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詩です。

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自作の詩、または「詩のようなもの」をあつめました。
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2022年6月の記事一覧

「小さな命」【詩】

命……あの乳白色の海にただよう 美しい詩のすべてを読みおえて 悲しみを学びに生まれてくる …

桑島明大
2年前
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「まことの歌」【詩】

まことの歌をだきしめて 生まれてきたはずのぼくたちが まことの歌を歌えなくなるのは 時間が…

桑島明大
2年前
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「土の匂い、世界の色」【詩】

こんなにも 小さい風を ポケットに いれて わたしは 旅にでる 昨日までのわたしを 脱ぎ捨てて…

桑島明大
2年前
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「かるま karma」【詩】

かるま って何ですか カレーにのせたらおいしいですか 甘いですか 辛いですか 辛いものなら苦…

桑島明大
2年前
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「翔る」【詩】

ひとりひとりが話をやめて 寝息をたてはじめるころ 僕は一人 家をとびだして 空いっぱいにざ…

桑島明大
2年前
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「砂浜の記憶」【詩】

じっくりと見つめるだけで 吸い込まれそうな この空に かもめが夏を探している 海の家のおや…

桑島明大
2年前
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「拝啓 ウルトラマン様」【詩】

祈ることが危機の時代に 空に伸ばした子供たちの手をだれが取る 宇宙でもっとも美しい光の粒子の その破片が竜ヶ森湖に 落ちてきた日の放送は まだ戦争の記憶の残る大人たちが 子供たちにたくした希望 それは正義という概念が生まれる はるか昔からこの星を 見守ってきたといわれる男の レッドラインの鮮やかな光 レンタルビデオではじめたみた 見たこともない造形美の怪獣たちに 自分だけの名をつけた日から ぼくは将来、ミュージシャンでも、小説家でもなく 光の巨人になりたいと言った 祈

「少年の日の夢」【詩】

まるで静かな森のような夜を 胸いっぱいに吸いこんで 空高く膨らんだ風船のような空想が 幼い…

桑島明大
2年前
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「温泉宿」【詩】

野から幻は消え去って 月が出るにはまだ間がある 川の流れに耳をすませば 湯浴みの人の気配す…

桑島明大
2年前
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「わが憐れな鳥よ」【詩】

たとえば 翼を失くした憐れな鳥よ 空へと羽ばたく姿を われに見せたまへ 血しぶき鮮やかに わ…

桑島明大
2年前
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「生活2022.2.24」【詩】

遠い国で戦争がはじまった わたしの友人たちはだれも死なない 地球の一部がいままさに壊れて…

桑島明大
2年前
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「給料日の花束」【詩】

給料日の夜に 駅前の花屋で花を買った。 眠りから覚めるようすもないホームレスと 背中をまる…

桑島明大
2年前
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「故郷の山野の教え」【詩】

苦しいことは 美しいことであると 教えてくれたのはふるさと 懐かしい田園のうた 野風はつめ…

桑島明大
2年前
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「歌の在り処」【詩】

ひと夏ぶんの酷暑の染みついた スチールフェンスに歌がある 蝉の抜け殻かと思ったら 大きな洗濯バサミだったよ 人生とはそういうものかもしれません 目を凝らせば凝らすほど ぼやけてゆくものに ぼくは 心を奪われていた 悲しみはどこにでも転がっているから 悲しみを歌うことの方がたやすい きみの胸に咲く喜びを 触れることのできない僕には なおさら 歌を歌うのがむつかしい ありふれた人生の一瞬を見つめる ときに嵐に打たれながらも 見つめつづける この世界に 歌はいつも小さなもののな