路地裏の魅力 5
ようやくコトルの旧市街に到着。後に知ったのだが、南門と言われるところから旧市街に入った。コトルの旧市街には南門の他に正門、北門があるようだ。入って少ししたら猫たちに遭遇する。
一匹ではなく何匹もいる。しかも結構人懐こい。人を見て逃げ出すわけでもなく近づいてくる猫もいれば、人間に見向きもせず置かれているカリカリのエサを夢中で頬ぼっている猫もいる。
トルコに行った時もそうだったけど、モンテネグロという国も猫に優しいのかもしれない。猫と旧市街という光景はとても相性がいいように思う。
まだ午前10時前だったからか、そこまで観光客の姿も多くない。地図は持っていないけど適当に足が向くまま、気の向くままに人がいない路地裏を選んで歩く。私とホンザはいつもそんな感じで、自分たちの気が向くまま歩く。そして歩いてない路地を見つけると、そこを選んで進んでいく、といった感じだ。コトルの旧市街は小さいので迷子になることもない。
かわいいレストランを見つけた。
パスタで作られている。ここまで素敵に作れるものなのか!立派な作品であり、もはやアートである。かわいい。
私たちが訪れたのは5月中旬を過ぎた頃。季節的にもよかったのかもしれないけど、花がそこら中に飾られている旧市街は美しく散策が楽しい。石造りの家に花の鉢植えはよく似合う。
コトルの旧市街はユネスコ世界遺産に登録されている。中世の香りが漂うような古い町並みだ。私が住むチェコ、その首都であるプラハも広大な範囲が「プラハ歴史地区」として世界遺産に登録されており、古い建築物、美しい建築物などが立ち並ぶ。またそれらは造られた時代の様式によって異なるので、それぞれが異なりとても見応えがある。何回見てもスゴイと思うし美しいと思うので、世界の各地から訪れる人々を魅了してしまうのもうなずける。
コトル旧市街はプラハのそれとは少し異なり、プラハと比較したら規模はかなり小さい。ただ、すぐ側に海があり港がある。海があるのはそれだけで魅力的だ。また、コトルには城壁があるがそれらはその昔アドリア海を隔てた向こうにあるイタリア、ヴェネツィア共和国によって築城されたそうで、コトルの町の建物はどこかしらヴェネツィアの影響、名残を感じる。と書いているものの実は私はヴェネツィアに行ったことがない。いくら得意気に語ったところで説得感はゼロどころかマイナスであるが、それでもここコトルという町はイタリアの雰囲気を感じてしまうくらいにイタリアっぽいのだ。そしてこの辺りの建築物の雰囲気がチェコに残る建築物とは違うので見ていて新鮮で楽しい。そして何よりも魅力なのは疲れない程度に歩いて回れるサイズである。
疲れない程度に歩いて回れるサイズ、というのは結構私の中では重要なポイントだ。暑い上に歩き回って疲れると観光が投げやりになってしまう。こじんまりした旧市街は全て歩いて回れるサイズで、全て歩いて回るに半日もかからない。このくらいのサイズが暑い日にはちょうどいいのだ。
そう、モンテネグロはすでに27度くらいあって暑い。暑いと歩くことさえうんざりしてしまうからだ。
建物が隣接していて細い車が入れないような路地裏は日陰があっていいだけでなく、なんだかワクワクする。迷路を彷徨うような感じだ。旧市街はほとんどが観光客向けのレストランや土産物屋のようだけど、そんな中でも洗濯物が干されていたりする光景はなんとなくホッとするし、生活の匂いがして好きだなと感じる。
路地裏は彷徨えば彷徨う程楽しい。観光スポットを見て歩くよりも、気ままに路地裏を散策する方が性に合っているのだな、とつくづく感じてしまった。
・・・と言いながらも次回は観光スポットについても触れてみようかと。
つづく
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