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地方のインプロと東京のインプロ

関西インプロバイザーで東京在住の秋桜天丸です。

今日は、僕が一生懸命活動しているインプロ(即興)の世界のマニアックな現状について書きつつ、何故僕が、東京に住みながらもいまでも関西神戸でインプロ(即興)の公演を開催し続けているのかその理由について、想いを綴っていこうと思います。

まずはインプロって皆さん聞いたことありますか???

この記事を見に来ている時点で、インプロをやってたり、詳しい方が多いのではと想像しておりますが、日本全体で見るとまだまだ知らない人が圧倒的に多いかなと思います。

更に言葉は知っていても、インプロと聞いて思い浮かべるイメージも人それぞれで、ある人にとっては、アイスブレイクのゲームや芝居の稽古でやるエチュード、シアターゲーム、コミュニケーション、カウンセリング、YESAND、ペーパーズ、大喜利、より演劇的なイメージなどなどこれ以外にもたくさんあるのかなと。(この辺は詳しく話すと日本のインプロの歴史みたいな話になるので割愛)

個人的にはそれのどれも間違ってはないと僕は思ってます。何故なら、インプロは即興の英語improvisation からきていて『即興』という意味合いなのですごーい広い意味で即興であれば何でもインプロだといってもいいと思うので。(この辺りは、人によっては結構”インプロ”とはこう言うものだ!っていう人もいるのであくまで僕はこう思うですが)

なので、概念としてはとても広いのですが、
我々がインプロという言葉で話すときは、即興で行われる芝居という意味で使っております。これから話すインプロもそういったイメージで読んでもらえたらと思います。


前置きはこのくらいにして、
今回はそんなインプロの東京と地方の違いみたいなのを関西で6年くらいインプロの公演を主宰し、いま東京で1年半くらい住んで東京のインプロについて触れてきた僕の肌感で語っていこうと思います。

まず率直に東京に来て感じたのは”インプロ”って言葉がこんなに伝わるんだって感動にも似た驚きでした。ちょっとオーバーかもだけど関西の100倍くらいインプロにちょっとでも関わっている人の数はいるんじゃないかなって思う。

それは言葉としての”インプロ”もそうですが、マインド(考え方)としてのインプロのベースにあって即興している人達がこんなにいるんだって感じ。

僕の居た関西では即興をやっていても、演劇の技術の一貫としての即興芝居や笑いを中心とした即興であって、根本的な”インプロ”のマインドを持っている人が周りには少なかった。(自分自身がもともとそういった場所出身ってのはあるけれど)

ここでインプロのマインドと言っているのは、自分に素直に自由でいるって感覚?結果よりも過程を大切に自分の感情、感覚に素直にいるところから始める即興芝居で自分の感覚以上に無理はしないってイメージ。

関西は、どちらかというと結果が全てで、自己犠牲をしてでもお客さんにイイものを届けるってイメージ。台本役者が即興でお客さんの前に急に舞台立てよって言われて、どうにかしてやるって気概と根性で技術を磨いてきたってイメージ。(もちろん関西の全員がそうってわけではなくインプロのマインド持った人もいるけどやっぱり東京に比べると凄く少数)

どちらがいい悪いの話をしたいわけではないし、上記の環境の中でも続けている関西のプレイヤーのお客さんのためにこの瞬間をどうにかしてやろうってかける気持ちの強さ大好きだし、東京ではあまり感じることはないなぁとも思う。(個人的にはどちらの感覚もバランス良く持ったうえで遊び心をもってステージ上で自由でいれるのが最高かな)

ただ、そういったプレイヤーにインプロのマインドの良さを伝えることに関しては、6年間ずっと苦労し続けてきたのも事実であったりするし、関西では根本的にインプロを学べる場所が凄く少なく継続的に学べる場所ってほとんどないので、インプロをやってると言っているプレイヤーでも、人それぞれ理解や求めているモノに差があり、レベル差がマチマチの人達が何とか集まって1つのインプロWSが成立するかどうかってのが関西の現状だと思う。

ちょっと寂しいけど。リアルはそう。

関西は特に継続的にチームとしてインプロをしている場所が少ないってものある気がするが、他の地方においてはその地方を代表する1チーム(ないしは数チーム)が引っ張って続いているってイメージで、そこから大きく広がっていくイメージはない。(頑張ってるとこはあるかもだけど、そう見える)

これは地方と東京とで変わりない印象だけど、自分のやっているもしくは所属しているインプロの団体以外のインプロ(インプロ団体)との交流の場が少なく、自分たちがインプロをするってことが目的でありそれで満足しているところが多いのかなと思う。

ここでいうインプロは人に見せるステージとしてのインプロの話なのだけれど、正直地方はインプロをやっているところが少ないせいで、インプロに含まれるいろんな要素(最初の方に述べたやつね)を1つの団体が背をっている面があって、そうなるとインプロの裾のを広げるWS的な面や社会貢献的な面(教育や企業研修)と、自分たちが楽しむインプロのステージをお客さんの前でやるってことでいっぱいいっぱいであるのも至極当然でそれ以上を求めるってのは難しいよなってのも思う。構造的に。

そこに関して東京は、ある程度、WSだったりと、社会貢献(教育や企業研修)と舞台としてのステージは分離されているようには感じるし、インプロのマインドを学ぶ場所(簡単に自分に合った場所に出会えるかどうかは別にして)は沢山の入り口が用意されているように感じる。(具体的名をあげるのはここでは止めておく)

それは根本的に東京の人口が多いことや舞台に関わる人口の数、新しい技術や知識にアンテナを張っている人の数、そういったものが集まる文化ってのが大きく、関西の規模の地方でもまったく太刀打ちできない数の暴力だなと思う。

ただ、それでも東京でも地方と同じようにインプロのいろんな要素を抱えつつやっている団体もあって、特に老舗な団体ほどそういった傾向は強く、新しい団体ほど、住み分けしているイメージ。(まぁインプロの人口とその辺りも比例するだろうから当たり前だと思うが)

その住み分けている中でも、純粋にステージのインプロの質を求めている団体ってすっごく少ないし団体の運営や継続という意味で脆いところが多い。もうこれは日本の現状だと思う。(もちろん頑張ってるとこもある)

これは個人的な感覚であるがインプロやインプロの考え方をつかったような教育やコミュニケーション、企業研修、カウンセリング、自己肯定感、生き方的な部分へのアプローチは今後も必要とされるし伸びる分野だとも思っている。(希望的予測も含め)

だけれども、ステージのインプロはこのままだと難しいと率直に思う。(インプロに限らず演劇としてもそうかもだけど)

ただ、自分がやりたいと思うのは、
このステージのインプロのレベルをあげること。


やっと自分の話になってきましたねw


即興でもこんなに面白いモノが作れるんだぞ!って作品を作ることで日本のインプロの最先端をより高く鋭くしたいのです。

僕は結構、これまで真剣にインプロに取り組んできていて、そのうえで最近自己ベストを更新し続けている感覚なので、今であればもっともっと面白いもの作れるんじゃないかって思っているし、僕が舞台をやるときに心の底で思っているのはお客さんを感動させたいって思い。

感動ってのは感じて動くって書くのです。

どんなことでもいいので舞台を見てそれを通して行動に移すその原動力を与えたい。

特にインプロにおいては、即興でこんなことできるんだ、自分も即興でこんな舞台作ってみたいって思う人が一人でもいいからいてくれたら。そう思って作品を作ってます。

憧れることのしんどさも苦しさも知ったうえで
憧れられる存在になりたい。次の世代のために

来週、8/5に神戸でやりたいのはそういった作品への挑戦です。

ただ、前述した通り関西のインプロって他の地方と比べてもまだまだでインプロの認知だったり裾野を広げるような分かりやすい即興ってのが合っていて、こういう作品をやるには正直まだ早いと思ってます。

それでも、なんだかんだ神戸で6年近くインプロの公演を続けてやってきたことで、凄くお世話になってるイカロスの森という劇場さんが、ごく一部ですが神戸のインプロの劇場として認知されつつあるのを感じていて、しかも今回はイカロスの移転10周年を記念したイベントってこともあり、東京よりも先にここで上演したいと思ったし、できることならこれを見て神戸から即興の公演を志す人が現れて欲しいのです。

さらに、関西で即興を始めインプロに出会えたことは
僕にとって幸運だったし、そこへの感謝としてこれからも神戸でもインプロをやっていきたいし、なにより関西の面白い人達のインプロをみてもらいたいし、まだまだ一緒にインプロをしたいのです。

9/30と10/1も関西のメンバーとの公演を予定してます、最高におもろいメンバーですが、この他にも泣く泣く今回はステージ数と人数の関係でお誘い出来なかった人達が沢山いるのでまだまだ関西からインプロの面白さを届けていきます!!

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