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140字小説 No.-221‐225

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【No.-221 最後の晩餐】
「くらえ!ケチャップライス!デデンデンデデン」夜は食材達の時間だ。ご主人様が眠っている間、野菜や肉がキッチンを暴れ回る。どうせ食べられるのなら、最後に好き勝手やるつもりらしい。「また散らかして!」と怒られるのは私の役目。耳と尻尾を垂らして、あなた達の責任を取りましょう。

【No.-222 行雲流水】
通勤電車の窓から覗く川がとても綺麗で、毎日「最期はここに飛び込もう」と考えていた。仕事に向かう足が動かなくなった日、初めて川を近くで見ると想像以上に汚らしい。こんなものを美しく思っていたことに苦笑するし、醜いものが誰かを生かすこともあると思えば、少しだけ元気が出てくる。

【No.-223 花を食む】
彩りのない部屋を添える為に、生花を飾るか迷ってしまう。枯れる前に捨てる事ができず、萎れていく様子を眺めながら、どっちつかずに毎日しにゆく花を眺めて生活する日が、いつか、必ず来ることなんて分かっているから。水差しの澱が剥がれた。想像で食む花が、仕様もない私の未来と重なる。

【No.-224 捨て箱】
紙に『拾ってください』と書かれたダンボールが捨てられていた。「さよなら」飼えないお詫びに餌のパルプを与えると雨がぽつぽつ降ってくる。「だーん、ぼー……」切り傷でいっぱいの体を私の頬にすり寄せた。「……さよならって言ったじゃない」まぁでも、晴れるまでは家に入れてあげるか。

【No.-225 リィンカーネーション】
風鈴が咲く時期になると、私は亡き母の言葉を思い出す。「綺麗だけど摘み取ってはいけないよ。元は誰かの命だからね」母は縁側に座りながら、寂しそうに団扇で涼ませてくれた。親になった今、家の庭先で小さな風鈴を娘が揺らす。今年は多くの命が失われた。りりん。と、追悼の音が鳴り響く。

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652