格差を前提としたうまい話。のるかどうかはアナタ次第。
こんにちは。秋田県由利本荘市でごてんまりを作っています〈ゆりてまり〉です。
コロナの社会的な引き締めがかなりゆるくなってきました。
わたし自身、最近イベントに呼ばれる機会が増えてきたなあと感じます。
コロナ以前、地域おこし系のイベントと言えば、リアルなコミュニケーションのあるものが主流でした。
とくに都市部の人間をターゲットにした移住イベントでは、実際に地域に来てリアルな生活を体験してもらったり、地域の住民と交流したりするものがほとんどでした。
秋田県でも、コロナ以前は都市部からの移住や関係人口を増やす目的で、様々なオフラインイベントが開かれていました。
そのようなイベントに関わる中で、精神的に疲弊している人を見かけたことがあります。
その人は単にイベント疲れのせいで消耗していたのではなく、明らかに移住イベントにホスト側として関わったせいで傷ついていました。
「こういう移住イベントに参加すると、普通に旅行するよりずっと安くなっていいよな」
イベントに参加する人間が全員こういうことを言うわけではありませんが、参加者の中からこんな声が聞こえてきてしまったのです。
「少しでも地域の良さを分かってもらいたくて、頑張っているのに…」と、純粋な気持ちで頑張っている人ほど傷ついてしまうようでした。
中にはいろいろな地域の移住イベントに出かけて行って、「どこそこはすごかった。××の体験が通常より○○円も安くなったんだ!」などと自慢気に語る人もいます。
人口減少に悩む地域は一つや二つではありません。
移住者獲得競争が激化するなかで、こういう人が出現するのも仕方ないことなのかもしれません。
そもそも何故こういうことが起きるのかと言えば、入ってくるより出ていく人間が圧倒的に多い地域の人間が、移住者や関係人口を増やしたいがあまり、自治体や飲食店、宿泊施設などと連携して(まさに地域ぐるみで)都市部の人間を、出来るだけ気軽に地域へ来てもらおうとするからです。
その結果、ふつうの旅行プランではあり得ないほどの安い金額設定になり、それにつられて参加する人も正直います。
ですから、イベントに参加する都市部の人間が「ふつうに旅行するより、安くなっていい」という感想を持つのも、ある意味当たり前です。
だからと言って、そういう言葉を聞いて傷ついてしまった人に対して「それぐらいで傷つくなよ。このイベントを企画・運営しているのはアンタのところの地域なんだから、自業自得だろ」と言うのは、あまりに非人道的な気がします。
ではどうすればいいのかと言うと、まずこういうイベントは、地域間の格差を前提として成り立っている、ということをはっきり認めるべきです。どこか地方への移住を検討している都市部の人間と、何とか人口減少を食い止めたい地方の人間。
立場は最初から対等ではありません。
その上で、金額や数値に変換されない価値観をしっかり持っておくことが重要ではないかと思います。
たとえばその土地でしか見られない、自然環境や景色など。あるいはその土地の歴史や文化など。つまりその土地に固有のものであり、簡単に輸出できるものではないものです。
それらは地域という変数でみた場合、その土地で生まれ育った人間が圧倒的に有利であるという特徴があります。
どんな事業・イベントに参加するのも自由です。
客として参加するのも、ホスト側で参加するのも、全てアナタ次第です。
しかし自分のアドバンテージを守り、いたずらに傷つかないためにも、地域間格差の下位にいる人間は、自分の暮らす地域のそこでしか見られない価値を、しっかり把握しておいた方がいいと思います。
単純に「地域おこしがしたい」「地元に少しでも人を呼び込みたい」という気持ちだけで活動していると、自分の方が疲弊してしまいます。
また、いつも自治体や補助金の力を借りながらイベントをやることに慣れてしまうと、通常料金で人を呼ぶことができなくなってしまいます。
わたしが何かとnoteでごてんまりの歴史について触れるのは、自己防衛のためでもあります。
こんなことでいちいち心が折れていたら、やっていられません。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?