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みごとな みごとな 満月は だれの心の描いた満月なの きいろをぐるりと塗りひろめ 青い夜を…
月を 呑んだか 飲んだくれ 恋に 恋して 愛を目隠し 月光 研いだよ お父上さん 貫く胸をかし…
鳴らない鈴を持っている 拾ったのじゃない 作ったのでもない 私自身が それだった くすんだ…
風に暴かれた いたみが ぽつ ぽつ と 光を産む 道端に落ちたからと 花を真似して するり…
物語りを裂いてはいけない 丸のままで取り出して そのために私の顎を砕きなさい 歯を押し沈め …
読み終えた物語りは けして、胸内に留まってはくれない 重しを詰めるように感情を紐で結わえ …
しずかに しずかに おちてくるもの とつとつと しずかが おちてくるのよ それは赤い実だった 青い羽は 白く白く燃えて溶けた しずかは しずかのまま ひとつの滴に おちて染みた
月が呼ぶ 白い手が 白い声に 響きを伝って 押し当てられる たらり たらり、と白く 細く儚いも…
【青】 まっさらな空は淋しい 青く 青く 青く 轟く風の音さえ鎮まる 青に 青に 青に 【白】…
完璧を理想としながら 不完全を愛おしんでしまう ひとというものは なんて幼い そして可愛い…
赤猫を追いかけた あの道はもう無い 落ち葉が埋めて 雪が咲き 明るい地面を洗った季節 あの…
あなたはきっとやさしい だってやさしいひとが なんにんも なんにんも あなたをやさしいと言う…
ただ、祈りたいときがくる 目を閉じ 手を合わせて そして呼吸だけを回す そこでは言葉が小さ…
声高に 名を呼ばうことはできなかった 会いたい、は 過去へ 過去へと消えていく 底は見えなかった 覗いた先の星々は美しく在った あなたのいない今もたしかに美しい あなたのいた時間を苗床として あなたの生きる過去は一際うつくしい その目が見つめた水辺を鳥たちが発っていく 大きな声は割れて 粉々に散った 星にすらなれない瞬きは 風に色も持たずに去っていった