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いちご大福を連想するチェコのいちごのクネドリーキ

これまただいぶご無沙汰していました。
今日はチェコの食事の1つについて書いてみようと思う。

今日紹介するのは、日本のいちご大福にどこか似ているような似ていないようなチェコ料理「いちごのクネドリーキ」。
チェコ語で書くと「 Jahodové knedlíky」という料理名です。Jahoda(Jahodové)がチェコ語のいちごを意味し、 knedlíkyというのはチェコによくある茹でパン(または蒸しパン)のことを意味する。

どんな料理かというと、こんな感じ。

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見た目はなんとなく大福を連想する・・・よね? 私だけ?いちごが生地に包まれているという点だけかもしれないけど。

いちご大福を連想すると書いてみたものの、使われる生地がそもそも違うから似ているようで似ていない。そしてそれ以外にも大きな違いがあって、その大きな違いとは、日本でのいちご大福の位置づけは「お菓子」や「おやつ」かな?と思うのだけど、チェコの Jahodové knedlíkyはおやつではなく、立派な「食事」ということ。

そしてさらに驚くことと言えば、これは茹で料理である。
いちごを茹でるなんて・・・と思う方もいることと思う。
私も初めて作った時にはそう感じたのだけど、慣れとは恐ろしいもので
今では定番、時々作る料理の1つになり、茹でることに抵抗がなくなっている。

そして茹でる果物はいちごだけではない。
ブルーベリーやアプリコットなど、その時の旬の果物を入れて作る。

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上の写真はアプリコット。下の写真はブルーベリー。

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チェコの庭がある家では畑でいちごを育てている人も多く、我が家はホンザの祖父宅でこのクネドリーキの為に毎年いちごを大量すぎるくらいに育てている。

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自分たちで育てて収穫したいちごはとてもおいしい。庭でいちご狩りをするということ自体が日本では驚くことかもしれないが、チェコの庭がある家庭では結構普通のことのようだ。ある意味ではとても贅沢な気がする。
大量に収穫したいちごを冷凍しておき、いつでもいちごのクネドリーキを作れるようにしておく。

そしてシーズン中の森ではブルーベリーがわさわさできるので、人々は森に収穫しに行く。昨年はブルーベリーがとても豊富な森を教えてもらい、2人で40分ほどの滞在で2リットル収穫できた。

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庭や森で旬の果物が大量に収穫できるチェコでは、それらの消費をするためにジャム作りをする人も多い。ジャム以外には果物のケーキやこのようなクネドリーキが作られる。チェコで果物のクネドリーキが作られるのは、よく考えたら自然の流れのような気さえしている。

ちなみに「果物のクネドリーキ」全般を「Ovocné knedlíky」という。チェコ語のOvoce (Ovocné)が果物のこと。

さて、この果物のクネドリーキ、実際のところ「味はどうなのか?」と言ったら「おいしい」のである。家庭によっても違うけど、我が家は上にTvarohというチーズと、溶かしバター、粉糖をかけている。これはホンザが子供の頃からよく食べていたというトッピングである。ホンザは皿まで舐める勢いで食べる。そのくらい彼にとっては大好物の料理なのだ。
シナモンやココアパウダーなんかをふりかける家庭もある模様。好きなものをかければいいのだと思う。

よく作る料理ではあるが、私的にはどうしても慣れないことがある。このクネドリーキはおいしいし好きだけど、私にとっては「デザート感」「おやつ感」が抜けないのだ。これが「食事」という位置づけなのが未だに少し慣れていない。

ちなみに私はレストランでこの果物のクネドリーキを食べたことがない。果物が旬の時期ならメニューにあるレストランもあるのかもしれないけど、私が暮らす町では見かけたことがない。私が初めて食べたのは、まだチェコに暮らし始めて間もない頃に、義兄のパートナーが作ってくれたブルーベリーのクネドリーキだった。初めて食べた時は、茹でたパンの中にブルーベリー!と不思議な感覚だったがおいしいと感じていた。また、ホンザが子供の頃は亡き祖母がよく果物のクネドリーキを作ってくれたそうだ。チェコはおじいちゃん、おばあちゃんっ子が多いのだけど、ホンザもその一人で、亡き祖母が作った料理の話を時々してくれる。その懐かしい思い出の味を、私はうまく再現できているかは分からないけれど、果物のクネドリーキには思い出が詰まっているようだ。

私が暮らしているのは地方都市で庭付きの家も多いので、庭には果物の木も豊富、いちごも自宅の畑で育てるということから「家庭で作る料理」という感覚の人が多いのだと思う。

あとは、スーパーで冷凍された果物のクネドリーキが売られている。私は一度も買ったことはないけど、スーパーでは必ず見かけるのでそれを食べる人は多いのかもしれない。

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果物のクネドリーキの周りを覆う生地は発酵させるタイプと、そうでないタイプがある。
最初の方に載せているいちごのクネドリーキの生地は、チェコのTvarohというチーズを生地に練りこみ発酵させず茹でている。ブルーベリーのクネドリーキの写真の生地は、Tvarohは入れずにイースト菌を使い発酵させた生地。発酵させた生地は肉まんやあんまんの生地をイメージしてもらったら分かりやすいと思う。どちらの生地もおいしいから好みの問題かと思う。
ちなみにTvarohというチーズは何種類かあり、今回載せているクネドリーキの上にボロボロとかかっているのもTvarohであるが、生地に練りこんでいるのは別のTvarohである。

今回はイチゴ、果物のクネドリーキについて書いてみたけど、チェコではシチュー系の料理には果物が入っていない普通のクネドリーキが添えられる。クネドリーキはチェコではよく食べられ、チェコを代表する料理にはよく添えられている。そのクネドリーキついては別の機会に書いてみようと思う。

いちごのクネドリーキを作りながら、いちご大福を思い出す私だけど、私の人生でいちご大福を食べた回数より、いちごのクネドリーキを食べた回数の方が今や大きく上回っているという…


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