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140字小説 No.≠051‐055

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【No.≠051 花まじない】
別れた彼女にクロッカスの種を贈ったことを思い出す。「紫色の花が咲いたら結婚しよう」遠い昔の約束だ。花言葉を調べてみると『あなたを愛したことを後悔する』という意味があった。なんとも皮肉めいているなと苦笑いする。あのクロッカスが、今でも、種のまま芽吹いていないことを願った

【No.≠052 忘れ声】
亡くなった人に繋がる電話番号があった。数回、コール音が鳴り響く。「もしもし」誰の声だろう。なんとなく懐かしさを感じた。「久しぶり」「……あ」心臓が跳ねる。私が好きだった男の子だ。そっか。君、死んじゃったんだね。話したいことは沢山あるはずなのに、言葉の代わりに涙が溢れた

【No.≠053 傷文学】
切った指から物語が溢れていきます。痛いでしょうか。傷は残るでしょうか。溢れた物語が指を伝っていきます。逢いたいでしょうか。傷は塞がるでしょうか。伝った物語が心に滴っていきます。相対でしょうか。傷は醜いでしょうか。滴った物語が、また、どこかに溢れていきます。傷が。傷は、

【No.≠054 月まで跳ねる】
昔々、孤独なウサギが月まで跳ぼうと長い耳を揺らしていました。さみしい毎日、空へと跳ねて、誰かに見ていてほしいから。ある夜、ウサギはついに月まで辿り着きました。疲れ果てた末に命を落としましたが、悲しくはありません。勇敢な君を讃えるように、今もほら、みんなが月を見てるから

【No.≠055 真夜中の歌】
寝苦しい夜、窓を開けるとやわらかな風が流れ込んできた。遠くで鳴る踏切も、木々の擦れる音も、隣の家の女の子が歌う「る、る、る」という声も、朝を迎える度に薄れてしまうのだろうか。起きていても、眠っていても、いつか明日が来てしまうのならば、どうしようもない不安も愛したかった

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652