「名を覚えている」(詩)
手の平を預かる
やわな肌を通りこして
白色の過去は歌う
あなたに似た夏が
秋に食い殺されたこと
届いたかどうかを言い争って
割けた過去は もう二度と元には戻れない
諦めず ひきずる縄を
どうして踏み止めるの
悲しいだけなら 行くだけだ
哀れなだけなら 目を閉じて
いらないものなら どこにあってもいいでしょう
私は逆さに 呆れ顔
背を比べた日々の手を引いて
かえった温度だけを数えていればよかったのに
かたちがあったものは 名を覚えている
さみしさは その浅い色の影から生まれていく
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?