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トルコ旅13<辿り着いたその先>

窓の外の世界が今までとはまるで違っていた。目的地のギョレメに到着する前からすでに奇石群が見え、更には遠くにバルーンがいくつも飛んでいるのが見えた。ついにここに来たんだ、と胸が高鳴る。私もホンザも興奮していた。

そして朝7時半を過ぎた頃、カッパドキア・ギョレメに到着。
イスタンブールのオトガルと比較するととても小さなオトガルだ。ホテルの客引きなどが来ると思っていたが、客引きが全くいない。まだ朝だから仕方がないとは言え、さてどうしたものか。

私は事前にホテル探しをし予約をしようか迷っていたけどホンザが「ギョレメは小さな町だけど腐るほど宿はあるから予約なんてしなくて大丈夫。現地で探せばいい」と言っていた。私たちは基本的にヨーロッパを旅行する時にはホテルは事前予約しているが、私自身もそうだが過去にバックパック旅をしていた時は宿の予約をほとんどしたことがないこともあって、今回も予約はしていない。

ただ、私はカッパドキアの奇石の洞窟部屋に興味があり、Booking.comなどの宿泊サイトでどんな宿があるのかをチェックしていた。せっかくカッパドキアにいるのなら岩とか石に泊まってみたい。しかし日にちが迫るにつれて空室がなくなってきていたことを疑問に感じていた。高級ホテルなら空室はあるが、私たちの予算に合うような宿がどんどん消えていったのである。ギョレメに到着してその理由が判明した。ポスターのような貼り紙が目に入った。

カッパドキアではまさかのトレイル大会がこのタイミングで開催されていたのである。

しかもスポーツブランドのSalomon主催の大会で結構な規模らしく、トルコ人だけでなく町を歩く人の姿には海外からであろう参加者の姿も多くあった。

そうか、そういうことか。このイベントの為に参加者や応援客がカッパドキアに集中しているわけで、そりゃ宿ないですよね・・・

私たちはトルコのSimカードは買っておらず、Wifiのみの旅だからその場で宿の空室を調べることもできず歩いて探した。
行き当たりばったりでホテルに空室があるかを尋ねるが、「今夜の部屋はないけど、翌日なら空室はある」と言われ断られた。

今夜、野宿になるかもね・・・キャンプ道具ないね・・・とホンザと話ながら歩く。朝とても寒かったし野宿は寒くてキツイよね、もしくは予算を超オーバーする宿に泊まるか?場合によってはギョレメから少し移動するか?とも考えた。ホンザは昔ギョレメに来ていたことがあり、その時は現地で宿を探したとのことで私もそれに賛同していたけど、今回少し抱いていた疑問、不安は的中したのである。

行き当たりばったりで宿に聞いて歩いたが、やはり今夜の空室はないと言われ続けた。バックパックを背負いながらギョレメの町を歩き続けるのは辛い。歩いていたらBooking.comなどでチェックしていて「予算内だし、ここいいな」と思っていたGuven Cave hotelに辿り着いた。

https://www.guvencavehotel.com/

そこで掃除をしていた女性にダメ元で聞いてみたら「今日は多分部屋はないけど・・・私は分からないから、うちの夫に聞いてみたらどうかしら」と言われた。そして、その女性の旦那様であるオーナーに聞いてみたが「今日は部屋はないよ、明日ならあるけど・・・残念だけど今日はどこの宿も空室ないと思うよ」と言われてしまった。

がっくりと肩を落とし、ため息をつく私たち。
さて、どうするか。

そんな私たちを気の毒に思ったのか、オーナーが

「うちのガーデンハウスでよければ使っていいよ」

と言ってきた。詳しく聞いてみると、町からは少し離れていてホテルとかの宿泊施設ではなくオーナー家族たちが時々使う別宅らしい。
私たちは「そこに泊まっても構わないのなら、ぜひお願いします!」と返事をした。今夜はとりあえずそのガーデンハウスに泊まり、明日はこの宿に泊まることになった。

オーナーが「そこに行くのは、この宿の別のスタッフが来てからでいいかい?あなたたちはイスタンブールからバスに乗ってきたなら疲れているだろうし、お腹も空いてるだろ?とりあえず朝食を食べな。共有のシャワーもあるから使っていいよ」と言ってくれた。このオーナー、神なの?天使なの?

宿のWifiも教えてくれ、朝食会場へ。朝食会場は建物の一番高い場所にあったが、その1つ下のフロアには野外テラスがあり、そこからの景色も素晴らしかった。この景色を見ながら朝食を食べることも可能なのだ。

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朝食会場の窓からもテラスと同じ絶景を見渡しながら食事が出来る。朝食会場では先ほどの女性であるオーナーの奥さんがキッチンで料理をしていて、私たちがガーデンハウスに泊まることになったことを伝えたら一瞬驚いていた様子だったけど(そりゃそうですよね、自分たちの別宅を素性も分からない客に貸すんだから)「そうなの?よかったじゃない!ここよりも素朴で景色もいいし、きっと気に入ると思うわ」と笑顔で言ってくれた。

インドネシア出身の旅人が二人組がいて、色々と話しながら一緒に朝食を食べた。彼らは車でトルコを旅しているそうで、海側が最高だよ!とおススメしてきた。他にもトルコからの旅行者などもいて朝食会場は賑やかだった。

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朝食はセルフサービスのビュッフェ式で、お皿の色がカラフルでとてもかわいい。チーズは数種類あり、オリーブも好きなだけ食べることができた。

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野菜もフルーツも並んでいる。また、パンにつけるジャムは手作りのようなものもあり、とても美味しかった。ここでもチャイをいただく。旅人たちと話をするのも旅ならではで楽しい。早朝飛ぶバルーンのほとんどはもう去っていたけど、客が乗っていないと思われるバルーンが宿のすぐ近くを飛んでいた。

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その後、オーナーの車に乗りガーデンハウスに向かった。車で向かうような距離なのか・・・と少し不安になった私。段々と町から離れ、ここ曲がるの?というような細い道をいくつか曲がった。道と言えば道だけど・・・ルート覚えられるかな?と思ったが「ホンザがいるし大丈夫だろう」とも思っていた。

進んでいくに連れて人が住んでいないようなエリアでギョレメの岩の壮大さを感じるような景色が目の前に迫ってきた。

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「到着~!ここだよ」と言われ車を降りる。

「え?!ここなの?!すごい!!!!!!」

私たちは興奮していた。ガーデンハウスはカッパドキアのニョキニョキ生えた岩がいくつか並ぶエリアで、「ガーデンハウス」とはその岩の1つだった。

そう、辿り着いたその先は念願の岩の洞窟部屋だったのである。


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