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【空き家な人々と対談】真っ白なキャンバスに自由に絵を描くような家づくり〜ZERO CANVAS 前篇〜

こんにちは、子育て広報の三輪です!
今日は、空き家買取専科の物件を何件もリノベーションしてくださっている(株)ゼロキャンバスのお二人にお話しを伺いました。
ゼロキャンバスさんにお願いする物件は、いつも難しい物件ばかりですが、毎回想像を超えるアイデアと施工で仕上げてくださり大変お世話になっています。今回は、家づくりに対する思いや空き家についての考えをお話しいただきました。

左:(株)ゼロキャンバス代表取締役 樋口淳也さん 右:裕香さん

夫婦で手掛けるゼロキャンバス

三輪)本日はよろしくお願いいたします。まずは、お二人の自己紹介をお願いできますか?

淳也)よろしくお願いします。株式会社ゼロキャンバス代表取締役の樋口淳也です。僕は23歳から大工業を続けており、神社やお寺等も手掛ける和風建築を担当する建設会社や、浜松市のぬくもり工房という洋風物件の多い工務店など幅広く家づくりに携わってきました。現在、ゼロキャンバスを立ち上げ約6年です。

裕香)樋口裕香です。わたしも昔から建築の仕事に興味がありました。子どものころから、自分の生活をイメージするのが好きで図面を書いて遊ぶなんてこともしていました。
社会人になってからは、現場監督の仕事をしたり、設計の仕事をしたりしてきました。その後、浜松市にぬくもり工房という可愛い物件を作っている会社があると知り、転職をしました。ぬくもり工房では、積算業務を担当し自分の経験を積むことができました。

三輪)二人は、ぬくもり工房さんで出会われたんですね。そこから独立されるまでは、どんな段階があったんですか?

淳也)独立を決めたのは結婚のタイミングです。会社員という立場だとどうしても会社対お客さまになってしまうので、もっとお客さまと直接向き合って家を作りたいと考え、妻と一緒に会社を立ち上げることにしました。
ゼロキャンバスという会社名は、2人で考えましたね。僕が「ゼロ」という数字が好きなんです。「ゼロ」には“無限”や“何もない”という意味があって、これから作っていけるという未来を感じられます。「キャンバス」には自由に描ける場所という意味があるので、組み合わせて「ゼロキャンバス」という会社名を作りました。

独立のきっかけ 空き家買取専科との出会い

裕香)私は正直独立するのに不安でいっぱいだったのですが、夫の手には技術力があるからそれを信じて、そして自分は設計や積算の仕事ができるからと、自分たちを信じて、やってみようと決めました。今思うと、思い切った決断だったと思いますが、2人で得意なこと・苦手なことを補いながら、これまでやってこれていると感じています。それに思い切った決断ができたのは、空き家買取専科さんとの出会いがあったのも大きいです。

三輪)そうだったんですか!弊社との出会いとなると、最初は事業プロデューサーの石川でしょうか?

裕香)そうです、石川さんです。
私がまだ会社員時代で独立に向けて悩んでいる頃、偶然静岡市の研修会で石川さんと一緒になりました。そのセミナーで夢を発表する時間があり「いつか建築の仕事で独立したい」と言ったんです。そしたら、さっそく話しかけてくださり、「うちの物件やってみない?」と話をいただいたんです。
この時になっても私はまだ踏み出せなかったんですが、夫に相談をしたら「そんな良いお話をいただけるなら、絶対にやらせてもらおう!」ということになったので、2人で退職をして独立に踏み切ったんです。
私たちが一歩進めたのは、空き家買取専科さんからいただいた話があったからこそ、と言っても過言ではないと思いますね。

物件づくりに対するこだわり

三輪)最初に一軒家のリノベーションを手掛けてくださったのは、焼津の物件でしたよね。

淳也)そうですね、焼津の物件です。初めてだったのでよく覚えています。古民家の改装は、初めてだったので分かっていないことも多かったと思います。あれもこれも改装しようと思うと、あっという間に予算を越えてしまうので、設計する妻と一緒に試行錯誤して施工しました。
例えば、玄関の壁に穴を空けてライトを格納したのは、いいアクセントになったと思っています。当初は、壁のままにしておく想定でしたが、そのままだと面白くないですし玄関なので明るくしたいと思って、電球を入れてステンドグラス風の壁をはめました。そうした造作も、ついつい自分でやっちゃいますね。

淳也さん作の造作
玄関のいいアクセントに。

裕香)設計では、広縁をダイニングにしたのも大きな特徴です。この物件を見た時に、どうしても「リビング・ダイニング・キッチン」を同じ空間にしたい!という思いがあって、非常に悩みました。キッチンをどこに置こうか?既存の和室2部屋の日当たりがいいから、そこをダイニング・リビングにしたら気持ちいだろうなーなど、物件の良いところを引き出して設計をしたんですね。設計を進めていくうちに、せっかくなのでリビング・ダイニングを広い空間にしたく、広縁との間にある間仕切り壁も取ってキッチンとつながった空間にしました。そうすることで、日差しも入りますし、LDKも広くなりましたね。
この物件のbeforeを知っている人からすると、広縁がダイニングになっているので、驚くだろうと思いますが、初めて訪れた人からすれば違和感なく過ごせるかなと思います。
beforeを知っている私たちは、より物件の魅力を引き出せるように工夫を凝らしています。

ダイニングテーブルのある場所が、元々は広縁でした。

空き家のリノベーションについて

三輪)広縁にダイニングができていて、びっくりしましたよ~!でも日が入って明るくて、すごく気持ちのいい空間ですよね!いつも難しい物件をありがとうございます。
やっぱり、空き家のリノベーションは難しいですか?その中でもゼロキャンバスさんのこだわりも教えてください。

淳也)リノベーション業者目線からすると、空き家のリノベーションは、解体してみないとわからないことも多いので、毎回ドキドキです(笑)実際に解体してみると、白アリの被害が酷かったり、地盤沈下で床が傾いていたり、と想定外のことだらけです。そうなると、大規模の工事になるので一度作戦を練り直すのが大変ですね。その分、完成した際には達成感もありますし、お客さんから「こんなに素敵に変わるんですね」とお言葉をいただくと、嬉しくて大変だったことは忘れちゃいます!

それから僕は、昔から絵を描くのが好きで、手掛ける物件を図面だけでなく、水彩画でも表現しているんです。パースではなく絵で描くことで、温かみがあってイメージがしやすいとお声をいただくことがあります。僕自身はメリットと捉えていなかったのですが、一度あるオーナーさんにお渡ししたら、とても喜んでいただけたので、ゼロキャンバスの特徴の一つになっています。

裕香)その物件の間取りや周りの雰囲気に合った施工というだけでなく、今後どういう人が住むのかなとイメージしながら設計をしています。物件を初めて見た時に、すぐに「今回はアジアンリゾートだ!」と方向性が見える場合もあれば、最後まで悩むことも多く色々です。私たちの場合は、施工を進めながら、「ここを変更しよう」とか「これはやめよう」とか現場に行って夫と相談することも多いです。設計担当は一応私なのですが、夫も現場だけでなく設計のことも考えてくれますし、技術があるので現場で勝手にアレンジをして進めてくれています。
先日も、空き家買取専科さんの物件で、“ここにドアがないのはおかしい”派の夫と、“ここにドアはいらない派“の私とでもめたことがあります(笑)
洗濯機を置くスペースと居室が隣接していて、そこにドアを設計していなかったんです。私自身は洗濯を回しながら他の家事をするので、特段問題はないと思っていたのですが、よく考えると脱水のタイミングでは洗濯機から大きい音が出るので、あった方がいいと夫に指摘されて気付きました。夫婦だからこそ、言いたいことを言い合って、物件にとってより良い方向になるように進めています。

盛りだくさんのお話をありがとうございます。前篇はここまで。
後篇は、静岡市の長谷通りにある「ごちそうマート」のリノベーションやゼロキャンバスさんが考える空き家問題についてお話いただきます。
どうぞお楽しみに~!