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140字小説 No.461-465

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【No.461 エンドカラー(いろは式「え」)】
映画の終わりにスタッフロールが流れると一気に熱が冷めてしまう。あんなに感情移入した物語も、所詮は誰かの作り物だったのだと。電車を待つ間にビルの明かりを見つめる。ホームの白線も、信号機の青も、結局は誰かに与えられた色と、仕組みと、理で、それが運命だと思い込むしかなかった

【No.462 手紙(いろは式「て」)】
適当なメールで溜まったフォルダを整理する。通信手段が豊富で飽和になった現代で、手紙を書く機会は失われた。ある日、八十円で届いた彼からの手紙が出てくる。臆病者で返せなくなって数年が経つ。通信手段が豊富で飽和になった現代で、八十八円でも手紙が届かない場所に彼は行ってしまった

【No.463 アイデンティティー(いろは式「あ」)】
「あなたにおすすめのお茶があるの」と、喫茶店のマスターから『アイデンティティー』というお茶を勧められる。活発風味、眼鏡風味、富裕風味。飲むと味に合った独自性を得られる。こんなすごいお茶どこで手に入れたのか聞いてみると「簡単よ。人から抽出すればいいだけなんだから」と笑った

【No.464 さざなみr.e(いろは式「さ」)】
サークル名を考えた子が自殺したらしい。マンションからの飛び降りだそうだ。彼女が何に生き辛さを感じて、何に行き詰まっていたのかは分からない。感傷的な気持ちがさざなみのように、満ちては引いてを繰り返す。「有名になりたい」が口癖だった彼女は、有名じゃなくて幽霊になってしまった

【No.465 金華猫(いろは式「き」)】
金色に輝く猫が倒れていた。調べてみると金華猫という種類だそうだ。エサは宝石しか食べないという。貧乏な僕にそんな高価なものは無理なので、代わりにビー玉を差し出す。弱々しく食べ始めると、飲み込んだはずのビー玉が宝石に変わって吐き出される。小さく鳴いたあと、金華猫は光を失った

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652