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詩です。

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自作の詩、または「詩のようなもの」をあつめました。
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記事一覧

「竹 夭」【詩】

恋しても 心をこめなきゃ 亦、の機会に 女が家に 嫁いでから いつも男は 責任転 嫁 転がされ…

「A bed」【詩】

ここのベッドは ずいぶんといいやつらしい ありがたい と母はいう ありがたい とおじいちゃん…

「けうなふたり」【詩】

ほんとうのともだちは あなたのはなしをさいごまできいてくれたひと あなたの長いはなしを う…

「魔女」【詩】

魔女にはじめてあいました ある暑い日の昼下がり あなたという魔女に わたしはあなたが魔女で…

「朝」【詩】

どうしたの 夜明けみたいな顔をして いまだに月がひっこまないから きみはきのうなのか きょ…

「冗談」【詩】

ナーシングホームの あかるく閉ざされた部屋 高い声の人たちが去り ふいにぼくらはふたりぼっ…

「ほんとうのこと(ことばについて)」【詩】

寝たきりの おじいちゃんがしゃべった ことばではないことばをしゃべった よく晴れた春の朝だった とうにおじいちゃんは ことばをすててしまっていた たよりにならないことばなんか あてにするのをやめていた その朝、ぼくたちはことばよりも 高度なことばで話をし 挨拶なんか交わさずに握手をした そうだ、 ことばをたよりに暮らしてきたぼくとしては こどもたちに国語をおしえてきたぼくとしては それはずいぶんとこまったはなしだけれど それがほんとうなのでしょう ひとにとって 人生を存分に生

「きせつはずれのうみ」【詩】

きせつはずれのうみがすき きせつはずれのなみおとが せなかをおしてくれるから ちょうしはず…

「よびごえ」【詩】

あっきー、と よばれたから ふりかえる あっきー、と よばれなくても ふりかえる この道は こ…

「声」【詩】

隣席。 高い声でよく笑うママ友と よくある愚痴話に興じていた女が ふいにかかってきた電話に…

「手のなかの歌」【詩】

やけに懐かしいぬくもりが 離れていった この手を見つめ わたしがいえるのは ただ サ、ヨ、…

「ひとつの詩」【詩】

わたしは信じる。 偶然、そこにある 百万の詩よりも 苦労のはてに 守り抜いた ひとつの詩を …

「手」【詩】

その手が おもしろい あたたかかったり  冷たかったり 笑っていたり  怒っていたり ときどき…

「あなたに春を」【詩】

わからないを わからないままに できることの強さを 教えてくれた あなたに春を にぎりしめたこぶしよりも 開いた手のたしかさを 教えてくれた あなたに春を ぬかるみのなかをえらんで咲いた 花がある あなたはそれに似ているから あなたには やっぱり春が似合うと思う