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140字小説 No.≠081‐085

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【No.≠081 地族館】
水族館ではウミガメが泳いでいます。仲良く歩き回る幼い兄妹。初々しい高校生のカップル。しっかりと手を繋いだ老夫婦。色んな人達がやってきます。ウミガメは視線を忙しなく動かしながら、のーんびりと呟きました。「わざわざお金を払って僕に見られに来るなんて、人間達も変わってるな」

【No.≠082 言花】
誰もがみんな、言葉を育てています。文字の種を植えて。文章の水を与えて。声の葉が芽吹いて。言葉の棘を取り除いて。会話の瓶に飾り付けて。どんな色にしようか。どんな形にしようか。誰かを思って、誰かを考えています。誰もがみんな、言葉を育てています。今、生まれたばかりの言葉が──

【No.≠083 アクリル板の向こう側】
ある朝、窓を叩く音で目覚めると水の中にいた。「この街は水槽に沈んだんだよ」近所のお兄さんが私の手を取る。ふわりと浮かんだ体で街を泳げば、学校も、手紙も、未来も、その全てが水の底だった。遠くには不透明なアクリル板がそびえる。きっと、私達は『何か』に捕らわれてしまったのだ。

【No.≠084 桜雨】
数年前、僕と彼女は一本の傘に二人で収まりながら桜を眺めていた。なんとなく別れの予感はあったのかもしれない。言葉は交わさず、散りゆく桜の軌道を目で追いかけていた。あの日と同じく小雨が降る夜、適当に傘を取り出して開くと、桜の花びらが落ちる。一本の傘の中に、一人で立っていた。

【No.≠085 ひよこのこ】
ヒヨコは初めて目にしたものを親だと思い込む習性があります。ある日、二匹のヒヨコが産まれて、同時に相手の姿を確認しました。すると、お互いの背中をトコトコと必死に追いかけます。円を描くように、その場でぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐ――

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652