見出し画像

ローマ字ってなにってやっぱり思う。

日本で英語などの外国語を学ぶときに、「ハロー」とか「グラシアス」とかカタカナでそれっぽい読み方をつけるのは、緊急で片言を覚えなければならないとき以外はやめたほうがいいと思う。

中学生用の英和辞典にすら発音がカタカナで書かれている。アクセントのある位置が太字になっていたり、たまにひらがなが混ざっていたりという独自のルールまで作り、外国語の発音を日本の文字でコントロールしようなんて、その優しさは、英語学習のためになっていませんよ、と言いたい。

外国の文字とその発音を覚えるときに、発声の仕方も音の種類も違う外国の文字に置き換えて覚えることは、近道のようで遠回りになるのだ。

大人になればなるほど、自分の中にすでにある知識に結び付けがちで、そのままを受け入れて自分のものにするということが苦手になる。知っている知識と比較したり結び付けることで整理できて覚えやすくなることもあるが、勘違いや癖の元でもあるから、注意が必要。

外国人に日本語を教える際にも、ひらがなに読み仮名としてアルファベットがふられているものがあったり、単語や会話をローマ字表記している教材などがあるが、それも一瞬の「間に合わせ」にはいいかもしれないが、これから言語を学ぶためには後々の障害になってくる恐れがある。っていうか、これは見ないでくださいね、って言わないといけない。

日本人は小学校で覚える「ローマ字」の発音は外国どこでも通じるものと思いがちだけど、まったくそんなことはない。国によってアルファベットの発音は違うし、英語でaがいろんな発音をするように、組み合わせや場所によっても音が変わるから、「あ」は「a」、「と」は「to」、「ら」は「ra」、「め」は「me」、「よ」は「yo」、「ひ」は「hi」ですよ、とか、タ行は「T」の音、などと教えてしまうと、なかなか基礎の音が身につかない。

国によって、発音しにくい音、聞き分けにくい音がある。日本人にとって「L」と「R」が難しいように。逆に、「L」と「R」がはっきりしている国の人にとっては、「らりるれろ」っていったいどういう音なの?と聞かれる。「rarirurero」でもないし、「lalilulelo」でもない。もちろん英語とスペイン語の「rarirurero」も全然違う。

アルゼンチン人は、サ行とザ行の聞き分けと「やゆよ」が難しいなと感じる。サ行とザ行を混同するのは、南米のスペイン語圏の多くの国がSとZの音の違いがないというのが大きな理由かもしれない。アルゼンチンでは特にそれを感じる。ざじずぜぞは「蜂のズズズズ」の音だよと説明すると納得はするものの、実際に聞くとき読むときになると「しぜん」が「しせん」なのか「じぜん」なのか「じせん」なのか、とても注意しないと難しいというのだ。(そしてこの4つとも実際にある言葉だからやっかいだ)
また、「やゆよ」もアルゼンチンのスペイン語ではほとんど出てこない音なので、「ia iu io」を少しずつ「やゆよ」に近づけていくような練習をしないと「や」という文字を私たちが想像する「や」にはならない。

なので、安易にローマ字というこれまた別の日本のルールで教えてもあまり意味がないのだ。

まったく知らない外国、古代の文字を見て、はいこれが「§-Ψ"ζ`」と読むんですよ。と聞かされても、そりゃ、難しいよね。

そんなわけで、「ローマ字」を覚える意味って、やっぱりわからないんだな。英語の前に習っちゃうから英語の発音の変な先入観になっちゃうし。外国語に近づいているようで外国語を学ぶにも教えるにも、垣根をひとつ増やしてる気がする。

好きなことを書いて好きな写真をあげているだけですが、サポートしてくれたら張り切っちゃいます。