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140字小説 No.861‐865

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【No.861 中二猫】
吾輩は猫である。名前はMurder Night(マーダーナイト)だ。初めて膝の上に乗って人間をキュン死させた夜から、野良猫達にかわいさの化け物。キュートモンスターと呼ばれ恐れられている。マタタビの力を封印した右脚が疼く。きっと誰かが吾輩の噂を「あっ。タマにノミが付いてる!」

【No.862 命脈】
「あなたが無駄に過ごした今日は、昨日死んだ誰かが死ぬほど生きたかった明日なんです」中学校の教師が涙を流しながら話していたのを思い出す。死にたくても死ねなかった人より、生きたくても生きられなかった人が尊重されるのは、きっとあの日、死に損なった私の命が些末だからなのだろう。

【No.863 虚し出す】
友人から怪談話を聞く。「“それ”の姿は肉眼で見ると変わらないのに、鏡に映すと違和感があってさ」床には鏡が置かれている。「目や口は普通なのに、耳と鼻はどこか少しだけおかしいんだよ」友人が“それ”を取り出して鏡の前に置くと、紙に書かれた『耳』と『鼻』の漢字が左右非対称に映った。

【No.864 青春賛夏】
高校生になれば、自動で青春が始まると思っていた。部活も、恋愛も、将来も、大人達が思うような眩しさだけではないし、赤の他人が羨むほど適当に生きているわけでもない。だから、私の手で青春とやらを灯すのだ。「花火、買ったんだけどさ」幼なじみの男の子に話しかける。夏が騒ぎ出した。

【No.865 りんごかじり】
りんごをかじるだけのバイトを始める。高収入だけど求める条件はすごく厳しい。歯並びが綺麗なこと。一口が多くもなく少なくもないこと。最低でも千個以上はかじること。気持ち悪くなりながらも次の作業場に運ぶ。職人がスマホの裏側に押し込むと、食べかけのりんごか小さくプリントされた。

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652