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140字小説 No.-136‐140

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【No.-136 コーチングコーチ】
優秀な選手は優秀なコーチの下に育つ。スポーツ界は打倒世界に向けて、新たな強化システムを導入した。選手の発掘や調整はもちろん、コーチ自身にもコーチをつけ始める。すなわち、指導者の指導だ。更なる高みを目指すために、コーチを育成するコーチを育成するコーチを育成するコーチを──

【No.-137 朝焼けと雀】
下北沢のライブハウスで歌っていたインディーズバンドも、今や恋愛ドラマの主題歌に起用されるまで有名になる。誰のものでもない抽象的な曲が、誰かの物語になってしまうのがこわかった。あれは確か、別れの歌詞のはずなのに。厄介な僕の感情をあざ笑うように、朝焼けの中で雀が鳴き始めた。

【No.-138 気持ちを着る】
ダイエットのために服屋へ訪れる。満服を着ればお腹が減ることはない。何をされても楽しい幸服。どんなことだって尊敬できる感服。気分によって服を選ぶように、今では服によって気持ちを選べる。こんなにも便利なのに納得いかないのはなぜだろう。ふと、試着している服を見ると不服だった。

【No.-139 ホープフィリア】
通勤電車の中に振袖姿の若者を見かけて成人式だと気付く。ふいに二つの着信音が鳴り響いた。急いで降りた青年が往く道と、気にせず話し続ける老婆の来た道が、願わくば一緒ではないことを願う。自分の意思で乗ったはずの電車が上りなのか、下りなのか。わからなくなったのはいつからだろう。

【No.-140 雲形定規】
僕が小学生のころ、雲型定規で曲線を描くと雲を生み出すことができた。悲しいときには雨雲が、友達に優しくできなかったときには雷雲が空に浮かぶ。大人になってから定規はどこかに失くしてしまったけど、不安を抱えても不思議な経験を思い出せば、僕の心には雲ひとつない青空が広がった。

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652