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140字小説 No.486-490

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【No.486 オーバーイーツ】
母がオーバーイーツを始めた。孫からの「あれ買って。これ食べたい」というわがままに応えたり、限定おもちゃがあれば朝早くから並んで、ヒーローごっこを頼まれたら怪獣役としてやられて、それでも母はなかなかに楽しそうだった。お金にはならないけど、やりがいのある仕事なのかもしれない

【No.487 はるかぜ】
冬が産んだ卵を育てる。次なる季節への期待や、新しい生活への夢、深まる交友関係で卵はコツン、コツンと内側から音を立てていた。今はまだ永久凍土の時代なのかもしれない。だけど、いつか、いつか。優しい言葉をかけて、日の光を浴びせる。卵はコツン、コツンと割れて、中から春が産まれた

【No.488 接点復活剤】
昔からの友人と疎遠になってきたので接点復活剤を使う。縁にこびりついた錆を取ったり、勝手に反対方向へ動いてしまう心を直したり、仲直りしたい思いとは裏腹に気持ちが止まったり。そういった気持ちのズレを修正してくれるのだ。直して、直して。いつのまにか、缶は空っぽになってしまった

No.489 入欲剤】
仕事の疲れを取るために入欲剤を使うと、浴槽のお湯が札束と裸の女に変わっていく。人の欲を粉末にした代物だ。元彼を見返したい。同僚を蹴落としたい。入欲剤を使うほど欲は濃くなっていく。ふと足が滑って体が浴槽に飲み込まれる。深くなった底に足が届かなくなり、やがて欲に溺れていった

【No.490 空を泳ぐ】
「活きのいいエビフライが手に入ったんだよ」と大将に勧められる。最近は天候が不安定で、天然モノのエビフライはなかなか空を泳いでいない。昔は『海老』という生物が海にいたらしい。太陽が近くなった今、灼熱となった海から生物は消えて、逃げ場を求めた魚達がフライになって空を目指した

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652