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恋愛140字小説まとめ③

【No.≠036 ハッピーカード】
幸福量が一万ハッピーポイントも貯まった。不幸を受け入れる代わりに同じ分だけ幸せが増える。いつか訪れる大きな幸せのために、小さな、小さな幸せを手放した。このハッピーポイントを使って男の子に告白すると、カードを見ながら悲しそうに呟く。「ごめんね。有効期限が切れてるみたいだ」

【No.≠041 憂憫】
『拝啓、××様。お元気ですか。あれから僕は結婚して子どもが産まれました。君はまだ街にいるでしょうか。あの日のことを、どうか許さないでほしいです。そして、僕以外の人と幸せになってください。』罪悪感を言い訳としている内に、八十円では手紙が届かなくなるほどの月日が過ぎていった

【No.≠042 恋の等式】
問①【私と彼の適切な関係と距離を求めよ。但し、最適解はあるものとする】『愛、良い子でいる虚しい事情』なんて、どっかの理論物理学者も唱えていた。彼は授業中によそ見する私のような悪い子は嫌いだろうか。ふと、彼も私の方を何度も振り向く。今はまだ、悪い子仲間でもいいかと笑った

【No.≠050 澪つくし】
その水族館では、人魚が水槽の中を泳いでいます。「私も昔は人間だったのよ。失恋しても声を出して泣かないように、好きな人の所へ駆け出さないように、私は人魚になろうと思ったの」そう言って人魚は今日も水槽の中で歌います。朝も、夜も。明日も。百年後も。一人でずっと、一人でそっと

【No.-065 青濁を併せる】
歩道橋の上から高校生の男女を眺める。距離的に付き合っているのだろうか。二人とも携帯画面に夢中となっている。目の前の青春より大事なものってなんだろう。煙草を吸って、深く息を吐いた。私にもあったはずの思春期が灰色に濁っていく。色んなことを見て見ぬ振りしてきた報いだった

【No.≠051 花まじない】
別れた彼女にクロッカスの種を贈ったことを思い出す。「紫色の花が咲いたら結婚しよう」遠い昔の約束だ。花言葉を調べてみると『あなたを愛したことを後悔する』という意味があった。なんとも皮肉めいているなと苦笑いする。あのクロッカスが、今でも、種のまま芽吹いていないことを願った

【No.≠052 忘れ声】
亡くなった人に繋がる電話番号があった。数回、コール音が鳴り響く。「もしもし」誰の声だろう。なんとなく懐かしさを感じた。「久しぶり」「……あ」心臓が跳ねる。私が好きだった男の子だ。そっか。君、死んじゃったんだね。話したいことは沢山あるはずなのに、言葉の代わりに涙が溢れた

【No.≠064 光を映す】
壁に太陽の光が反射していた。右手を添えると、ほのかな暖かさが広がる。見えないけれど、光は確かにあったのだ。「散歩でもしようか」彼に惹かれて、彼の左手に引かれて、私は立ち上がる。もうすぐ、私達はこの町から去っていく。錆びて軋んだ扉を彼の右手が開けて、私の左手が鍵を閉めた。

【No.≠065 彩花】
妻は三年前から目を覚ましていない。いわゆる植物状態というやつだ。娘にはママは枯れ木になったと話している。それから、娘は「かれきにはなをーさかせましょー」と病室で繰り返す。「かれきにはなをーさかせましょー」娘の声と僕の涙が、再び妻に花を咲かせる力になることを願い、祈った。

【No.756 青春の味】
高校生になって初めて彼女ができた。不器用なのにお弁当を作ってくれて嬉しくなる。彼女が「せっかくの手作りなのに茶色ばっかりでごめんね」と目を伏せる。そんなことない。絆創膏から滲む赤色と、薄桃に染まった頬。長い黒髪が揺れる。彩り豊かな、青春にも似たやさしい味が心に広がった

【No.≠074 タルトタタン】
待たされるのが嫌いなのか、彼女の食べる早さには驚かされる。でも、デートのときは僕が待つことが多い。「食べ終わったら帰るよ」「うん」いつも先に食べ終わる彼女は僕の顔を確認しながら、甘くて少しほろ苦いタルトタタンを、小さく、小さく分けて、数秒、数分と時間をかけて食べていた。

【No.≠077 歳下の先輩】
数年ぶりに彼の部屋へと踏み入る。高校時代の先輩だった。針を失った時計。棚から崩れた文庫本。綿の出た猫のぬいぐるみ。交わし合った手紙。全てがあの日のまま止まっていた。割れたフォトフレームを元に戻す。写真の中の私達が私を見ている。いつのまにか、彼よりも歳上になってしまった。

【No.≠078 幽明かり】
あなたの少し後ろ側を歩く。背中へと伸ばした手は、月に見られている気がして引っ込めてしまう。たまに振り返って、私がいることに安心するあなたの表情が嫌いだった。欠けたのは月なのか、思い出なのかわからずに。もう子どもじゃないのよなんて思いながら、私は夜道で泣きじゃくっていた。

【No.≠084 桜雨】
数年前、僕と彼女は一本の傘に二人で収まりながら桜を眺めていた。なんとなく別れの予感はあったのかもしれない。言葉は交わさず、散りゆく桜の軌道を目で追いかけていた。あの日と同じく小雨が降る夜、適当に傘を取り出して開くと、桜の花びらが落ちる。一本の傘の中に、一人で立っていた。

【No.-070 恋と稲妻】
彼女の涙には電撃が宿っている。だから、人を傷付けないように彼女はひとりぼっちだった。ある夜、大停電に見舞われた街は混乱に陥る。展望台に立つ彼女が何回も、何度も、何粒も涙を流せば、街は色が溢れるように明かりを灯す。泣きじゃくったあと、彼女がはにかむ。僕の心に稲妻が走った。

【No.≠087 エウロパ】
「どこかの国では、前世で結ばれなかった恋人同士が『来世は一緒になりましょう』という願いを込めて、双子で生まれてくるんだって。だから、擬似的な結婚式を挙げるんだってさ」駅のホームで双子の妹が泣いていた。いつか、僕達もその国へ行くことができるのだろうか。始発のベルが鳴った。

【No.≠089 繋がる、隔てる。】
私の住む街に同級生の女の子が遊びにきた。「まだ公衆電話があるよ」緑の受話器から私の携帯に電話をかける。「私の声は届いていますか?」彼女がおどけながら笑う。「私の思いは届いていますか?」なんて、透明な箱を隔てて言葉が消えていく。私もおどけながら、打ち明けてしまいたかった。

【No.769 斜めの恋】
斜め右前に座っている女の子のことが好きだけど、斜め右前の女の子は斜め右後ろの男の子が好きだ。斜め右後ろの男の子は斜め左後ろの女の子のことが好きだけど、斜め左後ろの女の子は斜め左前の僕のことが好きらしい。真ん中の男の子は蚊帳の外で、つまらなさそうに呟く。「ダイヤ関係かよ」

【No.≠091 献花】
祝福の種が売られていた。花を咲かせば夢は叶うけれど、枯らしたら夢は呪いになるそうだ。種の恩恵なのか、私は好きな人と付き合えることになった。けれど、枯らしたら別れてしまう。いや、それ以上の不幸が待っているかと思うと花にだけ神経を注ぐ。いつしか、彼に対する興味は失っていた。

【No.≠092 薊揺れる】
公園を歩いていると、窪んだ水皿の中に笹舟が置かれていた。そういえば、別れた彼女は船を編むのが得意だった。蛇口から水を出して笹舟を浮かす。あの日の記憶も、彼女との思い出も、どこにも流せないままぷかぷかと揺らぐ。夕陽が滲む。いつまでも辿り着けない、小さな『こうかい』だった。

【No.771 ごめんね】
「ごめんね」が彼女の口癖だった。石鹸を買い忘れたときも、角砂糖の数を間違えたときも、花を枯らしてしまったときも。おずおずと誤魔化すように笑う仕草が嫌いだった。ごめんね。ごめんね。ごめんね。ある日、彼女から別れ話を切り出される。「ごめんね」と、真剣な顔で僕を見つめていた。

【No.772 拠所】
読んだ絵本の名前は忘れてしまったけど、布団に丸まって私と兄は絵本を眺めていた。大人になった今でも、私達は布団の中で絵本を読み合っている。一つの幸せを得る代わりに、非常に多くの当たり前を失ってきた。『けれどもほんとうのさいわいは一体なんだろう』幼いころに読んだ本の文章だ。

【No.773 讃美歌】
酸欠のように歌う彼女が好きだった。普段は高らかな声だけど、カラオケの採点機能を使うときだけは口を小さめに開く。音程が歯並びみたいに思えて、どうしても気にしてしまうらしい。愛おしくて見つめていると、不機嫌になった彼女が腕を噛む。優しい痛みと共に、歪んだ愛が跡になっていた。

【No.-076 もちもち】
雪見だいふくを食べるときは彼女なりのルールがあった。最初に皮を食べ切ってからアイスだけを口に含む。もっちりした感覚を先に楽しめば、しっとりした食感がより際立つと言う。おかしなルールだなと思いつつ、彼女の白くてふっくらとしたほっぺをつつく。愛情を示す僕なりのルールだった。

【No.-077 声の形】
いつも無口なあの子は、お昼の校内放送が好きだった。放送委員に立候補したときはみんな驚いたけど、今では誰もが楽しみにいている時間だ。かろやかな声は聞く人の心を弾ませる。話すのが苦手なだけで伝えたいことがいっぱいあるのだ。人見知りな僕も、いつか、本当の声であの子と話せたら。

【No.≠102 君利き】
『本日は左利きの日です。全ての道具は左利き用になります』ハサミ。改札口。定規。蛍光ペン。慣れない感覚に多くの人が戸惑った。「反対になると大変だね」右利きの彼が、おたまでスープを掬いながら笑う。少しは左利きの苦労もわかったか。いつもより温かいスープを飲みながら私も笑った。

【No.-082 影繋ぎ】
遊歩道に伸びる影を見ると、彼女と付き合っていた夏をいつも思い出す。人前で手を繋ぐのがもどかしかった僕達は、夕陽で生まれた手のひらの影を重ねて、間接的に手を繋いでいた。今にして思うとそっちの方が恥ずかしい気もする。夜になれば、否が応でも離ればなれになってしまう関係だった。

【No.-086 瞳の標本(藍煩い③)】
標本作りが得意な彼と夕凪公園に赴く。夜には天体観測で賑わう森林で、彼は愛おしそうに藍色の蝶を眺めていた。午後四時、ひぐらしが鳴く。亡くなったあとにも意味が残るなら、それは素敵なことなのかもしれない。どうか、私が死んだら体も、藍色の瞳も、全部全部。君の標本にしてください。

【No.-089 味の記憶(藍煩い⑥)】
彼女と一緒にカレーを食べる。「私、二日目の方がもっと好き」ふと、僕に次の日が訪れないことに気付いて、彼女が口を噤む。「明日の夜も食べようね」慰めではない。僕特製のレシピは彼女が覚えているから、味の記憶は残り続ける。午後七時、最期の晩餐だ。「いただきます」「いただきます」

【No.-096 月に染まる(藍煩い⑬)】
藍煩いになると瞳が藍色に変わる理由は、月の光が蓄積したものと考えられている。だから僕は発症したのかもしれない。月のように繊細な、彼女の姿をずっと見ていたから。午前二時、夕凪公園で天体観測を始める。いつか僕も星になれるのだろうか。そのときは、彼女に見つけてほしいと願った。

【No.-104 ラピズラズリの瞳(藍煩い㉑)】
美容室で髪を梳いてもらう。鏡に映った藍色の瞳から視線を逸らすと、美容師のお兄さんがほほえむ。髪には記憶が宿るという。だから失恋したときには髪を切るイメージができたそうだ。お兄さんの左手の薬指につけられた指輪が目に入る。午前十時、ラピスラズリのように私も愛してほしかった。

【No.-109 哀瀬】
「『恵まれた人生じゃなくてもいい』と思える人はさ、そもそも最初から恵まれた人生を送ってるんだよ」一夜限りの関係を持った、見ず知らずの女はタバコの煙と愚痴を吐く。好きの反対は無関心という道理も、『辛い』に線を一本足せば『幸せ』になるという理屈も、君の嫌いな言葉遊びだった。

【No.776 黎明期(通算1000作目)】
麗筆な字で綴られた手紙が、海辺のサナトリウムに流れ着く。彼女が病に伏せてから、物語の詰まったメッセージボトルが漂流してきたのだ。不思議で、繊細で、感傷的な物語を読み続けていれば、いつか目を覚ますと信じて。今、千個目の物語を拾い上げる。彼女が呼ぶ声を聞いた気がした。

【No.777 R.I.P.】
心臓の形がそれぞれ違うのは、人は思いから先に生まれるからだ。ハート型、星型、動物の姿も存在した。胸を撫でる。亡くなった彼女から移植された、四つ葉のクローバーの形をした心臓がズクズクと脈を打つ。その度に記憶が血と一緒に駆け巡る。まだ生きている幸運を、彼女の代わりに祈った。

【No.≠109 燻る】
彼の口から吐かれるタバコの煙を吸うのが好きだ。苦くて臭い。けれど、同じ空気を吸っているという事実だけが、私達を生かしているのだと錯覚できる。浅く、深く、害のある副流煙を吸いながらベランダに佇む。静かに、緩やかに、やがて私達は病葉のように、色褪せては輝きを失っていくのだ。

【No.≠110 息を抜く】
彼女が僕に「だす!」と言ってきた。意味を聞いても「息抜き」とだけ答える。それだけで息抜きになるのかなと思いつつ、彼女が笑っているならそれでもいいかと一緒に笑う。「だす!」「だす!」ふと、その意味に気付いて顔が真っ赤になる。彼女が小さく「だす」と呟く。なるほど、息抜きだ。

【No.≠113 音信不通】
「もしもし。こっちは思ったよりも良い場所だよ。懐かしい人達にも会えたし、美しい景色ばかりだしさ。だから、あなたは何十年後かにおいで」『お掛けになった電話番号は使われていないか、電波の届かない場所にあります。お掛けになった──』あぁ、そっか。天国って電波が届かないんだね。

【No.≠114 別れの逃避】
彼に対する愛想も尽きていた。あの人から避けるように朝帰りしたとき、商店街のシャッターが少しずつ開いていった。お店から淡い光が漏れ出す。どうしてか、中を見てはいけない気がして慌てて視線を逸らした。それは彼から、あるいは自身から逃げた私の、後悔や罪悪感だったのかもしれない。

【No.≠117 群青散花】
数年前、彼女が花の髪留めを羨ましそうに眺めていた。黒くて、とても長い髪が揺れていたのを思い出す。こっそりと買っては、そのまま渡す機会はなかった。彼女のお見舞いに訪れる度に、使う必要のない花の髪留めがバッグの底で息を潜める。薬の副作用で抜けてしまった、彼女の髪を見つめた。

【No.≠123 僕の手料理】
彼女が僕の手料理を食べている姿が好きだ。君の体の一部になれた気がして満足する。料理は苦手だけど、彼女からお願いされる度に僕は手を焼き、包丁で指を切る。幸せそうな顔を見てると、どんなにストレスを感じていても僕の体は軽くなる。あと何回、君に手料理を作ってあげられるだろうか。

【No.≠124 三分間の幸福】
カップ焼きそばにお湯を注いでからの三分間を、彼と話をしながら待つ。「あ、かやくじゃなくてソース入れちゃった」なんて笑って。昔から湯切りが苦手な私の代わりに、いつも彼がお湯を捨ててくれる。一つのカップ焼きそばを二人で分け合う。具も味もないのに、なんだかとてもおいしかった。

【No.≠125 夕華鏡】
手作りの万華鏡を覗き込む。「見て。この角度がすごく綺麗なの」彼女は万華鏡を回さずに、一つの光景ばかりを楽しむ。目の前では夕日が街を覆い隠そうとしている。すぐ近くに綺麗な光があるのに、絶え間ない永遠の一瞬しか見えていない。彼女は作り物の美しさを、ただ、筒に閉じ込めていた。

【No.≠126 月虹】
「月が綺麗だよ」と彼からメールが届いて、カーテンを少しだけ開く。『違う場所で同じ月を見ている』と言うけれど、私にはそう思えないのだ。私が見ている月は偽物かもしれない。なんて言ったら、彼は笑うだろうか。本物じゃなくてもよかった。偽物でも、彼と同じ光を見ていられたのならば。

【No.-111 三分間の幻】
カップ焼きそばにお湯を注いでからの三分間、湯気に亡くなった彼女の姿が見えた。懐かしい記憶が蘇ってくる。視界が曇ったのは煙のせいなのか、もう実在しない人に縋ったからなのか。彼女との思い出を僕自身の手で排水溝に流す。二人で分け合ったカップ焼きそばを、今では一人で食べるのだ。

【No.-112 月の瞳】
彼女の瞳には月が宿っている。大きくて、静かな光が揺らめいていた。実はこの世界に月なんて存在しない。彼女が空を眺めている間だけ、瞳の月が空に映し出される。目を逸らしているときは僕が偽物の光が用意していた。共犯者めいたように彼女が目を細める。満月だった瞳が三日月に変わった。

【No.-113 泥塗れ】
仕事もせずに絵描きを目指している彼に「贅沢は言わないから、慎ましく生きていたい」と皮肉を込めた。彼はキャンバスから目を離さずに「慎ましく生きる事が贅沢だと思わない時点で、実に贅沢だと思うよ」と吐き捨てる。どろどろに腐敗した絵の具が、私達の行く先を暗示しているようだった。

【No.-114 真っ赤な箱】
僕が心の中で願えば、着払いで何でも届く。お店で売られているものから、失くした写真や誰かの日記すらも。本当に、どんなものでも。隣の部屋から憧れのお姉さんの声が聞こえてきた。彼氏が憎い。あいつさえいなければ。そのとき、外でゴトンと音がした。扉を開けると真っ赤に染まった箱が。

【No.783 夢言葉】
「お」寝坊した私に彼は笑顔を向けた。「んー」ゆっくりとソファに座る。「お!」「ん?」彼がピザのチラシを指さす。「ん」「おー」適当に選んで猫と戯れる。言葉に嫌われた人類は一文字しか話すことができない。だからこそ、ふれあいが大切な世の中だ。「お?」彼の肩にもたれる。「ん!」

【No.≠137 夏の残り音】
裏通りにある風鈴屋を二人で覗く。夏の残り音を背に、店主から「彼女かい?」と訊ねられる。照れながら肯定すると、なぜか彼女が不機嫌になった。「なんで『はい』なんて言ったの?」大きなお腹を優しくさする。あぁ、そうか。「もう彼女じゃないでしょ」意味に気付いて、小さく笑った。

【No.-120 性善行路】
「失恋の度に小説を書いてるんですか?」文学の即売会で指摘される。言い分は確かで、性的倒錯なのかもしれない。だけど、そういった理屈で書くのは今日で最後だ。自分のブースで売り子をしている彼女と目が合う。カバンの底に忍ばせた婚姻届を気にする。新刊が全て売れたら、そのときは──

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652