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140字小説 No.756‐760

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【No.756 青春の味】
高校生になって初めて彼女ができた。不器用なのにお弁当を作ってくれて嬉しくなる。彼女が「せっかくの手作りなのに茶色ばっかりでごめんね」と目を伏せる。そんなことない。絆創膏から滲む赤色と、薄桃に染まった頬。長い黒髪が揺れる。彩り豊かな、青春にも似たやさしい味が心に広がった

【No.757 やみつき居酒屋】
やみつきキャベツを頼むと、女性店員さんが僕を睨みながら「こんな葉っぱに塩だれをかけただけのおつまみで幸せになっちゃって」と鼻で笑う。変に思い指で隠れたメニューの文字を確認したら『いやみつきキャベツ』と書かれている。不思議と嫌な気持ちにはならず、僕はやみつきになっていた

【No.758 蘇生】
「大人になりたい」が口癖だった近所に住む女子高生は、今頃どうしているのだろう。私は昔、彼女からいつ大人になるのかを聞かれたことがある。そのときは「『願ったふり』と『叶ったふり』が得意になったら」と答えたっけ。大人になんかならなくていいよ。と、今なら言ってあげられたのに。

【No.759 目標の目標】
職場では貴重な休憩時間を使って、月の目標を決める会議が行われる。なかなか良い案が浮かばず、ひとまず『五月の目標を考えるのが四月の目標』になった。五月には六月の目標を、六月には七月の目標を考えるのが目標になり、来月の目標を。来月の目標を。気付けば無意味な時間となっていた。

【No.760 友達契約】
友達の月額解除を忘れてしまった。どんなに憎くても、どんなに嫌いでも、友達更新をした月は友達をやめることができない。お金で友達を買えるようになった今はとても便利だ。一緒に遊んだり、飲み会をしたり、相手に困ることはない。少しでも嫌いになったら解約してしまえばいいだけである。

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652