見が言える《場》が大事だなと。

また、政策のように大きなイシューでなくても、たとえば職場やPTAなど、ある程度の大きさのある組織でもこの「Join」の合意形成の考え方は応用できそうです。

なお、冒頭に紹介した社会人学生による政策提言はこの大学院で毎年行っていて、先輩の中には提案した自治体と契約し、副業として政策のアドバイザーをやっている人たちもいるそうです。私も目指したいところです。

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