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「たかしちゃん」【詩】
むかし、
たかしちゃんという友だちがいた
たかしちゃんのうちはびんぼうだった
たかしちゃんはノートを一冊しかもっていなかった
あるとき、親切心をおこしたぼくは
ノートを貸すよ、といった
たかしちゃんはそれを断った
ぼくはむきになって
それならあげる、といった すると
たかしちゃんはぼくを無視した
ぼくはそれ以来、
たかしちゃんのことがきらいになった
ぼくの貸せなかったノートは
ぼくの算数のノートとして
すぐにその役割をおえた
ーーその年の冬、
たかしちゃんはあっけなく死んでしまった
あのとき、むりやりにでもぼくは
ノートを貸すべきだったのだろう
そしてたかしちゃんと一度でも
けんかをしておけばよかった
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