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伝わる楽しさを知ると、子どもの伝えるスキルが一気に伸びる

おはようございます。
最近、職場の2歳児さんの成長が著しいのです!
特にコミュニケーション面。言葉がゆっくりなお子さんが、たくさん伝えようと言葉を発するようになったり、はっきり発語できる言葉が増えたり。子ども同士のやりとりも増えて、物の貸し借りのバリエーションが増えたり、ごっこ遊びを一緒に楽しめるようになったり。
子どもたちの成長を見ていると、社会性を伸ばすにはコミュニケーションって大事だなぁと改めて感じます。

一緒に遊ぶ、という、子どもが当たり前にしているようなことも、実は伝えるスキルが必要です。一人で自分がやりたいことを、やりたいように遊んでいるのとは訳が違います。
自分がやりたいことを伝えることはもちろん、遊びのルールやイメージを伝えられないと『一緒に遊ぶ』という形になりません。
それも、一方的に伝えているだけでは遊びが続きません。
自分のイメージを伝え、相手が伝えてくるイメージを受け止め、それをすりあわせてお互いが楽しめる共通のイメージを探らなくてはいけないのです。
楽しくなければ、子どもはその遊びをすぐ止めてしまいます。
一方的に押しつけられるイメージが楽しくなければ、一緒に遊ぼうなんて思わないのです。

感覚のいい子は、何回かやりとりを繰り返す中で「どうやら譲歩が必要らしい」ということに自分で気づいてきます。そして自分なりに譲歩して、押し通したいところは押し通して、落としどころをみつけていきます。
見ていて感動するくらい、上手い子は上手い!
そして、苦手な子は苦手です。
子どものうちは譲歩が難しいので、はじめのうちはできなくて当たり前。そのうち、自分が譲歩してでも一緒に遊びたい!という気持ちが出てくると、涙をのんで譲歩するようになっていきます。
この流れも、涙ぐましい気持ちの揺れが見えて感動します。

伝えるスキルをはじめ、コミュニケーションのルールなどは、はじめのうちは大人が教えるところが多いです。
でも、これもまた一方的に教えたところで子どもは興味を示しません。
子ども自身が必要だと感じた時、覚えたいと感じた時が一番飲み込みが早く、ぐんぐん覚えていきます。今の職場の2歳児さんがこの時期を迎えているな、と感じます。
そんな2歳児さんのここ数ヶ月を思い返して、成長の流れを追ってみようと思います。


自分の発信が相手に届いた!という感覚は、嬉しいし楽しい

はっきりとした言葉にならないうちから、子どもは何かしら発信をしています。赤ちゃんであれば喃語で、「あ~」という自分の発信に相手が笑ってくれると、それが嬉しくて楽しくてますます声を発するようになっていきます。
そこから徐々に、意味をもった発信になっていきます。
言葉が出ないうちは表情だったり、身振りだったり、全身を使ってなんとか伝えようとしてきます。お腹が空いた、とか、何か気持ち悪い、とか、発信することで必要なことを伝えて、相手に届くことで困っていることが解消される、満たされるという経験をしていきます。

発信する、という経験が嬉しいもの、楽しいものと感じている子、発信すればちゃんと受け止めてもらえると感じている子は、発信する力がどんどん伸びていきます。

一方で、発信してもちゃんと受け止めてもらえないという経験が多い子や、自分が発信する前に全て解決されている子は、発信しようという気持ちが育ちにくい傾向にあります。
発信しても受け止めてもらえない、というのは、想像するだけで切ない状況ですね……
また、周囲に大人が多かったり、先回りして接する相手が多かったりすると、そもそも発信する必要がありません。発信しなくても困らない、だから発信する必要がない。伝えるスキル以前に、これはこれで成長の面で見るとちょっと考えものです。


もっと届けたい!と意欲が出る

楽しいこと、嬉しいことは、子どもの意欲を引き出してくれます。
はじめのうち、子どもが何かを伝える相手は大人が大半ですよね。なので、発信が不十分でも相手が予想してくれたり、補ってくれたりする。コミュニケーションは成立します。
ところが、保育園や幼稚園といった外の世界に出ていくとそうもいきません。
伝える相手が子どもになると、予想もしてくれないし、補ってもくれないので、発信が不十分だと伝わらないのです。それはお互い様で、相手の発信もよく分からない状態ですから、コミュニケーションが成立しないことが多くなります。

そんなコミュニケーション不成立を味わった子ほど、伝わった!という経験は楽しいし嬉しいもの。
もっと伝えたい!と意欲が出て、どんどん喋るようになったり、言葉の数が増えたりしていきます。よく「一日中喋ってるんですよ」と言われる子どもの中には、この時期の楽しくて仕方ない子どもがいます。
伝えるスキルが伸び始める合図でもあります。


どうやったらもっと届くだろう?と学習する

子どもは自然と学習しています。
大人のように複雑な思考はせず、シンプルに、自分の欲求を満たすために必要なスキルを獲得していきます。なので成長が早い!

子どもは自分の周りから学習することが多いです。幼いうちは特に環境が限られますから、家庭や保育園・幼稚園、テレビなどが中心になると思います。
見て、聞いて、「これだ!」と思ったフレーズややりとりを覚えていきます。
この時期は吸収が早いので、「こういう時は、こうやって言うといいよ」といった大人の話も比較的よく聞いてくれます。また、大人が実際にやりとりを見せて、ちゃんと成立することを教えてあげるのも効果的
慎重な子や不安感が強い子は、ちゃんと成立するんだ、という安心感があることで特に励まされます。
教えてあげるだけより、見本を見せたり、一緒にやってみたりするとさらに安心できて、自分でもやってみよう!と思えるようになります。大人から見るとゆっくりで、もどかしく感じるかもしれませんが、焦らず見守ってあげてほしいです。

また、この時期は気になったフレーズをどんどん言いたい時期でもあります。そのため、大人からすると止めてほしい言い回し、強い言葉を好んで口にする姿も増えます。
これもまた、子どもの成長の一環です。
叱っても意味はなく、むしろ叱ることで増長させてしまうことすらあります。
淡々と、「その言い方は止めてほしいな」「こういう言い方がいいと思うよ」と伝え続けること。
少し時間はかかるかもしれませんが、この対応を続けていくとそのうち消えていきます。
(ただ、お兄ちゃん・お姉ちゃんが言い続けていたり、テレビでよく聞くフレーズだったりすると、なかなか消えないと思います)


発信する経験がないと、必要性が分からない

繰り返しになりますが、子どものうちは本人の意欲が一番強いです。発信した内容が伝わった!という経験があるから、もっと発信したい!もっと伝えたい!という意欲に繋がり、伝えるスキルの獲得が早まります。
幼いうちは成長の個人差が大きいので、ゆっくりな子もいれば早熟な子もいて当たり前。他の子と比べて極端に焦る必要はありません。
ただ、子どもが発信する経験をちゃんとしているかな?という視点をもってみるのはいいかと思います。

大人がやってしまう方が早いし、確実ではあります。
でも、手伝ってほしい時に「手伝って」と発信する。
何かをしてほしい時に「お願い」と発信する。
これは子どもに限ったことではなく、成長してからもずっと必要になる発信です。
うまくできていないなと思っても、すぐ手伝うのではなくて少し待ってみる。困っていることを自覚してから「手伝おうか?」と声をかけ、「困ったら手伝ってって言ってくれれば、すぐ手伝うよ」と教える。そういうちょっとしたやりとりの繰り返しで、子どもは発信する必要性を感じていきます。

また、できるだけいろいろな人と関わる経験もしてほしいと思います。
家族なら伝わるけれど、そうでない人には伝わらない。
保育の現場では、この壁に呆然とする姿をよく見かけます。
自分の当たり前が、他の人には当たり前ではないかもしれない。
それを知っているかいないかで、伝え方も変わってきます。「なんでわかんないの!」「なんでやってくれないの!」と癇癪を起こすのではなく、「あ、これじゃ伝わらないんだ。もっといっぱい話さないといけないのかな?」と考えられるかどうか。それも、子どもの伝えるスキルが育つ要因の一つです。

私が子どもとのやりとりで気をつけていることは

・先回りしすぎない
・足りない部分を補って、「○○ってことかな」と確認する
・言い間違いは指摘せず、さりげなく言い直す
・指摘するときは淡々と、短く、分かりやすく

困らせたいわけではなく、がっかりさせたいわけでもなく、悲しませたいわけでもありません。
でも、「困ったな」「どうしたらいいのかな」「あ、違ったのか」といった感覚を味わうことは、子どもの成長に欠かせません。
その上で、ちゃんと助けてくれる、教えてくれる、フォローしてくれる存在がいると安心できることで、子どもは自分の力で挑戦して成長していきます

子どものうちは立ち直りも早く、子ども同士のトラブルも深刻化しにくいです。ちゃんと見守ってもらえているという安心できる環境で、どんどん挑戦して、伝えるスキルを磨いていってほしいなと願っています。


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