「素敵な姉さま」(ちいさなお話)
私には素敵な姉が居ます。姉は黒と赤のドレスを持っていました。たくさんのリボンが波のように幾重にも縫い付けられた赤いドレスは、永遠の恋人との結婚式で着ていらっしゃいました。ドレスよりも光沢のある赤いハイヒールには、甲の部分に一粒の真珠の飾りが付けられており、姉がドレスの裾を摘まみ上げる度に、きらりと光を返していました。それはまるで花を摘むように可憐な様子で、式に出席していた方々は、溜息のように姉の名前を零していたものです。姉の名前は花の名前でした。赤く、可愛いその名前が人の口