見出し画像

彼氏140字小説まとめ①

【No.007 夕陽】
夕陽で滲む街を歩いていると、一年前の事を否が応でも思い出してしまう。あの日、彼は交通事故にあって死んでしまった。陽の光で視界を奪われた運転手の車が、歩いている彼の姿を捉えられず衝突した。光が人を救う事があるのと等しく、光が人を殺してしまう事だって、充分にあるのだ

【No.013 夜行観覧車】
夜に浮かぶ観覧車が綺麗で、私は思わず足を止めた。網目状に広がる鉄格子がまるで蜘蛛の巣のように思え、私はこの美しい光景に絡め取られた蝶にも似ていた。そういえば彼の好きだった曲に、観覧車をイメージしたものがある。今にして思えば、あれは失恋の曲だったのかもしれない

【No.018 私の名前】
二人で話をしているとき、彼が私の名前を呼ぼうとして、少し気まずそうに苗字で呼び直す。そういう関係じゃないよな。って、間違ったみたいな顔をして笑わないでよ。合っているから。私の名前をちゃんと呼んでよ。透明じゃない私にして。あなたの声で、私の名前を、ちゃんと呼んでよ

【No.031 タイムレコード】
留守番電話に録音されていた彼の声を聞く。か細くて、少し震えているあなたの声。もう携帯でしか聞けなかった。繰り返し、繰り返し聞いて。あなたの声、忘れてしまった。『「もしもし。今日は君に大切な話があるんだ。僕さ、本当は君のこと」一件の、メッセージを、終了、します』

【No.034 春咲センチメンタル】
染井吉野がライトに照らされて、光を纏っていた。根元の砂を掘り、彼から貰った結婚指輪を埋める。「狂ったように咲いてるけど いずれは散りゆく運命です」と、誰かの曲にあった気がする。桜の花びらが地面を彩って、さざ波のように揺らいだ。さよなら、私の、大切になれなかった人

【No.035 れきしてき愛】
今日で彼氏とお別れになる。遠い場所へいこうと決意した彼氏を見送りに、駅のホームまで付き添う。 警報が鳴る。遮断機が沈む。赤色灯が夜を淡く浮かび上がらせた。電車と共にお別れが近付く。「じゃあね」「うん」「さよなら」。不安そうな彼氏の背中を、私の左手でそっと押した

【No.042 アインシュタインの恋】
問.私と彼の適切な関係と距離を求めよ。但し、最適解はあるものとする。『愛、良い子でいる虚しい事情』なんて、理論物理学者も唱えていた。彼は授業中に関係のないことを考えてしまう、私のような悪い子は嫌いだろうか。私の方を彼が何度も振り向く。なんだ。彼も悪い子じゃないか

【No.056 遺灰の苦みで覚えてる】
突っ込んできたトラックに轢かれて、彼氏はバラバラになりながら亡くなった。らしい。ショックで私は記憶喪失になったのだ。彼氏の母親からもらった遺灰を瓶に詰めて、ペンダントにする。遺灰を取り出して微量ほど舐める。なぜかそのときだけ、彼氏との記憶を思い出すことができた

【No.063 雨降り】
「雨だ」と彼は言って、傘を私に差す。「いいよ。私まで変な目で見られちゃう」「でも、雨が降っているから」と。そうは言うが雨は降っていなかった。「雨なんか降ってないよ」と、私は彼に何度言っただろうか。雨なんか降ってないよ。雨なんか降ってないよ。雨なんか降っていないのに

【No.077 年下の彼氏】
あの日のまま、荷物が散乱した部屋に入る。何年ぶりだろうか。棚から崩れた本達。猫のぬいぐるみ。もらった手紙や便箋。割れてしまった写真立てを元に戻す。写真には歳上の彼氏の誕生日を祝う私達の姿が映っていた。あぁ、そうか私。いつの間にか、あなたより歳上になっちゃったんだ

【No.091 祝福の種】
祝福の種なるものが売られていた。この種を植えると願いが叶うが、その代わり、花が咲く前に枯らすと不幸になるそうだ。この種の恩恵なのか、私は意中の人と付き合えることになった。枯れたら別れてしまうと不安になり、花にだけ神経を注ぐ。いつしか、彼に対しての興味は失っていた

【No.102 左利きの日】
「本日は左利きの日です。日付が変わるまで、全ての道具や機械は左利き用になります」とアナウンスが流れる。ハサミ。改札口。受話器。蛍光ペン。大勢の人々が戸惑う。「いつもと逆だと大変だね」と、右側にいる彼氏が困った顔で笑う。少しは左利きの苦労もわかったかと、私も笑った

【No.109 病葉】
彼の口から吐かれる、煙草の煙を吸うのが好きだ。苦くて臭い。けれど、同じ空気を吸っている。その事実が私達の関係を強く結ばせているのだと錯覚できる。ゆっくり、ゆっくり、害のある副流煙を吸いながら。ゆっくり、ゆっくり、私達は病葉のように、色褪せては輝きを失っていくのだ

【No.114 夜明けの逃避】
彼に対する愛想も尽きていた。言葉にならない感情が粘り気を引く。彼の家から朝帰りするとき、商店街にあるアクアショップのシャッターが開いていった。店の中から淡い光が漏れ出す。なぜか中身はとても見てはいけない気がして、それは、彼から逃げた私の後ろめたさなのかもしれない

【No.124 三分間の幸せ】
カップ焼きそばにお湯を注いでからの三分間を、お気に入りの文庫本を読みながら待つ。昔から湯切りが下手な私の代わりに、彼がお湯を流してくれる。「あ」「なに?」「かやく入れるの忘れた」「いいよ。僕は野菜が嫌いだから」なんて笑って。一つのカップ焼きそばを二人で分け合った

【No.126 違う光で見てた】
彼から「月が綺麗だよ」とメッセージが届いて、部屋の窓から月を眺める。世間ではよく「違う場所で同じ月を見ている」と言うけれど、私にはどうしてもそう思えないのだ。私が見ている月は、もしかしたら、人とは違う光で見えているのかもしれない。なんて言ったら、彼は笑うだろうか

【No.130 嫌いな君から】
知り合いを六人介せば、世界中のどんな人にでも行き着く。という話を聞いたことがある。なので、私の好きな人に会うための道筋を考えてみた。嫌いな人でも何人か経由すれば、好きな人に辿り着けるのだろうか。なんて、そんなことを秋の夜長に考えてみては、名前も知らない彼を思った

【No.156 夜だけの国(百景 6番)】
彼が眠りについてから何十年と経ちました。時間まで眠ってしまったのか、青年の姿から歳を取ることはありませんでした。今日も私は一人で眠りにまどろみます。夢の中の彼は私と同じ老人の姿をしていて、「だいぶ遅れた青春だ」とデートをしていました。夢だとは承知です。夢だとは、

【No.163 水槽都市(百景 13番)】
人里から離れた山の中に、その集落はひっそりと佇んでいた。ダムを建設するために水の底へと沈んだ集落を、水面のレンズ越しに眺める。「この村と一緒に生きていくんだ」と言って命を捧げた彼の悲痛な声が、放流の中から聞こえた気がした。私の叶わない恋心も、水の底に沈んだのだ

【No.191 恋すてふ(百景 41番)】
私が彼のことを好きだという噂が立っているらしい。彼とは単なる幼なじみだ。なのに、そんな噂が立つものだからどうしても意識してしまう。彼の顔をじっと眺める。私は彼の顔も、歩き方も、性格も、食べ方も、趣味も、生き方も、寝相も、話し方も、夢も、全部嫌いだ。……嫌いだったのになぁ

【No.203 光、再考②(百景 53番)】
歓楽街でバイトを始めてからは、同棲している彼と会う時間が少なくなった。朝、帰宅してきた彼と入れ替わりでバイトへ向かう。知らない誰かとお酒を飲んで。知らない誰かに笑顔を見せて。知らない誰かに抱かれて。「未来は明るいよ」という彼の言葉を思い出す。今、私は日陰の中にいるだけだ

【No.209 月の帳(百景 59番)】
今夜は流蝶群のようだ。月からそっと光の残滓がこぼれて、やがて一匹の蝶へと変容する。いくつもの蝶が流れ星のように、群れを成す光景はとても鮮やかだった。ベランダで流蝶群を待っていると、彼から「行けたら行く」とメールが届く。その言葉を信じて、私は沈んでいく月を一人で眺めていた

【No.230 揺れる(百景 80番)】
大雨に降られて髪をぐちゃぐちゃにしたまま帰ると、美容師である彼が髪を整えてくれた。ふと「私の髪が綺麗じゃなくなったら別れる?」なんて聞くと彼は俯く。心が乱れた。彼の気持ちがこのまま変わらないのは難しいだろう。彼は返事の代わりに、病気で抜け落ちつつある私の髪を優しく撫でた

【No.240 リペイント(百景 90番)】
鏡を見ると瞳が青色に染まっていた。どうやら感情によって瞳の色が変わるらしい。悲しいときは青色。悔しいときは緑色。嬉しいときは黄色。ある日、彼の浮気を知って泣き腫らしていると、瞳から赤い涙が溢れてきた。悲しいとも、悔しいとも、怒りとも違うこの感情は、一体なんだと言うのか

【No.289 溶けない】
今日は高校最後のバレンタインデーだ。彼のために手作りチョコを用意して学校に行く。3年間打ち明けられなかった想いを伝えたくてドキドキした。授業が終わってから彼の元へと向かう。震えながら「ずっとずっと大好きでした」と呟いて、チョコレートを供える。お墓の前で、私は手を合わせた

【No.364 ジュゴンの泳ぐ庭】
庭ではジュゴンが泳いでいた。尾ビレが揺らめき、お腹を数回ほど叩く。私はジュゴンのお腹を枕にして眠ると、体中を安心感が包む。彼に吐き出してしまった苦い感情も、私の救いようもない弱さも、今なら全て許される気がした。やり直すんだ。全てを失ったここから。この、ジュゴンの泳ぐ庭で

【No.372 花占い】
自然が好きな彼に振り向いてもらえるように、花占いで考える。好き、嫌い、好き、嫌い。花びらを摘んでいると「相手の嫌がることはやめましょう」と結果が出た。喜んでもらうために花かんむりを作ってプレゼントする。四つ葉のクローバーを探して三つ葉の上を歩く。きっと、大丈夫なはず

【No.454 お蔵入り(いろは式「お」)】
「おいしそう」と私がオクラ入りうどんを頼むと、芸人である彼が怒り出す。『お蔵入り』を連想させるからだそうだ。他にも『尾も白くない』と真っ黒な犬を嫌ったりする。「俺はいずれ能のある芸能人になるんだ」と息巻くけど、私から見れば小さい縁起を気にするような芸NO人でしかなかった

【No.477 未練の硬さ】
彼と別れる日、なんてことのない顔をして朝食を作る。猫が鳴く。窓の水滴が流れる。彼が起きた。パスタの湯気が私達の行く末を曇らせていく。どっちのせいとか、なんのためとか、特に理由はなかったけど、茹でる時間の方向性で喧嘩したのは覚えている。アルデンテのような硬さの未練だった

【No.542 騒がしい彗星】
彗星ペンで夜空に文字を書く。誰かの愚痴も、明後日の献立も、彼への恥ずかしい告白も、言葉が彗星となっては輝き出した。いくつもの気持ちが街中に降り注ぐ。いつかは消えるから書ける願いだ。どうでもいいこと、なんでもないこと。それでも大事な思いが、尾を引いていた彗星を雨で溶かした

【No.692 書く恋慕】
ラブレターという響きが苦手だった。なんとなく軽い気がして心がもやもやしてしまう。そんなことを思いながら今日も片思いの男の子に手紙を書く。本当は好きなのに、恋心をこっそりと隠しながら文章にする。私からは告白なんてできないけど、いつか、私の気持ちを彼に知ってもらえたのならば

【No.723 人生の希釈量】
「カルピスの原液を水で薄めるより、水をカルピスの原液で濃くしていった方が失敗しないよな」と彼が笑う。つまらない理屈を延々と聞かされた挙げ句「濃い話ができた」と満足する彼を見て、人生の希釈量を間違ってしまったことに気付く。私達の関係が、感情が薄まっていくのを感じていった

【No.744 彼の手料理】
彼が夕飯を振る舞ってくれると言うので席につく。料理は苦手なはずなのに、出されたロールキャベツは黄金に輝いていて肉汁が澄み渡る。だけど、一口食べても味が全然しなかった。そっか。彼のおいしくない料理を食べたくないから、味覚スイッチを切って視覚力を強くしたんだった。ごめんね

【No.≠007 光】
夕陽に沈む街を歩いていると、一年前のことをふいに思い出してしまう。あの日、彼は交通事故にあって亡くなってしまった。太陽の光に視界を奪われた運転手の車が、歩いていた彼の姿を捉えられずに衝突した。光が人を救うことがあるように、光が誰かを殺してしまうことだって充分にあるのだ

【No.≠013 リプレイ】
夜の海に浮かぶ観覧車に私は思わず足を止めた。網目状に広がる骨組がまるで蜘蛛の巣のように思えて、さながら私はこの美しい光景に絡め取られた蝶にも似ていた。そういえば、別れた彼が好きだった歌に観覧車をイメージしたものがある。今にして思うと、あれは失恋の歌だったのかもしれない

【No.≠018 存在証明】
彼が私の名前を呼ぼうとして、少し気まずそうに苗字で呼び直す。「そんな関係じゃないよな」と、間違ったみたいな顔をして笑う仕草が嫌いだった。私の名前をちゃんと呼んでよ。透明じゃない色にして。あなたの声で、私の存在を呼んでほしかったのに。この関係の名前は未だにわからなかった

【No.≠031 ボイジャーレコード】
録音された彼の声を再生した。繰り返し、繰り返し聞いて、だいぶ古い機種だから声が劣化している。けれどもう、この声しか届かない。あの日、私が怒って家を飛び出さなければ。『「もしもし。今日は君に大切な話があるんだ。僕さ、本当は君のこと――」一件の、メッセージを、終了、します』

【No.≠033 不恋ゴミ】
彼への恋心を不燃ゴミの袋に入れて捨てた。これで綺麗さっぱり忘れることができるだろう。だけど袋は回収されなかった。次の日、粗大ゴミに捨てる。袋はまた置かれていた。私の恋心なんて楽に燃やせるし、そんなちっぽけなものだったのか。けれど、だからこそ捨てずに大事にしようと思えた

【No.≠034 桜波】
染井吉野が照らされて光を纏う。桜の花びらが地面を彩って、風が吹くとさざ波のように揺らいだ。土の中に彼から貰った結婚指輪と思い出を埋める。『狂ったように咲いてるけど いずれは散りゆく運命です』とは誰の曲だったか。桜の花びらが頬を撫でた。さよなら。私の、大切になれなかった人

【No.≠035 あいのれきし】
今日で彼とはお別れだ。旅立つ彼を見送りに駅のホームまで付き添う。 警報が鳴る。遮断機が沈む。赤色灯が夜を浮かび上がらせる。電車と共に終わりが迫った。寂しいけど、彼が決めたことなら受け入れよう。すぐに私もいくからね。「さよなら」「さよなら」彼の背中を、私の手でそっと押した

【No.≠042 恋の等式】
問①【私と彼の適切な関係と距離を求めよ。但し、最適解はあるものとする】『愛、良い子でいる虚しい事情』なんて、どっかの理論物理学者も唱えていた。彼は授業中によそ見する私のような悪い子は嫌いだろうか。ふと、彼も私の方を何度も振り向く。今はまだ、悪い子仲間でもいいかと笑った

【No.≠063 命しとど】
「雨だ」彼が私を覆い隠すように傘を差し出す。けれど、空には雲一つない穏やかな日だった。「雨なんか降ってないよ」私は彼に何度言っただろうか。いつから、彼の命や生活に雨が降るようになってしまったのだろう。雨なんか降ってないよ。雨なんか降ってないよ。雨なんか降っていないのに

【No.≠064 光を映す】
壁に太陽の光が反射していた。右手を添えると、ほのかな暖かさが広がる。見えないけれど、光は確かにあったのだ。「散歩でもしようか」彼に惹かれて、彼の左手に引かれて、私は立ち上がる。もうすぐ、私達はこの町から去っていく。錆びて軋んだ扉を彼の右手が開けて、私の左手が鍵を閉めた。

【No.≠075 原罪地】
夫の転勤を機に、遠い昔、私が住んでいた街へと向かう。大切ではなくなってしまった彼と同棲していた街だ。見知った景色と、見知らぬ建物が混ざり合っていく。現在から過去へ、過去から現在へタイムスリップした気分になる。『電車は記憶行きです』なんて、そんな歌詞の曲もあった気がした。

【No.≠077 歳下の先輩】
数年ぶりに彼の部屋へと踏み入る。高校時代の先輩だった。針を失った時計。棚から崩れた文庫本。綿の出た猫のぬいぐるみ。交わし合った手紙。全てがあの日のまま止まっていた。割れたフォトフレームを元に戻す。写真の中の私達が私を見ている。いつのまにか、彼よりも歳上になってしまった。

【No.≠091 献花】
祝福の種が売られていた。花を咲かせば夢は叶うけれど、枯らしたら夢は呪いになるそうだ。種の恩恵なのか、私は好きな人と付き合えることになった。けれど、枯らしたら別れてしまう。いや、それ以上の不幸が待っているかと思うと花にだけ神経を注ぐ。いつしか、彼に対する興味は失っていた。

【No.≠102 君利き】
『本日は左利きの日です。全ての道具は左利き用になります』ハサミ。改札口。定規。蛍光ペン。慣れない感覚に多くの人が戸惑った。「反対になると大変だね」右利きの彼が、おたまでスープを掬いながら笑う。少しは左利きの苦労もわかったか。いつもより温かいスープを飲みながら私も笑った。

【No.-086 瞳の標本(藍煩い③)】
標本作りが得意な彼と夕凪公園に赴く。夜には天体観測で賑わう森林で、彼は愛おしそうに藍色の蝶を眺めていた。午後四時、ひぐらしが鳴く。亡くなったあとにも意味が残るなら、それは素敵なことなのかもしれない。どうか、私が死んだら体も、藍色の瞳も、全部全部。君の標本にしてください。

【No.-098 ほんとうのさいわい(藍煩い⑮)】
藍煩いに罹った私は水族館や美術館、交通機関などを無料で利用できる。だけど、満たされない部分もあった。終電もなくなった無人駅で、私と彼は星空を見上げていた。『けれどもほんとうのさいわいは一体なんだろう』午前四時、銀河鉄道の夜の言葉である。本当の幸いは、すぐ隣にあったのだ。

【No.≠109 燻る】
彼の口から吐かれるタバコの煙を吸うのが好きだ。苦くて臭い。けれど、同じ空気を吸っているという事実だけが、私達を生かしているのだと錯覚できる。浅く、深く、害のある副流煙を吸いながらベランダに佇む。静かに、緩やかに、やがて私達は病葉のように、色褪せては輝きを失っていくのだ。

この記事は有料ですが全編公開になっています。私の活動を応援してくださる方がいましたら投げ銭してくれると嬉しいです。また、サポートやスキのチェック。コメント、フォローをしてくださると喜びます。創作関係のお仕事も募集していますので、どうか、よろしくお願いします。

ここから先は

0字

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652