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140字小説 No.651‐655

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【No.651 概念消しゴム】
例えば、その消しゴムで『虫』の文字を消すと世界中から虫がいなくなる。これは概念を消す文具なのだ。不眠不休で嫌いなものを消していく。消す。消す。消した。次の日、ぼーっとしていたのか、テスト用紙の間違った場所に名前を書いてしまう。終了時間まであと少しだ。消しゴムで名前を――

【No.652 良いニュースと悪いニュース】
「良いニュースと悪いニュースがある」「ほう」「良いのと悪いの、どちらのニュースから聞きたい?」「じゃあ悪いニュースから」「悪いニュースは良いニュースがないということだ」「じゃあ良いニュースは?」「良いニュースは悪いニュースがそれだけだということだ」「なに言ってんだこいつ」

【No.653 猿の惑星】
「猿でもわかる◯◯シリーズ」が数多く刊行された影響で、今となっては人間よりも本を読んだ猿の方が、圧倒的な知能と文明力を有することになった。プログラミング、サバイバル能力、作法や礼儀。どれをとっても猿に負けている。今、書店では「人間でもわかる◯◯シリーズ」が大流行していた

【No.654 秋しとど】
雨の日にしか会えない女の子がいた。ふいに目の前に現れては悲しい顔をする。僕の声は届かないし彼女の声も聞こえなかった。歩道橋の下で彼女の姿を見かける。花束と手紙を添えて涙を流していた。ふと、手紙の文章が目に入ってしまう。『あなたが亡くなったのは、どしゃ降りの雨の日でしたね』

【No.655 出張カメラマン】
出張カメラマンを家に呼ぶ。わざわざ遠出の準備をしなくてもいいなんて、便利な世の中になったもんだ。キャリーケースだけ持ってカメラの前に立つ。「じゃあ、行ってくるよ」妻と子どもにしばしの別れを告げて、カメラのシャッター音と共に光の中へ包まれる。目が覚めると出張先の旅館にいた

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652